丸投げ良くないと思う今日この頃 2
どれだけ間が空いてると思ってんだと自問しました。m(_ _)m
何事もなくいつもの仕事は順調に終わった。終わってはいないけど一段落できる時間帯になったので店番を眷属に頼みギルドに殴りこ・・話を聞きに来ています。少し閑散としているギルドの受付に最近の依頼の話を聞くことにした。情報収集だ。
「こんにちは、依頼ですか?依頼の場合は隣の受付です。失礼ですが、冒険者としての登録でしたら考え直した方がよろしいてすよ~。」
・・・最初の挨拶は良い。が、最初から喧嘩腰なのはダメだ。今私の見た目で判断したな。この人入って初日?その割には手慣れてる。人を馬鹿にしている仕草が悦に入っている。
あれ?いつもの受付さんは?ベテランの受付さんはどうした?もしかして激務て倒れたか?だからギルドの顔の受付にこんな半人前を置いてるの?そうなんだよね?これが本採用なわけないよね?ギルドの顔だよ!外見だけで選んでないよねギルド長!!
この間約一秒の思考である。
「あの~。お客さまからかいであればお帰りください」
「━━━━ああ、すいません。少し意識が明後日に飛びました」
「・・はあ?」
気を取り直して受付(未熟)に最近の依頼内容の提示を求めた。
大きな街や遠くの村や町はギルド本部(現在地)から何日か掛かるにしても適切な場所━━その魔物の生息地や討伐場所など━━の近くのギルドに連絡が行くのだが私のような近くの支部長は何日かに一回は自分で仕事を取りに来るのだ。特に私は近い。何せ下町からここまで直ぐだ。駅近物件ならとても嬉しいがこちらは手間なだけだ。
というわけで私は何も暇だから世間話に来たわけではないのだが、どうも連絡系統が確りしていない様子だ。
「下町支部から来ました。ランク制度の変更などあったそうなので説明と低ランクの依頼を貰いに来ました。」
「え?(そんなの聞いてない・・・でも下町なんて最下級の掃き溜めってお父様が言ってたし・・ま、適当にあしらってかえってもらってもいいよね!)━━えーっと、悪いんですけど、遊んでる暇は無いんです。依頼でないならさっさと帰ってくれません?」
「━━━━━」
絶句、まさに絶句。
え?私ちゃんと下町支部からって言ったよね? 詐偽と思われた?ちゃんと支部長って名乗らないとダメだった?いつもこう言ってるから感覚麻痺してたのかな?もう一回言ってみよう。今度はちゃんと名前も出して━━
「いや、あの私「仕事中なの!遊びたいなら余所でやってよ!」━━━えぇぇ・・・」
マジで?
受付(未熟)視点
私は溜め息をつきたいのを我慢した。誉めてくれてもいい仕事っぷりよ。そもそも何で私がこんな場所で受付をしないといけないのよ。お父様がいきなり「このまま店で問題を起こすなら勘当だ!」なんて大袈裟なことを言わなければこんなむさ苦しいギルドの受付なんてしてないわ! だいたい何なのよお父様もお兄様も「客に無理やり売り付けるな」だの「男性客に色目を使うなんて何を考えているんだ!」なんて言い掛かりを言うんだもん。
だいたいねぇ、見た目もダサい芋女がお洒落な服や宝飾品なんて何れをつけても同じなのよ。所詮豚に真珠、あ、芋に真珠かしら━━━ふふふ。それに何よ、男性客が私に惚れるのは私が美しく、そして更に美しく着飾っているから連れの女よりも私に見惚れるのよ。私は何もしてないわ。少し腕に触ったり微笑みかけただけよ。勝ち誇った笑顔を女にしたけれど。それは相手の女が不細工━━魅力がないだけじゃない。
私は悪くないの。だってお母様はいつも言っていたわ魅力がない女の方が悪いって。だってそうでしょ?お父様だってお兄様のお母様よりも私のお母様を選んだじゃない。追い出したでしょ?
お兄様も自分のお母様の顔が気に入らなくてお父様と結託して追い出していたじゃない。何が悪いのよ。
何故だか分からないけどお父様から突然ギルドの受付をやるように言われた。そしたらダサい制服を渡されてこれに着替えろって、冗談じゃないわ。何よこの地味な黒と白の制服。これじゃあ私の魅力が半減どころじゃないわよ!
首もとはかっちりしてて息苦しいし、胸を隠すなんて私の武器を発揮出来ないじゃないの!最近の流行りでスカートやワンピースなんて物が増えて私の武器を遺憾なく発揮出来ていたのにこれでは時代遅れの骨董品じゃないの!こんなの着たくない!!
