表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/87

丸投げ良くないと思う今日この頃 3

副題、紅蓮さん暴走する(思考が)

 私は少し混乱している。



 藍苺にかけてある術は発動した?


ああ、発動したから藍苺は此所に現れたんだ…


 防御の術は万全だった?


 勿論、だから打撲で済んでいる。


 |済んでいる≪・・・・・≫?




 なら何で目覚めない?


 もうすぐ目覚める


 本当に?


 大丈夫


 なら、


 なら、?



 “誰がこんな目に遇わせたの?”




 そう、誰のせい?


 だって、今日はそんなに危ない仕事はしないって言ってたよ?


 言ってた?


 聞き流してたけど言ってた



 落ち着け、状況を確認しろ。


 藍苺は頭を強く打っている。外傷は特になし。防御して吹き飛ばされ頭を打ったのだろうか?

 ああ、奏が居るじゃないか。奏、何があったの?



 え?私が恐い? ごめんね少し冷静になれないみたい。だから教えて欲しい。何があってこうなったの?


 奏のせいじゃないよ。きみは闘うのは専門外だからね。



 うん、そうか。有難う。後は証拠を集めようか。


 え?私がついていなくても良いのか?


 勿論ついていたいけど、やらないとね




 大丈夫、ポチやきみがついているからね。






 目を閉じて深呼吸。


どうした紅蓮、ここで取り乱したまま、化け物のように暴れるのか?


違うだろう。


 私は人間性を捨てない。捨てないと決めた。


決めたからには“私”に戻れ!



「━━━━」



 目を開け未だに目覚めない藍苺の手を握りしめ、そして離した。


 この事態を引き起こした元凶を見つけ出して排除しないと。



 だれだ? 藍苺を傷付けて嬉しい相手は。


ダレダ?



 商売敵のライバル?いや、奴等は卑怯な手を使えば私がどう動くのか知っている。嫌と言うほど知っているだろう。身をもって知ったのだから。


 なら、私の事を嫌う貴族? あの爆弾発言のせいで今まで以上に標的になるだろう。けれど嫌がらせでギルドを敵に回すほど馬鹿だろうか?馬鹿だろがそこまでではない、はず。



 なら、誰なのだろうか?



 そもそも、藍苺はどんな依頼を受けていた?



 その疑問が浮かんだら即行動していた。さっき話しかけた受付は何故か一歩も動かずこちらを見ていた様だが、変な感じがしたので隣の少しは顔を知っている受付に藍苺の受けた依頼を聞くとあの知らない受付から受けたと言われた。


 ついでにいつもの受付さんはどうしたのか聞いてみると怪我で休んでいると聞いて驚いた。だってあの人決められた休み以外休むことなどない仕事人間の鑑で不注意で腕を骨折したときも仕事に来ていたのに。


 動けないほどの怪我?どんな?


「怪我の具合はどうなの?」


「さ、さぁ? 先輩の家族は怪我をして仕事には出れないので、としか・・」


「家族?」


「はい、家族の方が見えて「暫くは休む」と」



 いつから休んでいるかと聞いたら目を逸らされて言いにくそうにしていたので深く追求せずにギルド長を呼ぶように言いつけた。


 言いつけられた受付は素早くギルド長室に掛けていった。それを見て受付(未熟)が私にはそんな権限がないと言ってきたので自分の無知を知らせるために立場を証す。



「私は下町支部の支部長。そして今も目覚めず倒れているギルド所属の彼女の夫にあたる燈 紅蓮だ。私には知る権利があり、支部長としても事態の収拾をはかるのは当然の事。邪魔をするにはそれなりの理由があるのだろう?当然━━━それにしても」



