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使えるものは捨てずに保管

ちょっと自分でも駄文だと思う

 ども、収納スペースがあるなら目一杯使う事に定評のある勿体無いお化けに取り憑かれつつある紅蓮コウレンです。ゴミは直ぐに棄てますが使えそうなものは取っときたいですよね?スーパーのレジ袋とか有ると便利ですよね。無いときゃ無いで不便ですよね?


 ・・・まぁ、この世界にレジ袋無いんですけど




「紅蓮、この度の働き誠に良くやってくれた。」



 ただ今白の王宮、謁見の間の玉座の正面で跪き頭を垂れています。そう、家に帰ってきてそうそう白に呼ばれ謁見しています。



「誉めて遣わす。何か褒美をやろう。何が良い?」



 何かくれるなら安泰な老後を下さい―――と本音は言えないので、無難に休暇下さい――――もダメだな。何かあったら返上して呼ばれそうだし。ここは形あるものでそれほど厚かましくないものを・・・・


「父上・・先ずは休息を与えてから労った方が」


「ん?んーんそうだな。」



 王太子殿下も何事もなく無事に城に帰ってきた。あまり外に出ることが出来ない殿下は許される目一杯の日数を村で過ごし畑の畝たてまでマスターしたほど生き生きとしていた。事後処理と諸々の事を後から来る殿下の後任の文官たちに引き継ぐ為の作業やらをするために私は皆よりも遅く帰るはめになった。

 その時の藍苺ランメイの悲壮感たるやこの世の終わりを見たかのような絶望の色をしていた。ちょっと面白いと思ったのは秘密。


 引き継ぎを終えて戻れば旅の汚れを落とす間もなく登城。


 今の私の機嫌は急降下している。



「ふむ、少しやつれたか?紅蓮よ」


「いえ、みすぼらしく見えるのは汚れを落とす間もなく登城したからです」


「・・・・・(あ、ヤベッ・・もしかして地雷?)」


「父上。お口が開きっぱなしですよ」



 殿下の口調も長いこと村人たちと一緒にいた所為かハジケてきている。由々しき事なんだろうが私にはどうすることも出来ない。だから側近たちよ私を睨むな、筋違いだ。

 私は止めたぞ?耳にタコが出来るまで言ったぞ。「城に帰ったら貴族たちに嘆かれますよ?」って。ちゃんと言ったからな。




 まだ殿下と白の王は何やら話し込んでいるが話に入り込む気は私には無いのでこれまでにあったことを簡単に説明しよう。




 結果的に言えば白杉村は何とか持ち直した。しかし直ぐに昔通りに白杉を出荷出来る訳がないので新たな試みを試す事にした。


 それは麦畑だ。水田でも良かったのだが、土質が水田には適さなかった為断念した。その他にも大豆や粟、稗など独自で食べていける程にしていく方針だそうだ。

 もうこの一件は私の手を離れたので後は任された後任の者が監督していくだろう。勿論殿下自ら畑を耕したのだ、彼らも無下にはしないだろうし、後任の者も気を抜けない。畑耕したことのある王族なんて殿下位だよまったく。


 ※実は現白の王も若い頃にやってました。



 あ、そうそう。


 あの狸オヤジこと狸伯爵は爵位剥奪の上、伯爵家も男爵に降格させられた。だが、次の当主にはマトモな者が就くのでどうにかなるだろう。候補としては遠い親戚筋から選ばれるだろう。領地も元々狭い方だったので現状そのままということになった。


 そして違法薬物の所持と薬物精製、違法薬物の売買と色々と悪事が露呈して狸オヤジは今は城のさむーい牢獄の中で刑に服している。


 因みに毒草一杯の庭園は跡形もなく消えました。てか、証拠として記録した後消しました。アレはホントに便利。



「古くからの害虫の駆除が出来たのです。それにひとつ成らず芋づる式に判明した者達も排除でしました。陛下、いつまで王太子とじゃれているのですか?後で話があります(黒笑み)」



