私の眷属は凶暴です
ハローエブリワン、何で拙い英語で挨拶したのか不明だけど、どうも紅蓮です。
前回に引き続き霊体化して狸達の一人、と言うより本命のターゲットである狸伯爵の後を付けています。霊体化していると言っても誰かに認識されてはいけないので多少離れてますけどね。ホラ、勘が良い人って結構居るんですよこの世界。所謂霊感ってヤツね。妖怪の血が流れてるからねぇ・・・・・ちょっとやり辛いわぁ~
さて、そのタヌキですが。今は護衛の奴ら(八雲の元お仲間)と只今別行動をしております。奴らはきっと何があったとしてもここに駆け付けることは無いでしょう。八雲は黒い笑みを浮かべてましたし、逃がしはしないことでしょうね。命じたのは私だが、少し八雲が怖っ、いえ、何でもないです。
そのタヌキですが、只今自室で酒を煽っています。それも飲み過ぎで顔が真っ赤になるほどに。自暴自棄気味な呑みたかをすると悪酔いしますよ?ま、そうしたくなるのも仕方無いでしょうけどね。あ、ちょっと目が充血してるわ。このまま飲み続けたら白目が黄色くなりそう。
大猪騒動の時に無事に村に帰った殿下に根掘り葉掘り魔物が増えている原因を知らないかと聞かれてましたものね。答えられるはずもないのでのらりくらり、少し不振気味に言葉を濁してはいたが、嘘をついているのは誰の目にも明らかだった。てか、笑顔で根掘り葉掘り質問していた殿下が恐かった。負のオーラ的なものを背負ってたよあれは。
まぁ、そんな殿下を見たら余計言えるはずもない。その“魔物の異変”についての“原因”を知らせれば自分がただでは済まないのだから。てかホントに殿下顔が恐かった。強面だから・・・
魔物とは本来は普通の野性動物が魔素により凶暴化したもので自然と増えはするが、爆発的に増えるには人為的な原因が殆どだ。棲みかを奪われれば動物達も危険を承知で魔素の濃い森の奥まで踏みいることになるだろうし、そんな草食動物を捕食する肉食動物もドンドン体に魔素が溜まり魔物化する頻度は格段に高くなるのは当たり前だろう。
特にこの村は魔物を寄せ付けない性質を持つ白杉林の為に森が切り開かれ動物の棲みかは減っている。それも年々林は拡げていったようだ。
人間の都合で小さな虫やバクテリア等の餌でもある落葉樹の木々は伐られ、木の皮を食べると言う理由で鹿たちは狩り尽くされ、家畜を狙う害獣とされた熊や狐、狼達は駆除され、残った動物達は此処等一帯から追いやられた。
山の土には予め養分があったから植林していった当初は白杉も元気に成長していったことだろう。しかし、養分が枯渇していって減る一方な事に人間達は気がつかなかった。
この自然界に不要なものは一切無い。落葉樹の葉は腐り分解され養分に、肉食動物は草食動物を食べ数を安定させ、草食動物は緑を食べ結果的に管理している。そのバランスを崩すのはいつもの人間なのだ。
その事に気が付いたときにはもう遅かったのだろう。この地はもう白杉を育てる力はない。
狩りの時に林を見渡したが、申し訳程度に残っていた落葉樹もすっかり枯れて土は硬い砂の様な有り様だった。あれでは雨が降ったら土砂崩れを起こすだろ。植林しては斬り倒すを続けていたこの土地は深く根を貼らす木々が全く無い。あっても申し訳程度に残っていた落葉樹だけ。これでは土を抑えてはいられない。
話がズレたし長くなった。閑話休題
このタヌキは何代も前からそれを知っていたにも関わらず目先の利益だけを優先して何も対策を講じて来なかったのだ。まぁ、このタヌキの先祖だ。言っては悪いが家を継ぐ奴らは揃いも揃ってコイツそっくりなゴウツクバリ共でマトモなもの達を排除してきた一族だ。対策を講じる能も無かったのだろう。
そして殿下に原因を聞かれやっと焦り始めたと。
本当にコイツ馬鹿である。
(目先の事しか考えず金儲けをするからこうなるんだ)
私だとて思い付く限りの予想はする。下町に学校を作る時だって慎重に考えたんだぞこれでも。何処まで教えるべきかとか(ほら、勉強が出来たところで職に就けるとは限らないでしょ?)、どうすれば将来手に職を持てるように教育するべきかとか(生まれで職が全て決まるわけではないが、誰もが官僚になれるわけでもない。農民は必要だし、学校に通うとそれだけこの家の労働力が失われるわけで反対意見も多い)、だから私は最終的に最低でも一週間に2日は学校に通い、他は家で各自自習ということに決めた。勿論将来ギルドに入りたい(あるいはお小遣い稼ぎに)子供は特別枠として必要な事を学ぶかを選択できるようにはする。