 未熟で怪しい(化粧が異常に濃く、香水の臭いがキツすぎる)受付に視線を向けながら続ける。自分の傲慢さには見ないふりをして。



「最近入った新人か? どうも新人研修も終わっていない半人前以下を受付にするとは、余程余裕がないのか?」


「はあ!?」


 「あんた何様よ」、と続ける怪しい受付は私には喰って掛かろうとしたが騒ぎに集まってきたもう一人の受付と事務員に取り押さえられた。


「ちょっと!放しなさいよ!!」


「貴女少しは冷静になりなさいよ。この人は此所にいる誰よりも格が上なのよ!」


「!?」



 取り押さえられた。怪しい受付は信じられないものを見る目で私を見た。そうだろう、そうだろう。偉そうには見えないだろうな。見た目小娘だもんなぁ……自分で言っててちょっと凹んだのは内緒。


 背は歳のわりには小さい、そして童顔で覇気もないだろう。誰も彼もが私が支部長を任されているとは思わない。威厳なんぞ何もないだろうさ。


 でも実際は受付よりは偉いのです。でも言うほど偉いかと言われれば、そうでも無い。受付よりは偉いぞって事です。




「いつからここは子供の遊び場になったの。未熟な子供が来る所じゃないよ?お嬢ちゃん?」



 さっき言われたお返しだ。だって未熟だもの。



「それで? うちの妻はどんな依頼を受けたの?控えがあるはず、見せてくれる」


「控え、ですか・・・さあ、私は知りません」



 目を逸らしながらいう怪しい受付を見て確信した。コイツは貴族とは繋がりの線が薄い気がする。個人犯だと思った。貴族にも証拠隠滅が不十分ね爪の甘いやつはいるがこれほど考えなしの刺客は送らない。私に、そしてギルドに弱味を握られることになるからだ。


 私達は報復をすることを躊躇しない。それも相手が最も嫌がることで報復をする。勿論此方にも良心は有るからそこまで堕ちたりはしない。


 怪しい受付の静止を無視して受付の引き出しから依頼書の控えを持ってくるようにギルド補佐に命じる。命じなくても持ってきてくれるだろうけど、そこは徹底して私が上の立場ということを示しておく。なんかこんなの嫌だな。


「支部長、控えです」


「有難う。これで全部?」


「いえ、何故か藍苺さんの分は別けてあったのでそちらを持ってきました。他のもお持ちしますか?」


「一応彼女の机からは控え以外は誰も持ち出せないようにする様に」


「わかりました」


 補佐が机や彼女の私物を誰も持ち出せないように指示するために部下たちに指示を出し始めると少し慌ただしい足音とともに我らがギルド長がお見えになった。


 余程慌てたのかいつもはきっちりしている髪が乱れている。服はキッチリしているように見えてあれは二日目突入の服だと見破る。目の下には隈を作っていてやはり3徹はしているだろうと推測。


 ギルド長は仕事はできるが要領が悪いと思う。



「お久しぶりですギルド長。今回の件はどうします?」



 言葉の裏に棘を隠しもせずにギルド長(父)を目を細めながら見るといつにも増して青い顔が青ざめてきた。でもこれは親子とか関係ない問題だからね。



「どういうことか説明をギルド長。この控えは何ですか? ざっと目を通したら軒並み審査基準が誤りですよ。街での貴族の護衛は星3の者が請け負うものでしょ?それを見栄を張りたいのか星4以上に指定するなど、本来ならば受けないはずの依頼ですよね?」


「何だと・・・っそれは本当か!?」


 ギルド長(父)が分かりやすいほど驚いているのでギルド長は白。我が父ながら腹芸が出来ない。ギルド長としては少し問題がある。が、人望があるので成り立っている。まぁ、それは今は良い。


 だがまだギルド長(父)の受難は続くよ



「そしてこの藍苺の依頼内容と記載されている星の数が合いません。本来ならば星5ので複数での討伐が適性にもかかわらず、一人指定の星4の依頼に改変されてます。それとも、こんな依頼を受理作成したのですか?」


 妥協はしない。藍苺は運が良かったんだ。それでも頭を強く打っている。どんな後遺症が残るかも分からない。正直とても怖い。これは八つ当たりかもしれない。でも止めるつもりはない。私は怒っているんだ。



