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異世界へ


非日常に憧れることってないか?

外国映画みたいに銃をパンパン撃ち合う命がけの戦いには巻き込まれたくないけど、

急に美少女が自分の家に居候し始めたり、

ある日異能に目覚めたりすることは割と多くの人が夢見たことがあると思う。


俺もそういうタイプの人間だ。

物心ついた頃にはマンガの異世界に憧れており、

高校3年生となった今もそれは変わっていない。


俺の名前は千堂 仁。

今言った通り高3だ。

中学時代にそこそこ頑張って、そこそこの高校に入れたから、

次はそこそこの国公立大学に入るつもりでいたんだが、

いかんせん高1、高2と怠けすぎたために勉強する習慣を失ってしまっていた。

今の成績は国公立の中でも一番偏差値が低いあたりになんとか入れるかどうかってところ。


入試が近づいて切羽詰まってくれば、なんとかやる気も出るだろうなんて考えていたが12月現在、絶賛怠け中だ。


……どこで失敗したかなー?

高校生活自体は全く問題なく、毎日が順風満帆だった(学業面を除く)。

強いて言えば彼女がいなかったことぐらいだな。


違うぞ?作れなかったわけじゃないよ?

作らなかったんだからね?

バレンタインなんて毎年チョコ貰ってたから!

2年のときもクラスで一番可愛い子がチョコくれたんだぜ?

「これクラスに作って来たんだー!」

なんて言ってたけど、あれはカモフラージュに皆に作ってただけで俺が本命だったはずだ。


……彼氏持ちだったけどよ。



そんなことは良いんだ。

求人誌に「彼女募集中。俺を好きになるだけの簡単なお仕事です!」

って書いとけば、どうせいつでも作れる。



話が長くなったが、つまり俺が言いたいのは、

ちょっと勉強を怠っただけであって、高校生活に問題は無かったってことだ。うん。




そんなこんなで今日も放課後に3年生対象の強制学習会に参加させられて、やっと帰宅中。


電車通学のやつもいるなかで、学校まで徒歩20分の俺の家はかなり近いほうだ。

方向の問題で一緒に帰る相手がいないから、この時間は想像もとい妄想の世界で過ごすことが日課となっている。



確か今日は新しい仲間をパーティに加えて、ダンジョンの中に秘法を探しに行くところからだったかな……。

可愛い女の子キャラだから、主力にしようと思ったんだっけ。




なんてことを考えていたとき、それは起こった。


ドンッという鈍い音と同時に背中に走った激しい痛み。

そして俺の体は前へと大きく投げ出される。

後ろを振り向いている余裕は無いし、体勢的にも無理なんだが、軽く予想はつく。


「……あ、轢かれたんだな」と。


普段から異世界への飛びかたを考えていた俺は、

(最近の車は静音性が高すぎだよな。

いくら妄想に没頭してたとはいえ、接近に気づかないとなると相当だ。

でも今交通事故にあったなら入試は後で追試とかになるんだろうか。

そうなったら準備期間が長くなってお得だけど、追試って難易度も上がりそうだな……。

いや、そもそもこのまま即死する可能性もあるんじゃ?

俺が主人公ならこのまま異世界に転生しそうだけど、望み薄か……?)

などとゆっくり思考を巡らせる余裕さえあった。



勿論その直後に俺の視界は暗転し、意識を失ったわけだが。



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