 王妃様、何も息子に焼きもち・・・・何でもないです。


「あら、遠慮しなくても」



 勘弁してください。死んでしまいます。




「それにしても、私達の世代でも復活しかけたモノがまた世に出回りそうになるなんて・・・あの時もう少し徹底的に潰しておくべきだったかしら?」



 何とも恐ろしい事を「明日のおやつはケーキにしましょうか」とでも言うようなさらっと言ってのけるあたり王妃は敵に回すと厄介なんだろうなぁ。徹底的にって昔にこんなことがあったんかい。ってことは母さん達も関わってそう。



 褒美の件は後日と言うことにして私は王妃の「今は何よりも休暇が必要でしょ?」の一言により謁見の間から解放された。

 王と殿下は王妃に微笑みかけられて顔を青くして頷いていたが、まぁいつもの事だ。気にしたら負けだ。



 ところで、あの毒草と一緒に植わっていた薔薇を覚えているだろうか?



 あの薔薇使えそうだったから処分せずに手元に残してある。



 私も忘れがちな私の能力、九尾一族の能力である“草木を自在に操る”能力を駆使して使役しようと思う。時間がなかったのであの時はできなかったが、いつでも出来るように“安全な”場所に移していたのだ。


 使えるものは使うに限るでしょ?


 あの毒草は使えば身を滅ぼしそうだったので論外だが、あの薔薇の能力は使えそう。勿論厳重な監視下のもと使役するので問題はないと思う。心許ないのでその道のスペシャリストである母さんに助言してもらうつもりだ。


それにしても、狐火関係で炎系の適性があるのは理解できるが植物系の適性もあるなんてよく分からないんだけど。



 そして場所は変わり燈子爵邸の庭先にて




紅蓮コウレン様、殿下より小包が届いております」



 我が燈子爵家の唯一にして無敵(しかし才色センスが個性的)の執事セバス(本名は別)が一般的な枕程の小包を持ちながら休暇中の優雅にお茶を飲んでいる私前に歩いてきた。今日も仕事着の燕尾服が似合っております。特に長い黒髪を赤色のリボンて一括りにしてるのが似合ってます。


 ここで暴露するとセバスは鴉天狗だ。あれ?前に言ったっけ? それも私よりも年月も強さも桁違いな。それなのに何故私に仕えているかって?


 それは私も知りたい。



「小包?何も聞いてないけど?」



 受けとると小包を包んでいた布が開き中から小箱が二つ、それも桐の箱だ。金かけてるな流石王族。


「中身は解りませんが危険なものではないようです」


「流石セバス、中身の安全確認は済ませている」


「滅相もありません。このくらいは普通です。それよりも保護のまじないが施されている様ですね。中身を透視することも阻むものも掛けられているようで」


「セバスが見れないなんて誰の仕業かな?」



 ま、父さんや母さん辺りなら軽くやってのけそうどけど。多分それなら回りくどい事はしないと思うので論外。となると王宮魔術師の術師長とかが無難かな?あの人術だけはピカイチって評判だし。自分でも取り柄はこれだけだっていってたし。



「私が開けましょうか?少々危険では?」


「王宮魔術師が施した時点で危険は無いと思うけど・・・敵も多いからなぁ。」



 今回の手柄で古株の貴族達からは良い顔はされてないし、人を疑うのが苦手な術師長の事だから知らず知らずのうちに片棒を担がされてたって事もありうるし・・・一応年のためにセバスの提案を呑むことにした。セバスは呪いの類いにも滅法強いので例えこの国の実力者が呪いを掛けてもセバスには蚊に刺された程度にしかならないだろう。