「ギルドではその様ないい加減な依頼は受けない決まりだ。それに討伐のの内容で人数を決める。高難易度の依頼はそもそも簡単に受けさせはしない。命に関わるからな」


「ではこの事態はなんですか?」


「━━━こちらの落ち度だ」



「誰の落ち度でしょうね?」


「━━━全ては私の責任だ」



 親子だから少しは優しくしろ?いや、親子だからここは強めに言うんだよ。



「責任を━━「とるならばしっかり原因追求をしてください。貴方の責任でしょうええ、そうですね。だから辞めるなんて言わないでください。それは逃げです許しません」━━━あぁ。古だぬき共と同じことはしないさ」



 と、この言葉を聞いて安心しました。ヘタレな父ですがやると決めたらやる人です。ダメなら母も出てくるので多分大丈夫。


 私の父親は見た目詐欺のヘタレですが自慢の父親です。




 さて、私の頭も少しは冷えてきたのでこの落とし前をどうつけてもらおうかと思案していると、怪しい受付が手に持つ何かを隠そうとしているのを発見。眷属のクラウドさん(最近クーさんと呼ぶことが多い)に指示を出して彼女の能力の影で怪しい受付の動きを封じる。


 怪しい受付の体を黒い影が這いずり手足を拘束。勿論裏工作されないように手に持っているものを放さないように手を被って固定することも忘れない。逃がすか



 怪しい受付(犯人で確定)は叫びながら床に倒れてのたうち回っている。一頻り暴れて疲れたのか大人しくなったのを事務員が持ってきた縄で一応縛っておく。勿論影はそのままで。

 踏んでやろうかとも思ったが踏み止まる。私そこまで鬼畜になるつもりないもん。







「何でこんなのをギルドの顔と言うべき受付にしたの?」


「俺も受け入れたくはなかった。だが━━」


「だがなに?」


「━━━スミマセン」



 私の真顔が怖かったらしい父は色々と考えが有って野放しにしていたことを明かした。



 ことの顛末はこうだ。



 あの犯人(怪しい受付)の父親は悪どい商売をしているという情報を王は掴んだ。だが中々尻尾を見せず掴ませずに王は困っていた。

 そんなとき、商人は娘の勤め先を探しているという情報を入手。これは何か証拠をつかめるチャンスと思いギルド長(父)に協力を依頼。秘密裏に商人をギルドに娘を働かせるように誘導したまでは良かったのだ。


 あの尻尾を掴ませない商人の娘だ。きっと頭の回転も早く手強い相手だろうと思ったが、どうにも只のケバい女でお花畑な思考ではないか・・・いや、油断したらダメだと思うも母さんと会っているときに遭遇してい触れられたので激怒してしまい一旦距離を置いて油断させようと目を離した隙の犯行だった。


 この事は機密保持のためギルド長、ベテランの受付さん(怪我によりお休み中)と白の王だけにしか知らされていなかった。

 事が大きくなったのは教育係のベテラン受付さんが怪我により休むことになったのがギルド長まで連絡が行かずに消えてしまい立て続けに貴族達のお遊びの依頼が増えたことで確認不足に陥ったこと。そして止めるものも居ないほど忙しさを隠れ蓑にまた余計な仕事を増やしていく悪循環が完成していた。



 馬鹿なんだろうかこの職場。



 誰かがやってくれるなんて期待してら駄目って社会人なら知ってるでしょう。ホウレンソウ大事。



 つまりやっぱりギルド全体の落ち度だってことなんだね。



 あと、白の王はもう一回・・いや三回くらい王妃の改心の一撃食らってください。つうか喰らえ。三回と言わず何度でも喰らえ。




 こうして只の巻き込まれで気を失った藍苺を看病しつつ父さんに愚痴と嫌みと恨み辛みをお経のように無表情で話続け、藍苺が目覚める二時間は地獄の様な居心地だったと後にギルド長は遠い目をして頬が異様に腫れた王と語らったとか。



 藍苺の看病にギルド長室の高級ソファを使って何が悪いのさ!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