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よし!みんな丸太はもったか!? 1

 鬱蒼と行く手を阻む大樹。


「これって薪何本分かな?」

「一本で一年分は有るんじゃね?」


 休みなく襲いかかる原生生物たち。


「鳥デカ! 猪デカ! みんなデカい!」

「うわっ! 大蛇が巨大鳥呑み込んだ!」

「あ、その大蛇うちの夜夢だよ」

「えぇ・・・・(デカ過ぎ)」


 我々は無事に白の国最東端に防衛拠点(予定は未定)を作る事ができるのだろうか!?


 この記録は汗と涙(主に藍苺の)と悪乗りとごり押しで拠点予定地に辿り着くまで(主に紅蓮)のハチャメチャな旅の記録である。



 と、先に忠告をしておく。真面目な話は今後一切ないかもしれない。





「ねぇ、紅蓮さんや」

「なんだい藍苺さんや」



 目の前で大怪獣大戦争が繰り広げられいる。巨大な黒い狼が同じくらい巨大な猪がその巨体で巨木をバタバタとなぎ倒している。どう見ても映画の一幕。



「あの巨大狼って・・・」

「ポチだね」

「っ!?ポチってあんなに大きかったの!?」



 同じ種族でもポチは一等大きいからねぇ。


 紅蓮は何も問題ない様子で巨大怪獣の大乱闘を横目に襲いかかってきた大蜥蜴の頭をつがえていた矢で巨木に磔にした。

 また素早く矢を弓につがえると藍苺を後ろから襲おうとした巨大百足の頭を大蜥蜴の時のように磔にした。頭だけではまだ絶命しないらしく続けて胴体も矢を撃ち込み磔に。百足の生命力が強いのは大きくても健在、むしろ大きい方が生命力が強い。頭を潰されているにも関わらず未だに撃ち込まれた矢を取ろうと暴れている。


 このままでは巨木を薙ぎ倒して逃げてしまうのでもう一度頭を確実に潰す。昆虫系魔物特有の緑の血を撒き散らして今度こそ絶命したのを確認する。本当は周囲を汚したくないので炎系魔術で消し炭にしたかったが、森でやったら山火事になりそうなので断念した経緯がある。


 この場所は地図に記された名前が「白の国東部大森林━帰らずの森━」と記されている。私の実家のある森と同じかそれ以上の広大な森だと推測される。未開の地なので正確な広さは不明。

 ちなみに実家の森は「南部大森林━迷いの森━」である。


 親子揃って森に縁がありすぎないか?しかも未開の地だったり人間が居住するには厳しすぎる土地と言うのも共通している辺り縁があると言うよりは呪いな気がしないでもない。

 実家は平らで人が住める巨大なテーブル状の大岩が有るのでここよりも住み易い。交通手段は同じくらい不便だろうが。



 小さくない赤い蛇が私の首筋を噛もうとして来たので右手で掴んで頭を握り潰す。


 お食事中の方、お食事を済ませて直ぐの方ごめんなさい。こっちも生きるために必死なんです。許して下さい。



「その赤い蛇絶対毒持ってる」

「持ってるよ。カラフルな色の魔物も動物も基本毒だからね。この種類なら焼いて食べると美味しいよ」

「━━━ちなみに毒は?」

「河豚の毒とは違って熱で無毒化出きるから」

「━━━それ食うの?」



 青い顔で聴かれたので勿論と答えた。その時の顔を一言で言うなら「え?」と「マジかよ」の混ざった複雑な顔でした。


「勿論内臓は取るよ?」

「いつからお前は野生児になってた」


 いつも何も、10歳位からサバイバルしてたよ。知らなかったの?あ、言ってなかったねそうだったね。



「蛇は個人的には毒がない方が好きかな」

「そりゃぁ好きかどうかは抜きにして毒がある蛇はみんな勘弁だろうな。噛まれたら大変だろ」

「いや、食べごたえの話」

「・・・・」



 この世界での前提なのかもしれないが毒蛇よりも毒なしの蛇の方が大型で食べごたえがあって美味しい。毒で獲物の息の根を止めるか絞め殺すかで筋肉量が違うからだと誰かが言っていた。