そして進級するかは親と子で相談して決める。義務教育は活字と足し算引き算程度に留めておく。
後は各家事に任せることにすることで合意した。
余談だが、小さな村や町にまで学校を建てようという案が出たが私はこれに反対した。それに白の王は貴族とは言わないまでもある程度の知識を身に付けさせようと義務教育制度を提案したのだが、私は真っ向から反対した。これには両親も殿下もビックリしていた。
私としての意見は「下町に活字の普及を提案したのは下町の住民が農民ではないから」であって国中で活字普及を推進しているわけてはないからだ。下町の住民は田畑を持っていないものが大勢いる。なので仕事は人と関わる者も多い。何より文字て溢れている王都で字が読めないのは死活問題だ。
だからと言って市民街で仕事をするのは例え字が読めたとしても風当たりは強いだろうが。
下町を納めるものとしても税金は徴収しなければならない。その為には仕事に就かせるしかない。だが、差別的な者が多い市民街では録な仕事も出来やしない。
そこで私はギルドで簡単な仕事をさせようと思ったのだ。だが、仕事を受けるにも字が読めないと受けられない。簡単なお使い仕事も依頼人に代金を誤魔化されたりするかもしれない。
だから教育を施すのであって、農作業主体の農民には今のところ必要は感じないのだ。まだそんな時代ではないだけでいつかは必要になるだろうけど、今は必要ない。
特に膿の出きらぬ今は何をやっても失敗しそう。
っと、話がずれてた。戻そうか。
つまりね、私でも先の事まで(とは言え私の考えも虫食いの穴だらけなもので胸を張れるものでもない)考えないと領主なんて勤まらないのさ。私でも色んな人の意見とか聞いて考えているんだから。簡単な仕事じゃない。代々の積み重ねも必要だよね。
私初代だから大変で大変で……
あ、またずれてら
私が誰に話しているか分からない脳内会話をしている間にもタヌキは愚痴愚痴と愚痴をこぼし始めた。勿論最初から一部始終録音録画バッチリです。
さて、小難しい話は無しにして本命の証拠いきますかね。
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場面は変わりましてここはタヌキの夢の中。さっきとは時間は其ほど経っていない。10秒位は経ったかな。
私の能力の一つでこのタヌキじじ………タヌキ伯爵の夢、というか夢を通して記憶を探っている。今ここね。
それにしてもコイツの記憶(ってか夢)の断片が煩悩で溢れかえっていて胸焼けしそう。何がって……………食い物の山盛り(肉ニク肉にく……)もう胸焼けしてきた。しかも夢だけど匂いとかリアルで吐きそうてか、吐いていい?コイツの夢の中だし(例え何をしても良いか・・・・いや、問題が発生しても面倒だ止めとこう)。
そしてキレイなお姉さん達を侍らせていた。男って好きだねこういうの。今私男だけど未だに理解できないわ。ま、例えイケメンを侍らせていても共感できる気がしない。そもそも人嫌いな私が他人を周りに侍らせたいかって言うと、無しだな。うん。
また逸れた。
ま、変態スケベ親父が鼻の下伸ばしてる光景が有るだけ。とてもじゃないけど見ていて良い気はしないでしょうこれは。
あ、モザイクな光景はないので悪しからず。有ったとしてもスケベ親父がお姉さんの足とか撫でてるくらいかな?あ、お姉さん夢の中の住人でも嫌がってるし。スケベ親父(タヌキ伯爵)の夢の中なのに。
そんなタヌキ伯爵に悪夢のプレゼントのお届けです♪
さてどんな夢にしようかなぁ。夏はまだだけどホラーな夢も良いかもね。
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あー、こちら八雲。達を発見。命令通りターゲットをからかu・・・混乱させるための行動に入るッス。
あ、どうも。両親が稀に見るチート気味で自分は普通寄りだと思っている主(紅蓮)の眷属の狐妖怪八雲です。眷属になるまで色々とあったけど、昔の事なんて最近じゃ思い出してなかった俺ですけど、昔の怨み(毒で弱らせられたとか、ご飯取られて餓死しかけたこととか、怨みはいっぱいある)を晴らしても良いよとボス(紅蓮)に言われたので(ただし殺さないこと)楽しもうと思ったが、正直なところそこまで楽しくもないのだ。
だって今幸せッスから。あ、リアルは充実してますけど、彼女とかは前世含めて居ないデスケドナニカ?ボスには色々と勘違いされてますけど、彼女なんて居ないッスから。え?王妃の侍女と良い仲じゃないのかって?
