目覚めたら
目が覚めた。
あれ?ここどこだ?
あぁ、宿か。
「気がついたようだな」
首をグルンと回すと、
相変わらずのイケメン顔のウィルがいた。
「アルマは?」
「お前のために薬買いに出てるよ。……普通はそれよりも気絶した後どうなったか訊くもんだろ」
「んなことよりアルマの方が重要だ」
美少女成分を失ったら、
この世界に来た意味の80%(当社比)がなくなる。
望んで来たわけじゃないけど。
やれやれと身ぶりで言われたが、
こればっかりは譲れない。
「詳しい話は3人揃ってからにするか。俺もちゃんと全部を把握してるわけじゃないからな」
「りょーかいだ」
まだ眠いんだ。
アルマが帰ってくるまでの時間だけでも、
もう少し寝ておきたい。
目をつぶって息を吐く。
あとは意識が勝手に飛ぶだろう。
バタン!
「ジンはまだ目を覚ましませんか!?」
……帰ってくるの早いなぁ。
「……あぁ」
ウィルが肯定の返事をする。
あぁ、俺は寝たふりしてればいいんですね。
ひんやりとした手が額に乗せられる。
スベスベしてるなー。
流石に美少女は手も違うんだなー。
「熱はもう下がったようですけど、まだ目覚めないんですね……」
「命に別状があるわけじゃないんだ。待ってりゃ大丈夫だろ。それよりお前が帰ってきたし俺もちょっと出てくるわ」
「分かりました。何かあったら探しに行きますから」
おう、と返事した後にドアの閉まる音がした。
見えないから分からないけどウィルが出ていったようだ。
「……さっきのじゃ熱測れなかったし、やっぱり頭じゃなきゃ……」
なんかゴニョゴニョ言ってるけど聞き取れん。
と思ったら、また額に何かが触れてきた。
うん?手じゃないな。
そして首が圧迫される。
本能的な幸福感が訪れるが、
何も見えない俺からすれば、
正体不明の何かに首を絞められてるのと変わらない。
いや、予想はついてるけどね。
この豊満さは1つしか考えられないし。
……あ、ヤバイ。
本当に意識が遠のいてきた。
酸欠だ!本当にヤバイ!
もう無理!
目をパッチリ開ける。
「し、死ぬぅぅぅう!」
「キャアアアッ!!」
そして頭に衝撃。
あ、拳骨じゃね?これ?
いよいよ意識が飛んだ。
まあいいや。
結果的には寝れるんだし。




