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地下道


教えられた建物は大通りからは離れているものの、

それほど遠くないところにあった。

この建物が地下道の入口となっているらしい。


ドアは鍵がかかっていたが、

鍵なんて渡されてないので蹴破って入った。

小屋のような建物は見た目通り中も狭い。

入ってすぐのところに地下へと続く階段が口を広げていた。


おっさん、アルマ、俺の順に階段を降りていく。

アルマが真ん中なのは危険が無いようにするため、

おっさんが先頭なのはおっさんが見栄を張るために希望したからだ。


「暗いな……」

おっさんのぼやきが最後尾の俺にもよく聞こえる。

地上はあんなにもの喧騒に包まれているのに、

地下は俺たちが動く音以外は何も聞こえない。


期待はしていなかったが、

壁も地面もちゃんと舗装されていた。

ある程度は舗装して強度を高めないと、

埋まってしまうんだろうか。



にしてもおっさんの言うとおりとても暗い。

アルマが魔法で光を出しているが、

せいぜい足元が見えるぐらいで前を見通せるレベルではない。


「アルマちゃんも今のうちに魔力を回復させておきなよ!」

「お気遣いありがとうございます。確かに地下道を歩いている間は気を張らなくて済むので楽です」


おっさんの必死のアプローチで少しずつアルマも打ち解けているようだ。

まだ俺のほうが好感度は高いとは思うのだがちょっと羨ましい。

でも後ろから話しかけるのって難しいんだよな。

まさかおっさんここまで読んでいたのか……?

なんたる策士。


暗いからからだろうが、進んでいる気がしない。

周りの風景がいつまでも変わらないのと、

時計みたいに時間が分かるものが無いせいで、

時間感覚さえ狂いそうだ。

地図で見た感じだと1kmもないはずなんだが……



「あっ!」

「おっと、気をつけないと危ないぞ」

石に躓いて転びそうになったアルマを支える。

やっぱ後ろで良かった。


「あ、ありがとうございます……」

アルマ可愛い。

「後ろにしておけば良かったか……?」

おっさん可愛くない。



……いや待て、石?

なんで舗装された地下道に石が転がってるんだ?


「おい……。道が埋まってるぜ……」

「嘘だろ!?」

アルマが光を強くしてくれる。

道は……確かに埋まっていた。


「上であれだけの人が暴れてるんだ。崩落するのも無理はないか……」

「だとしてもこれじゃあ進むことはできないな。引き返すしかないな」

「仕方ないですよ。私たちの過失ではありません」


「センドウ、引き返してくれ」

狭いので俺が動かなければ、

後ろの2人は動けない。


それが分かっているから

勿論俺も引き返そうとした。

だけど、動けなかった。



「あんた、なんでここに……」



俺たちの背後には町に来た初日に市場で助けてくれた槍男がいた。

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