 豆知識だが、もとの世界にいたキングコブラ等の毒蛇は自分の毒で死んでしまうらしい。この世界の蛇も多分そうかもしれないが試したことなどないので不明。


 例外で毒を持つ魔物は毒耐性が高いのでどの種類でも効かない事が生体調査等で判明している。


 動物よりも魔物の生体調査の方が進んでいるのは危険度が高い方を優先したからだと王立大学院発行の「魔物と動物の違い大百科」にのっていた。


 ちなみにこの赤い蛇は魔物で、名前が捻りのない赤毒蛇という。味は淡白な鶏肉のササミ。大人の腕ほどの太さと1メートル程の比較的小型の蛇系魔物。毒は見た目に反してやや弱め。それでも大量に咬まれれば死ぬし、助かっても後遺症でマヒが残ることもある危険な魔物だ。


 美味しいからベテランの狩人には立派な食料として人気はそれなり。真っ赤な皮はご婦人に人気のバックなどに使われる。半面強度はそれなりなので防具には向かない。



「・・・等の嗜好品としての需要、一般人への危険性を考慮して希に人里近くの森などで大量発生すると狩人達が集められ三日にわたる狩猟が行われる。なお、大量発生以外での商業目的の狩猟は禁止され種の保存、一般人への被害防止、毒の研究解明を目的とした団体「赤き貴婦人」が設立さてた」


 私が広辞苑並に分厚い本を見ながら説明すると藍苺は


「沖縄のハブみたいな扱いに近い?」

「ハブの毒はこれよりも強いよ」


 と、ハブに例えてた。確かに扱いはハブに近いかも。


 でもハブの方が私は怖い。この赤毒蛇は一般的な毒消しで消えるから噛まれたとしてもそこまで怖くない。ハブは血清を直ぐに射たないと直ぐに亡くなるんだもん。ハブの方が私は怖い。


「いや、ハブが強いのか赤毒蛇が弱いのかの問題じゃなくて、この世界の人間と毒消しが凄いんじゃないか?」



 ・・・確かに二階から落ちてもぴんぴんしている一般人とか普通にいるしね。地球人よりも頑丈かもね。何せ魔術があるファンタジーな世界ですからね何でもありですよねぇ。


「まあ、何だかんだ言っても私にとっては美味しい食料なんだけどね」

「うん。もう今晩のおかずは予想出来るわ。出すなら蛇って分からないようにしてね。もう遅いけど最後の抵抗ってことで何卒」



 それは勿論と返しておいた。私だって皮剥いだだけの姿焼きは差し迫ってない限りは食べません。緊急時は生で━━いや、昔の思い出したくもない記憶を思い出すのは止そう。


 この赤毒蛇は太いので骨を取るのは簡単なところも助かる。



 蛇の調理法を考えながら鋭い鉤爪で手に持つ赤毒蛇を奪おうとする赤い羽と緑の鶏冠が特徴の赤怪鳥が襲いかかってきたので蛇を取られない様に移動してもう片方の手で赤怪鳥を掴んだ。



「うおっ!? ビックリしたぁ」

「これは赤怪鳥と言って唐揚げにすると旨い。丸焼きでもオススメ」



 私の目がとても生き生きとしていたと、藍苺は後日愚痴っていたとか。それはまた別のお話。




 巨大怪獣大戦争が一区切りついたのでこの辺で野営の準備をすることに。丁度よく木々がなき払われているので周りの木々に燃え移る心配がないので火ご使えそうだ。

 暴れた後なので血などの汚れてを消すために浄化の魔術を一帯にかける。ついでにポチや夜夢など体の大きな者には薙ぎ倒されて残った切り株を少し撤去してもらい場所を確保する。


