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ミーティング


たまたまかもしれないし、

緊張のためかもしれないが、

自然と早くに目が覚めた。


隣のベッドではまだ天使のような寝顔のアルマがいる。

まだ出発の時間じゃないし、

ギリギリまで寝かせておいてあげよう。

何より、この寝顔を眺めていたいからな!


との思いも虚しくアルマの目が開いた。

ぼんやりした目で周りを見渡している。

……あ、俺と目があった。

目がはっきりと光を宿す。


「………!?ジン!?」

顔が真っ赤になったぞ。

あ、ベッドにもぐりこんだ。

なんか中でウネウネしてる……?


なんだろう。

あの掛け布団をめくってみようか。


……ピラッ、ズブリ。

めくった瞬間に目を潰された。

「目が、目がぁ……!」

ヤバイって!絶対眼球貫かれたよ今の!


「ジン。レディーの準備を見ちゃダメですよ♪」

「目が、目がぁ……!」

何か言ってる気がするけど、

目の痛みでそれどころじゃない!

「やり過ぎちゃったかな……テヘペロ」

テヘペロじゃないよ!

死んじゃうよ!?

「撫でてあげれば治るでしょうか。……目を」

「大丈夫!治ったからっ!」

治った!治ったっす!

撫でてもらわなくても大丈夫ですよ!?


「むぅ……」

なんでちょっと残念そうなんだろう。

そんなにトドメを刺したかったのか。

俺の目はまだ当分出番があるから勘弁してほしい。


アルマも起きてしまったことだし、

早めの朝食をとるために下に降りる。

ウィルが起きていることを期待したが、

残念ながらいないようだ。


結局一回も相談できていないのが不安だけど、

起きるまで待っていては遅刻してしまう。


なんかヤバそうな雰囲気出してたし、

遅刻しようものならどんなことになるか想像もしたくない。




ギリギリまで待っていたつもりだったが、

駐屯所には余裕を持って着けた。

既に30人ほどの戦士たちが集まっている。

騎士たちがお揃いの鎧を着ているのを見ると、

この30人は俺たちと同じく仕事を受けた側なのだろう。

「予定より少々早いが、全員集まったようなのでミーティングを始めさせていただく」

団長の号令がかかった。


同時に数人の騎士が外を見張りに出ていった。

厳重なこって。


「まずは今回の仕事の内容についてだ。諸君にやってもらいたいのは他でもない。この町に巣食う裏ギルドの殲滅」


集められた戦士たちに動揺が走っている。

(アルマ、どゆこと?)

(ギルドは分かりますよね?裏ギルドっていうのは非公式で違法なことにも手を出しているギルドのことです。思い返してみると昨日の強面男も構成員でしょうね)


つまり裏ギルドってのは暴力団やら、

マフィアみたいなものってわけだ。

ってことは強い奴も多いんだろうな。

動揺のもとになってるのはそれか。


団長の言うことを聞いた限りではこうだ。

裏ギルドは昔からあったのだが、

多少のいざこざはあっても

他の犯罪の抑止力になっていたから放置してきた。

が、最近は目に余る行為が増えて捨て置けなくなり、

何とかしようとしたのだが

こちらの内情が漏れている様子があり、

騎士団の戦力だけでは心許ない。

それでスパイの可能性のないフリーの戦士たちを募集せざるを得なくなったと。


(だから、わざわざ身元調査までしたわけだ)

元々が非合法な組織のため、

殲滅という判断でも問題にはならないらしい。

なんとも予想通りにマズそうな仕事だ。


「ギルドの巣は調査に成功している。場所は3カ所のため、こちらも3班に分けての作戦となる。決行は今夜だ。騎士の指揮は団長。君たちの指揮は副団長である私デイン・ホーリアネットが務める」


この人が副団長殿か。

俺たちのは指揮官だそうだし、

顔をしっかり覚えとかないと。

班編成は各々で別れた後に軽く調整をするような形だったので、

俺とアルマは一緒の班になれた。

というか、別れてしまったら心細すぎる。


「今回魔法使いの者もいるということで、本作戦前に秘密裏に至近の住民の避難を済ませておく。建物への損害は出るかもしれないが、遠慮しなくても良い」


これは俺が申込みの際に希望したことだ。

もし通らないのであれば、

アルマを参戦させないことを前もって言っておいた。


「では各班に別れて、詳細な戦術やコミュニケーションをとっておいてくれ。夕方までの時間は好きに使って構わん」


同じ班なのは、

アルマ、他8名の戦士たちだ。

後詰めとして各班の後方に5名ずつ正規の騎士も控えさせるらしい。

俺たちだけで先陣を切らせるのは

なるべく騎士を温存したいからだろう。

使い捨てにされてるようで面白く無いが、

報酬も高いし我慢だな。



他の班は割と細かく話し合ったり盛り上がったりしているが、

俺たちの班は俺とアルマが身内で固まっているせいか、

大して話が弾まない。

話し合いが無いのなら、

こんなむさい連中といる意味が無いんだが……。

かといって俺たちだけ出ていくのも気まずいし。



……そういえば副団長がいなくなってるな。

騎士団は避難勧告もあるらしいし、

早々に準備を始める必要があるんだろう。


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