 実力なら私の両親とタメをはれる。こんなところで一軒家を細々と切り盛りしているなんて勿体無いくらいに。




「では、僭越ながら・・」



「・・・」




 蓋を開けるとあらビックリ。細かく表現するとR18以上になりそうな真っ赤な光景が広がっているではありませんか。何がとは言わないが、錆びた鉄の臭いが充満して今日は食欲が湧かないとだけ言っておこうか。


 こりゃぁ、中身を確認せずに呪いかけたな王宮魔術師諸君よ。



 


「うへぇ・・・こりゃ意地の悪い嫌がらせで」


「皆偽物の様ですが、何でしょうこの苛立ちは」


 心配して損をしましたよと言葉を続けるセバスの豪胆さを垣間見た瞬間であった。私もグロ耐性を確実に上げているけど(誠に不本意)これはちょっとSAN値がガリガリ削れていくよ。


 何がとは言わないけどね。大事なことだから2回言った。




 セバスの言うことにゃ、このけったいな贈り物は精巧に作られた模造品で、全て染料やら樹脂やらで作られているらしい。こんなものに魂込めて作るなよ。因みにもうひとつの箱の中身は皮を剥がされた頭部(偽物だけどグロい)だった。本気でやめろやこのやろう。


 てか、臭いまで再現しなくてもいいだろ。


 もし間違って藍苺か開けでもしたらどうしてくれる。叫びながら放り投げそうになって慌てて掴んでまた叫ぶ様が目に浮かぶよ。あの人ホラー耐性は呆れるほど高いけど本物(に見えるものも)のグロは耐性低いんだからね。それで私よりも短い寿命が更に縮んだらどうしてくれる? 確実に相手を特定して報復を・・・



「紅蓮様、訪れなかった未来を想像するよりも今のこの状況をどうにか致しましょう」



 ごもっともですセバスさん。取り乱してすまんね。



「いえ、馴れております」



 流石に長生きなだけあるセバスさんに一応証拠としてグロい贈り物は保管しておいてもらうことにして(厳重に臭いも遮断するような場所に)私は久しぶりに「白き箱庭」の鍵を取り出しでなんの変鉄もない館の扉の鍵穴に差し込んだ。

 本来の鍵ではないのにすんなりと解錠され(鍵は掛けていないので本来は施錠したことになる)扉を開けるともうそこは別世界。揶揄ではなくて本当に次元が別の世界が広がっている。


 「白き箱庭」に建っている建物の扉と私達の住んでいる建物の扉を繋ぐこの鍵は私と藍苺以外は持っていないものだ。と、言うよりも、持っていても使えないだろうが。因みに私の眷属の皆は鍵無しで行けるようになってます。姿が見えないときは私の陰経由でこっちに来ていることがあるみたいだ。


 扉を抜けると目の前に広い中庭があり、真ん中より少し奥に大きな桜の木のがいつも花を満開に咲かせている。毎日お花見出来ると藍苺は思っているが、毎日見ていたら飽きる。だが、この花はいつ見ても圧倒されるほど綺麗だとは思うが。只、この木の下でお花見なんてしようものなら舞い散る桜の花びらで料理も酒(お酒は二十歳から、これ絶対!)埋もれることになるのでお薦めは出来ないけどね。この建物の縁側でするのが無難かな?


 その広い庭の丁度真ん中辺りに小さくなった薔薇が、ちょこんと鎮座している。まぁ、植物だから静かにお喋りもせずに大人しくしているのは当たり前だけど、この世界もあの世界も喋る花も動く花も更にあるからね。その大半が私達九尾一族の仕業とか言われているけど。


 鎮座している薔薇に近付くと少し水が足りないのかクタンと元気がない。それもその筈、ここに移動させてから植えることもせずに少しの土と根を厚手の布で覆って縛っているのだから元気がないのは当たり前だろう。普通の花なら当に枯れている。そして水もあげていない始末。