 簡易的な竈を集めた石で作り持っていた薪を入れ火をつけた。そして先ずは鉄のポットでお湯を沸かす。その間に藍苺は薪になりそうな小枝を集め焚き火を作った。


 血抜きを終えた食料(先程の蛇と怪鳥)をそれぞれ食べやすいサイズに切り、蛇には臭み取りの香辛料を揉み込み串に指して焚き火でじっくり焼く。

 鳥肉は半分は塩と胡椒をかけて揉み込み暫く置いておく。残りの半分は細かく刻んだジャガイモとニンジン、キャベツでスープの具に。コンソメと塩だけのシンプルだが体が暖まるやさしい味は疲れたからだに染み渡るだろう。

 お湯が沸いたポットを竈から下ろしてそこが丸い鍋をかけて水と刻んだ野菜を入れて柔らかくなったら鳥肉を投入する。後は暫く蓋をして放置。


 焚き火の方で焼いている串焼きの焼き具合を確認しる。


 藍苺はこのとき焚き火の近くで丁度いい丸太を運び椅子とテーブルにするために運んでいた。運び終わると次にゴムの様な材質の袋を取りだし粉と水を入れて蓋をした袋を振り回し始めた。

 空気もそれなりに入っている袋はいい具合に中の粉と水を混ぜ合わせパン生地ができた。それを丁度よさげなきれいな木の枝に巻いて串焼きと一緒に焼き始める。簡易パンを作っていたようだ。


 辺りにやさしいスープの匂いと香ばしい肉とパンの焼ける匂いが立ち込めてきた頃、塩と胡椒を揉みこんだ鳥肉に小麦粉をまぶして暑く熱したフライパンでこんがりと焼く。ポイントは少し多目の油。油で揚げるように焼くことだ。


 中まで火が通ったことを確認して豪快に切って皿にもる。なお、この場所には結界が張られているので匂いによってきた魔物は入ってこれない。たまにポチ達が集まった魔物を晩御飯にしているが、もう慣れた私と諦めた藍苺にはどうでもよい光景だった。



 そして料理ができた頃。



 今日の献立


 鳥肉(赤怪鳥)と野菜のスープ、ピリ辛串焼き(赤毒蛇)、鳥肉(赤怪鳥)のソテー、焚き火で作る簡単パン、お茶、以上。



 最初少し躊躇したピリ辛串焼きをムシャムシャと食べる藍苺


「カッコの中さえ見なければイケる。」

「基本爬虫類は鳥肉と同じだよ。旅やサバイバルでは蜥蜴はご馳走だし」

「もぐもぐ━━━これは蛇だけどな」



 など、食べ始めたら蛇と言うことに何の抵抗も無くなったみたいだ。単純すぎないか藍苺よ。



「臭みもなくて、もぐもぐ、ピリ辛で食欲を刺激するな━━っん、このスープもキャベツの甘さとジャガイモのホクホクが旨い。ニンジンも特有の臭さがなくて鳥肉の旨味が━━━もぐもぐ」

「食リポしなくていいから食べることに専念しなよ。誉められて悪いきはしないけど、行儀は悪いかな」

「わかった━━━もぐもぐ(∞)」



 本当に食べることに専念することにしたらしく口を休むことなくもぐもぐしつつけている。だが何かを思い出したのか一旦口の中の料理を呑み込みからにしてから



「美味しい料理をいつもありがとう」



 と、頭を下げてお礼を言うとまたもぐもぐと料理を食べ始めた。

 律儀なことである。そして不意打ちである。



 藍苺はもぐもぐすることに専念しているので気が付かなかっただろうが、このとき私の耳は少し赤くなったいた。不覚である。





あらかた食べ終わったころ、疑問に思っていた事を聞いてみた。



「そういえば藍苺だって巨大な魔物と戦ってたんじゃなかった?」

「いや、王都に近い場所にいる魔物なんて大型でも牛サイズがせいぜいだからな。あんな小型でも象サイズの大型居なかったからな」



お茶を飲みつつ「そんなの居たら安心して住めねぇって」と言っていた。確かにそうだね。



「だいたい、この森の魔物が規格外なんだよ。超大型の間違いだって、あれ」



凄く真面目な顔で言ってました。


あれ?そうだったっけ?たまに象サイズの魔物討伐した覚えが……いや、深く考えたらダメな気がする。今は聞かなかったことにします。




 

 

 


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