あぁ、あの人俺の前世の姉貴ッスよ。
あの人も一緒の事故にあったッスから、同じ世界に転生してても不思議じゃないッスよ。その姉貴曰くここは素人が制作したフリーゲーム(その内ちゃんと商品化したらしい)の世界らしい。どうも姉貴も数少ないフリーゲーム時代からのプレイヤーの一人で結構好きだったとか。あ、姉貴は「勿論ゲームの世界に転生したからといって俺TUEEEEEとか逆ハーとか怖くてする気無いから。だってチート多すぎだもん」とか言ってるんで多分この後も表舞台には出ないそうッスよ。
それに姉貴は結構現実主義だから何もしないと思う。いや、面倒臭がりとも言うか。家でごろごろ漫画でも読んでる方が幸せってタイプッスからね。
さてさて、話を戻して昔のお仲間達を混乱させますかねぇ。アハハ、アイツらホントにウチのボス敵に回すなんてなんてバッカだねぇ。敵には容赦ないッスよあの人。
今から少し前に他国(黄の国じゃな別の国)と小競り合いが勃発した時なんて、敵の要人を暗s・・いやいや、まあどうにかして彼方側のトップ陣を恐怖のドン底に叩き落とした位だからね。ホントに見方でよかったッスよ。
あ、これ藍苺様には内緒ッスから。ボスがエグい方法で解決したの内密にしててくださいよ?
「(って、何独り言言ってんだろ俺・・・)」
変にテンションが上がっている所為なのか何なのかは今は気にしないことにする。
それよりもターゲット達をタヌキ伯爵からそらさなければ。
そこで活躍するのはこの特殊な銃弾だ。何が特殊って、弾が残らない優れもの。潜入任務にピッタリな銃弾だと思う。
でもさ、あれッスよ。こういうのって攻撃力が極端に低いもんなんスよ。この銃弾よりもゴム弾の方がいたいスッスからね・・・アレ、マジで当たり所悪いと失明したり死ぬッスよ、割りとマジな話で。だから、ゴム弾と侮って人に向けちゃダメッスよ!
また誰と話してるんだろ俺よ。
オッホン。
で、方法なんスけどね、簡単ッスよ。この特殊な銃弾で誘導したい場所を撃つんス。ま、これに引っ掛かるなんて馬鹿位だろうと思うでしょ? これが意外にもよく引っ掛かるんスよ。
特に護衛のクセに酒なんか飲んでる馬鹿には最適なんスよこれが。ボスは多分気絶させたり遠ざけたりそんな方法を提案してたと思うけど、俺はちょっとコイツらで遊んでみようと思う。
あ、復讐なんてしない的なことは言ってたかもしれないけど、こんな楽しそうなことをやらないわけないじゃないスッか。
だって俺は狐妖怪ですからね!
楽しいことは大好きッスよ。
アハハハハハハ
あ~あ。ホントに人をからかうって愉しいなぁ