なのに私に付いた教育係は一つ一つ文句を言っていくと最初は笑顔だったのに今じゃ般若ね般若。鬼婆と言った方がいいかしら。そんなんだから結婚も出来ずにこんな受付なんて仕事をしてるのよ。御愁傷様ね。そんなことを少し暈して(実際は暈して無かったかも)言ったら真顔になって黙ったの。図星かしらね。少し溜飲が下がったから制服は着てあげたわ。
一応お父様の伝で━━かなり強引に捩じ込んできたの間違い━━働くからギルド長に挨拶することにしたの。そしたらギルド長ってかなりの美形ね。少し女顔だけど私の隣に居ても霞んだりしない。欲しいと思ったのは一瞬だった。彼こそ私の隣に居てもいい人だと思ったの。
けれど、邪魔なものってどこにでもいるのね。
馴れ馴れしくギルド長の腕に触れて如何にも「私は心配してます」って態度で心配している感じを装っているけど、どうせ自分を「心配している良妻」って風を装ってるだけよ。
そう思ったらもう突撃したわ。お母様も言っていたわ。恋は勢いって。思ったら突撃して奪うものよって。
だからあの邪魔女を引き剥がす様にギルド長に抱き付いたわ。だってこうすれば男なんて一ころじゃない。いつでも連れの女なんか眼中にない君以外見えないよって目で見てくるもの。男なんて単純何だから。胸を押し付ければもう落ちたも同然・・・
の、はずなのに
「━━誰だこの恥知らずは」
まるで地を這うような呪詛でも吐く様な声に上目使いも忘れてギルド長を見上げるとギルド長がまるで汚いものを見るような目で私を見ていた。
何秒か理解できなかった。最初はあの呪詛はあの邪魔女が吐いたのかと思ったから邪魔女が恐いと言おうとする。でも実際は女の方ではなくて、
「離せ。穢れる。」
初めてだった。弁解も何も出来ない真っ向からの否定。
どうして?私は誰よりも美しく誰よりも愛されるの。それ以外あり得ない。あり得るわけがない。
「聞こえないのか。さっさとその手を離せ。」
私が放心していると強い力で腕を払われた。初めてだった。
誰も私を無下にしない。それは当たり前のことだったのに。
これはなに?
後ろから何故か走ってきた教育係に頭を強制的に下げられて正気に戻る。なにこれなにこれ
ナニコレナンナノ?
それから正気に戻って適当に説明を聞いて適当に話をしていると真面目にしろと教育係に苦言を言われた。煩いのよ今それどころではないのよ! あのギルド長は顔が良いけど中身は最悪ね。邪魔女なんて最初から論外だけど。お似合いよ。
あぁ、ムカツク。何なのよこのギルド。こんなところで働くなんて嫌よ。さっさと適当に仕事してさっさと帰るわ。
━━適当に仕事してれば良いと思ったのに教育係と他の受付のオバサンたちが慌ただしくしている。何だか慌てていてとても見苦しかったわ。そんなに生き急いでいるみたいでみみっちいわね。
何でも知らない内に依頼が受理されてて依頼を受ける人数が合わないとか。なにやっているのよ確りしてよね。
━━━そう言えばよく喋る身なりのいい男たちが私によってきたから適当に書類に判子を押したけど、別に私のせいじゃないわよね。5~6枚の事だもの。━━もう少し多かったかしら?
どっちにしても早く帰りたいのに、確りしてよ!!
何だか事が大きくなってるみたい。ギルド長自ら奔走しているみたい。良いきみよ。私にあんなこと言った罰よ罰。あのまま邪魔女も見苦しくしてたら面白かったのにあれから見てないわ。
ま、どうでも良いのよ。
今日も見目の良い男達が私の受付に集まっている。あら、私って看板娘じゃない? ギルドの役に立ってるわ。あの邪魔女みたいに何もしてないわ訳じゃないのよ!
あの邪魔女も憎たらしいけど、もっと気に入らない女が居るのよね。そいつは女の癖に大きな剣を担いで不思議な軽そうな鎧を着て私の隣の受付でかなりの星の数の依頼を受けていた。
目を疑ったわ。私よりも少し低めの身長で少し跳ねてる髪を後ろで結っているだけの女捨ててる女。しかも何でかそいつはギルドに入ってきた瞬間に皆が注目したのよ。あんなブスブスの何が良いのよ。
ムカついたから少し凝らしめてやろうかと動こうとしたら忌々しいことに教育係が止めてきた。さっきまで忙しそうにしてたのにコイツの為なら手を止めるって訳?
━━━━ナニソレキニイラナイ!!
