断罪って中二っぽいよね
お久しぶりです。時間が経っての更新なのでもう待ってる人もいないだろうなぁと思いつつ、自己満足で完結させるまでは続けていきたいと思います。
話が少し飛んでるかも知れませんがご容赦ください。
どうも、殿下の雑用係の紅蓮です。
前の話で狸オヤジの不正やら色々と探していたものが見つかりついさっき全て殿下に報告したところです。
ん?その後どうすんだって?
私の仕事は終わりです。後は王と側近達の仕事です。私の仕事ではないです。それに、今の私のすべき事はこの村の立て直しに助力することであって狸伯爵への断罪とかでは決してありません。
ぶっちゃけると面倒なんですよこれが。
物的証拠だけでなくあらゆる面から証拠や証言を集め、照らし合わせ、どの罪が法に反しているかとか、複雑な事が諸々とあるんですよ。腐っても貴族ですし、当主の座から下ろすだけでも骨が折れます。私に直接の害がなければ私自ら手を下すなんてしません。義理もないですし。
その後も跡取りを誰にするかとか後処理も大変そうですしね。
後は殿下経由でどうにかしてください白の王。
さて、狸オヤジの件は殿下に任せるとして私は村の根本的な解決をしないといけませんね。
この村の問題。それは唯一の特産品である高級木材の白杉が全く育たなくなり魔物も増えたことですかね。
無闇な植林で自然を破壊したせいもありますが森を見たところまだ再生の余地はありそうでした。森自身の再生の力もありそうですし。
問題はその再生を阻む“何か”に妨害されていることですかね。
解決方法ももう判明しているので後は実行するだけ。こちらの方が私好みで面倒なんてありませんよ。
ある程度の力がないと出来ませんけど
この世界に突如現れた魔素に生き物達が適応して幾星霜。しかし適応したからと言って全く無効化している訳じゃない。人間も妖怪の血を取り入れ適応したが、大量の魔素には耐性がない。木々も同じだ。大量の魔素に耐性を持ち尚且つ無力化出来るのは古い血をもつ一族の妖怪だけだ。つまり私とかだ。
この村周辺はとある事情から魔素濃度が魔物を活発にさせる程濃くなっていて後少しでも濃くなっていたら人体にも影響していただろう。それはある程度の国の上層部も予想していたらしい。
そこで私に白羽の矢が立ったのだ。
最近力をつけてきた貴族達から見れば目の上のタンコブなギルドマスター。その次にギルドを束ねる副ギルドマスター。私の両親は文句なしに古い血をもつ一族の純血の妖怪だ。
人に害が出ないレベルの魔素ならば浄化など造作もない。
が、目の上のタンコブを貴族達は頼りたくないし借りも作りたくない。
なのでその息子たる私が同行者に選ばれることになったのだ。嬉しくない。
選ばれた理由は私が殿下の雑用係だからとか言うよく分からない理由だった。
これって何の理由になってるの?子供だったら良いのかよ!?父さんと母さんと何が違うのさ?
おっほん。ま、どうでもいい意地の、どうでもいい理由から選ばれたってことさ。ホントにどうでもいいね。
さて、早いとこ浄化を済ませてしまおう。
皆が寝静まる真夜中。昼間よりも不気味な雰囲気の森の中、薄暗い靄が噎せるような瘴気を漂わせながら魔物を呼び寄せる―――
ここは狸伯爵の庭園。森の奥にひっそりと隠れるようにあるこの庭園は何代もの前から様々な場所から集めたのだろう多種多様な花々が異常な程瑞々しく咲き誇っている。
だが今の季節は初夏に差し掛かるか否か。しかしここの花々は季節に関係なく色々な種類が咲いている。不気味なほどに立派に。
その中でも一際毒々しい薔薇が庭園中央に植わっていた。見た目から痛そうな棘をもつ蔦が女性を象った石像に絡まり様々な色の花を咲かせていた。全て同じ木から伸びた蔓から咲いた薔薇だ。
赤や黄色、朱色に青。紫に緑まで様々。
その薔薇の周りには甘ったるい匂いの桃色の小ぶりの花が咲いている。本当に頭がくらくらするほどの噎せかえるほどの甘い匂い。
(茸入道の時といい、これといい、吸い込んでヤバそうなのに妙な縁があるなぁ)
着物の裾で鼻を抑えながら庭園の異様な光景を見渡す。
こんな所に嫁さんを連れてこなくて本当に良かった。力尽くでも付いてこようとした藍苺を叩き伏せ――イヤイヤ、説得(物理)をして置いてきた。
《お見事でした。あれはコブラツイストでしたっけ?》
うんうん、それとジャーマンツープレックスもね。この頃藍苺何を思ったかプロレス技を掛けてくるから私も覚えちゃったよ。どこで覚えてきたのやら・・・。
この桃色の小ぶりの花は所謂違法薬物に指定している白の国では栽培は勿論、所持でも厳罰に処される。その花は存在するだけで耐性の無い者には劇物であり中毒性も極めて強く、現存するどの違法薬物の中でもとても厄介な物で一度使えば辞めることはできないと言われている。体にも勿論良くない。良い物なんて無いだろうけど。
花からは媚薬効果のある香水が作れるが使えば悲惨なことになるのでどちらにしろ国は使用も所持も認めていない。
葉からは高濃度の薬物が取れ、根からは一滴で心臓を止める程の毒を生成できる。
実肉は何も害はないが種は猛毒。まるで河豚のような実をつける。河豚のように美味しくはないが。
