セラの困窮(番外編)
時はちょっと遡る。
-----セラ-----
ここがダンジョンキャンプかぁ……。
聞いてたのに比べるとあんまり活気が無いような……?
でも、ここまで来れただけでもラッキーと思わなきゃだよね!
隊商に混ぜてもらったおかげで旅費無しでここまで来れたんだし!
問題は肝心のダンジョン……。
近辺の魔物なら苦戦せずに倒せるけど、
ダンジョンみたいな狭いところで沢山の魔物に囲まれたら
武器の相性的に辛い。
入れてくれるパーティを探してみるのが良いかな?
そう思って待っていたところに来たのは2人組のカップルだった。
……あれは邪魔しちゃダメだよね。
訊いても入れてくれなそうだし……。
それでも万が一に賭けて……。
「ボクをパーティに入れてくれませんか?」
スタタタタ。
聞かなかったことにされた……。
ちょっと泣きそう……。
仕方ないから次のパーティを待とう……。
……。
…………。
………………。
来ない……?
ここって新ダンジョンなんだよね?
消滅間際のクリア済ダンジョンじゃないよね?
なんで来ないんだろ?
ちょっと訊いてみよっと。
確か、入口付近に暇そうにしてる露店テントがあったはず……。
あ、いた!
欠伸してる……。暇なんだろうなぁ……。
「おじさん!なんでここに人が来ないの?」
「んー、ここから近いところにエスニアとフローリアって町があるんだけどね、両方ともゴタゴタがあって、ここの話が広まってないらしいんだよ」
「えっ……」
じゃあしばらくこのまんま?
多少のお金はあるけど、
収入無しで長々と人を待っていられるほどの余裕は無いんだけど……。
「まだお嬢ちゃんを含めても3組ぐらいしか来てないねぇ」
3組……。
ボクとさっきのカップルを引いても、
もう1組いるってことか!
キャンプで姿が見えないってことは
今ダンジョンに潜っているはず。
少し待ってれば出てくるかも!
「ボクとカップル以外のもう一組はどんな人だったの!?」
「パーティを組んでいない剣士で……」
うんうん。
一人ならボクを連れてってくれるかも!
「凄い高そうな立派な鎧を着ていて……」
あー、あんまり強い人だと足手まといになっちゃうかな……。
そんな人だとパーティ要らなそうだし……。
「体型が貧弱で……」
………………。
立派なのは鎧だけだったのかぁ……。
仲間にしてもらえる可能性は増えたからいいんだけどさ……。
「昨日の朝から帰ってないね」
死んじゃったんじゃないかな!?
どんな冒険者でも丸1日帰ってこないのはあり得ないよ!?
何十層もある大ダンジョンなら、
中でキャンプしながら進むこともあるけど、
新ダンジョンなんだから5層前後しかないはずだし!
1日帰らずにクリアもされてないってことは絶望的じゃんか……。
「あ、ありがとうおじさん……」
次のパーティを待とう……。
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次の日。
今日も人が来なかったらどうしよう……。
もう近くに他のダンジョンは無いみたいだし、
ゴタゴタがある町には行きたくないし……。
あ、新しいパーティが来た!
またソロの冒険者みたい。
ソロってことは大体近接系の戦士だから、
ボクを入れてくれる可能性あり!
期待できるかもだね!
「あの、ボクを連れてってくれませんか……?」
「…………。一人か?」
「はい!」
「……ガキと組む趣味はないんだ」
立ち去られた……。
えー……………。
ガキっていうほどガキじゃないつもりなんだけど……。
ボクもう14歳だよ……?
こんなことになるなら、もう少し早めに来て、
立派で貧弱な剣士さんとパーティ組めば良かったよ……。
隊商に連れてきてもらったんだから、
これ以上早くは無理だったけどさ……。
もう、夕方が近づいてきてる。
今日はもう新しいパーティは来ないかな……。
そう思ったとき、3人組のパーティが向かってくるのが見えた。
これで無理だったらもう諦めてこのキャンプを出よう。
定位置のダンジョン横に立って、
3人が来るのを待つ。
……………………来ない。
あ、テント巡りをしてるみたい。
ダンジョンは明日にする予定なのかな。
それならそれで今日のうちに訊きに行ってみようっと。
素材屋から出てきたあの人が丁度いいかな。
「す………」
声をかけようとした矢先に次のテントに入っていっちゃった……。
でもあのテントって下着とか古着とかを売ってるんじゃなかったっけ?
何か騒がしいんだけどどうしたんだろ……。
それを聞きつけたのか、パーティのもう一人の男の人も入っていった。
……………。
さっきより更に騒がしくなったような……。
「俺はそういうの気にせんから。だから、大丈夫やから……」
「待って!置いていかないで!」
パンツを手にもった人が飛び出してきた。
スゴい速さで走っていってしまう。
お、追いかけなきゃ……?
あんまり追いたくないけど。
直後に何故か店員さんまで飛び出してきた。
「下着泥棒よ!誰か捕まえて!」
えぇ!?下着泥棒!?
この人気の無いキャンプで泥棒なんてスゴいなぁ。
全く尊敬できないけど、ちょっと尊敬しちゃうかも。
……でも一気に追う気が失せちゃった。
宿屋テントに戻ろうか……。
「違うんですゴメンナサイ!この下着は返しますから!本当に置き忘れちゃっただけで……」
謝罪の声が響いてくる。
あの下着泥棒さんは捕まったようだ。
結局パーティは見つからなかったし、
明日朝一でここを発とう……。
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またまた翌日。
宿屋のおばさん曰く、
あの人は下着泥棒じゃなかったらしい。
ちょっと誤解があっただけとか……。
で、今日はダンジョンに入るようだ。
ダメ元で最後に交渉しに行こう。
「お兄ちゃんたちもダンジョンに入るの?」
今後の展開、描写のためにも感想を募集しています。
改善すべき点などの御教授を
一言でも良いのでぜひぜひお願いします。