あのブスブス女はギルド長の息子の嫁らしい。ここ最近常連になってる男が馬鹿にしながら言っていたわ。本当にその通りだわ。何よりギルド長に息子が居たのが気に入らないけど、娘じゃなくて息子ならまだ良いわ。
それにしてもあの邪魔女は良いきみね。あの見た目から十代後半でしょ。なのに同じくらいの息子が居るなんて。アイツ浮気相手でしかないのね可哀想に、アハハハ
それにしても気に入らないわ。話によればギルド長の息子はギルド長に瓜二つと言っても良いほど似てるらしい。しかも王の覚えもめでたい。何より子爵の位を持っていることね。きっと財産も凄いはずね!!
ギルド長は若い見た目だけど少し年子離れているし、子連れよりもその息子の方が良いわよね。若い方が奪いやすそうだし。
そうと決まれば情報収集よ。教育係からギルド長の息子の話を聞き出そうとしてみたが中々に口を割らないわ。焦れたので常連の男たちにそれとなく聞いてみた。そしたらかなりの情報が集まったの。
何でも、性別関係なく整っている顔に母親から受け継いだ髪以外は父親似。御歳16歳。見た目よりも少し童顔。少し歳の離れた弟妹が大勢いる。ギルド長の家族は自分の領地から出さないらしくあの邪魔女は王都での愛人なのだと推測。
そしてあのブスブス女はさる高貴な方の御落胤でギルド長の息子は押し付けられたと噂らしい。このギルドやギルド長の領地を貰う為の取引、つまりは政略結婚だったのよ。なら直ぐに奪えるわ。いえ、奪う以前のもんだいね!
それにしてもあのブスブス女の装備が気に入らないわ。何よあの鎧。攻撃すると反撃されるとか、悪意をもって攻撃すると呪われるとか。何なのよあの金に物言わせたような装備。きっと自分の身分を逆手にとって脅して金を出させているだわ。早くしないとギルド長の息子の財産が食い潰される。それは一番どうにかしないと。
そんな理由から私から直接手は出せない。息子の方が来てくれたなら直ぐに落とすのに。あのブスブス女しか来ない。だから嫌がらせと憂さ晴らしも兼ねてどうでも良さそうで気が滅入りそうな依頼を全部あのブスブス女に渡してやったわ。
丁度良く他の受付達も忙しくしていたから私が何をしていても気がつかないのよ。無能よね。
あの教育係は何故か怪我をして休みみたいだけど。何よ給料泥棒ね。というよりも何なのよあいつが居ないとこんなにごたごたするなんて役立たずの先輩たちねー。
そんな風に数日経過した。ブスブス女は段々と目の下に隈を作ってますますブスに磨きがかかってて笑えた。相変わらず息子は来ないのよねぇ。常連の男の誰かの話ではたまに仕事を取りに来るのに。それに政略結婚といえど無下にはできないので嫁の様子は見に来るって聞いたのに、拍子抜けよ。化粧をバッチリ決めてきたのに。はぁぁぁ退屈
今日はブスブス女には何時も一つ星多目の依頼を星一つ減らして提示してやった。生意気なことに隈が昨日より薄くなっていたのが気にくわなかった。でもこの依頼内容のなら泣いて逃げ帰ってくるでしょうね。最高難易度って文字を特殊な石で擦るとあら不思議、文字が綺麗に消えるのよ。重要書類には特殊なインクを使うから改竄なんて出来ないのだけど、お父様が書類にこうしているのを見てたの。だから拝借してるのよ。私って頭が良いわ!
今日もそんな風に過ぎると思ったのに違ったのよ。
「━━━━ああ、すいません。思考が明後日に飛びました」
「はあ?」
私が折角対応してやったのに思考が明後日に飛びました?何なのよコイツ。それにコイツの顔ギルド長にとても良く似てるわ。
ははーん、なるほどね。コイツギルド長の本妻の娘ね。こんなに小さいなんてギルド長の身長なら息子ならもっと長身のはずだし。何よりあの髪の色。あの邪魔女と同じ色だわ。ギルド長はあの色の髪が好きなのかしら。だから私には見向きもしなかったのかも。だってそうじゃなきなゃおかしいもの。それにしても母親から私の調査でも頼まれたの?残念だけど私の今の狙いは貴女のお兄さんなのよねー。
なんか支部とか言ってたけどね、お姉さんは貴女の相手をしている暇はないのよ。13歳かそこらのお子ちゃまはさっさとどっか行ってよ。
そう思っていたら何だか外が騒がしくて扉の方に目を向けると誰が担ぎ込まれてきた様だった。
ああぁ、なーんだあのブスブス女生きてたのか。
そう心のなかで残念がっているとさっきまで私の受付に居た子供がブスブス女に向かって血相を変えて走っていった。あえ、やっぱり知り合いだったのね。
また出てきた妨害要員をどうやって消そうかと考えていると場の空気が変わったのが分かった。
そのあと私は人生最大の恐怖を知るのだった。
書き溜めてあったのを投下します。