なので害しかない植物なのだ。
だが、そもそもこんな場所に自生している植物でもなく、ここの気候には合ってないはず。元々高地に自生してもう少し丈も低く花もひとつ程しか付けないはず。なのにここの物は丈も高く花も多くつけている。栄養云々でここまで育てることは不可能な程弱々しい花なのに。
考えられる可能性はあの色とりどりの花をつけた薔薇だろう。わずかだが妖力を感じる(アホ毛よろしく髪がたったりはしない)。あれが養分と弱い性質を補っているのだと思う。それ意外あり得ない。
あのカラフルな薔薇もこの辺には無い種類(というか妖怪)だが、弱い植物を補佐させる為に庭に植えられたのだろう。自殺行為だろうに。
植物には妖怪と魔物型の二種類のものが存在している。妖力を持ったものが妖怪で持たず異質なもの(動いたり諸々)が魔物型と呼ばれる。凶暴で見境なく襲うのは魔物である程度の意思の疎通が出来るのが妖怪だが、動物系の妖怪や魔物よりも見分けも付きにくい。どちらにしても厄介極まりないものである。
そして植物の弱点を克服しているものも多い。つまり日に弱くないことが多いってこと。
この薔薇は自身で動く事はできない様だが自己防衛の為に毒を持つ植物で固める事は出来るくらいに頭は良さそう。普通の植物の中にもある特定の植物を自分のために利用するものもあるけれど、これは分かっててあの桃色の花を守っている節がある。
現に近付こうとした私の足に棘だらけの蔓が巻き付いて離れない。
――――あ、別に怪我してないよ。刺さらない棘付きの蔓に締め付けられて痛いだけ。血は出ていない。少し力を入れて引っ張ると千切れるし。蔓自体はそれほど強くなさそうだ。
まぁ、毒のある他の植物で自衛するくらいだからいくら妖力がある妖怪植物でも本体は弱いのかもしれないね。
そういえば薔薇の場合蔓じゃなくて蕀か?まぁどっちでも良いか。
だが、毒のある植物の成長を助けるだけでも厄介なのにもっと厄介なことがある。この薔薇、自身が溜め込んだ魔素を空気中に散布するのだ。で、その魔素に惹かれて寄ってきた魔物を蔓や毒草等で殺し、その養分を糧にまた毒草の範囲を根のように広げていく。あの弱い蔓では弱い魔物でない限り仕留められそうにはないけどね。
※蔓が弱いのではなく紅蓮が頑丈なだけで大抵の魔物はイチコロです。
普通の(魔物化or妖怪化したものに普通もないが)ごく一般的な植物は溜め込んだ魔素を外に出すことはなく、種や根や葉等に溜め込む。が、色んな経路で魔物に蓄積されるので対して差はないはずだ。
こんな人里に近い場所でなければ
あ、良く見ると丈は低いけど強力な麻痺効果のある花粉を持つ氷麻痺草じゃないか。触れば皮膚から体内に入り込んで氷のように冷たく麻痺して死んでしまう恐ろしい植物じゃないか。これもこの辺ては見掛けないし、国指定の取り扱い厳禁の劇物だ。こんなものまで良くもまぁ集めたものだ。
桃鬼草(桃色の花の毒草)と氷麻痺草を無闇に焼き払うのは危険と判断。どちらも燃やせば瘴気が充満する部屋に居るよりも悲惨なことになりそうだ。
《どちらもマスターには致死性はありませんよ?》
(他の動物やら周辺の生態系には悪影響でしょ?)
それに、火にかけた唐辛子の様に目に染みそうだから嫌です。
《それは―――確かに嫌ですね》
あれは私でも転げ回る激痛だったよ。ゴーグルとガスマスクは必須だ。
どうしてそんな痛みを知ってるかって?
体に害の無い農薬を作るときに少し試行錯誤しててね・・・そん時に目に入って地獄を見ました。
(さて、長話もこの辺にしてこれを片付けないと)
《あれを使うのですか?》
(うん。面倒だし“アレ”を使うよ)
さてさて、ここに取り出しますは闇色よりも闇色。そんな物騒な色をした玉でございます。
この色以外は光を透さないを除いて普通の玉。しかし消したくても厄介なことに「燃やせない」「砕けない」「触れない」「動かせない」と消し去りたくても消せないモノに投げます。
すると、なんと!――――
(あらま不思議。跡形もなく消えてしまいます!)
《うわぁーすごい。これなら面倒な片付けも大助かりですね》
(その通り。すごいのはこれだけじゃありません。なんと範囲指定も出来て対象指定も出来る!)
《それなら一々仕分けしなくても良いんですね!》
(そして更にスゴいところは――)
《何ですか?何ですか?》
(なんと!また取り出さなくても勝手に収納したものを分子レベルまで分解してくれるんです。これで面倒なご見捨ても解消されます)
《ホントにすごい。でも、間違って収納したものはもう取り出せないんですか?》
(いいえ、勿論そんなことはありません。後から取り出したいものは分解しない限りはいつでも取り出せます。それに任意無しに分解を始めることはありません!)
《それは安全ですね!》
(欠点は生きたものは収納出来ない点ですが、そんなことをすることなんて無いですから)
《あったら恐いです》
(そして、なんと!なんと!)
《勿体ぶらずに!》
(中身が消えれば何度でも使えます!)
《それなら何度でも使えてホントに便利!》
(・・・・)
《・・・・》
これが深夜のテンションの為せる技か。
何が書きたいのかよくわかんなくなってきた(爆)