 でもこれには理由がある。


 大人しくても妖怪植物。配下に下す前に下手に地面に根付かせようものなら、広げた根でなにをするか分からないからだ。


 その昔、未来を有望されていた九尾の若者が自分の力を過信して妖怪植物を自宅に植えたら・・・・翌朝骨だけの姿になって発見されたとか。そんな逸話があるくらい危険だからだ。ま、この薔薇には人を一晩で骨にするだけの力は無いと思うけど、私が使役している植物の中では結構危険な部類だと判断した。


 だから私の領域とも呼べるこの「白き箱庭」で使役するまで放置していたのだ。


 この領域は時間、天気、環境、全てが私の意のままに操ることご出来る。元は白神の持ち物だったが白神自身が引きこもり気味なので不用と言うことで譲り受けた。たまには外に出ろよ、後、新作のゲームの感想早よ。


 おっと話がそれた。



 念には念を入れて薔薇の周り全方向に球状の結界を張ってあるので例え布を破って根を張ったもしても意味がないし、私の領域で好き勝手はできない。・・・なんだか中二を拗らせたみたいな話になってきたが、仕方ないだろ。私にとってはこれが現実なんだし。物語ってのは非現実的なものなんだし。


 ファンタジーにリアルを求めるなんて無駄でしょ?



 おっとまたそれた。




 ※人の言葉ではない言葉は『』で表記しております。()は念話だったり声を出さずに喋っています。



『やあ、調子はどうだい?』


『調子?調子も何もこんな状態で放置した奴が言う台詞かっての!』


『だってそうしておかないと逃げるでしょ?』


『当たり前だっつの!・・・・・はぁ!?お前俺の言ってること分かってんのか?』


『理解してるよ薔薇くん』


『・・・・・(絶句)』



 少し萎れた薔薇は動きはしないがまた一段と萎れたように見えた。と言うより人間味溢れる植物だこと。私が今現在使役している植物は妖怪ではないのでここまでお喋りで個性的な奴は初めてだ。てか、他のは喋らないけど。


 これ以上枯れても困るので少しだけ、ほんの少しだ水を与えた。―――――与えない方がましってくらいに少しだけどな。



『・・・おい、くれるならもっとくれよ』


『それが人に頼む態度?』


『お前がこんな状態で放置したからだろうが!』



 と、吠え始めた。ウーン、声を聴こえるようにしたけど、聞こえない方が良かったかも。煩いし。


 あ、この薔薇の声は本来なら聞こえないよ。聞こえてたらあの場で事情を聞いてたし。これは私が薔薇に波長を合わせて声を聴こえるようにしただけ。これも長年植物を使役してきた九尾一族の業ってやつらしい。使役してしまえば簡単な意思の疎通は出来るだろうけど。する前なら此処までハッキリとは聞こえない。



『そう。あー、キミが育てた草花は薬物法に引っ掛かるなんて生温いと言えるくらいに劇物でさー、処理が大変だったんだよねぇ~。人型の妖怪なら極刑ものなんだけどねぇー』



 勿論全て嘘である。まぁ、極刑にはならないにしろ終身刑ではあるので罪は重い。しかも執行猶予も仮出所も無しと本当に一度入ったら一生出ることはない。これは人間でも妖怪でもおなじだ。


 だが草花の撤去は簡単だったがその他の後始末は大変だったのである意味では嘘ではない。ハズ。



『はぁ? それって俺には関係無いだろ。だって勝手にあのハゲの先祖が俺を植えて周りに変なモン植えやがったんだぜ?何で俺に罪があんだよ。俺悪くねーじゃん!』


『まぁ、そうなんだろうけど。でもな、キミが居なければこんなことにはならなかった――――とか言ってくるヤツも居るわけで。』



 ま、そんな事を言ってくる奴は弱味を掴んでちらつかせて二度と絡んでこないようにするけどな。


《すると言うか、もうしましたよね?》


 クラウドさん、黙ってようか?


《イエス、マスター》



『え、・・・・俺殺されるの?』




 運の無い薔薇君でした。








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