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ただ今幽体離脱中です

 魂だけで行動してると怖いですよね?


 幽霊云々ではなく、戻れなくならないかとか・・・

 どうも。皆様…幽体離脱中の紅蓮です。



 どうも本体(体)の近くに藍苺が居るみたいですけど……ま、危なくなることはないだろう。

 …………何か藍苺がイタズラしたら……フフフ




 おっと、思考が明後日に行ってた。失敬、失敬。




 万が一藍苺が私の状態(幽体離脱)に気がついても他のメンバーに漏らすこともないだろう。藍苺だってバカじゃない……多少猪突猛進だけども



 護衛も置いてきたし大丈夫さ









 さて、何がどうして幽体離脱なんかしているかっていうと……あ、その前にどうしてこんなこと出来るかって疑問が湧くよね?


 お答えしましょう。



 答えは単純……精神だけ異世界転生してた代償か何でか不明だが、多分そのせいで魂が体に定着しきってない……ってちょっと怖い状況だからです。


 白神曰く「心配ない。不安定なだけで時間が経てば自然と体に戻る」らしい。ほ長い付き合いになる白神の嘘くらい見抜けるようにはなっているので嘘じゃない様だ。



 けれど怖いので滅多なことでは使わない。体にも負担はあるからね。死にはしないけど。





(殿下の側近?は辛いよなぁ)



 常人には見えない半透明な自分の今の姿を見下ろしながらぼやく。


 そもそも、まだ王太子になったばかりだからか側近が私しか決まっていないのが問題なんだ……王宮では誰の孫ないし曾孫が側近になるかで老害共が揉めているし、武官の中では誰が側近になるか賭けているもの達まで出始めた。



 別に賭け事は気にしないが、あの老害共には辟易する……元は先々代から国を王と共に国を支えてきた有能な家臣だったのに……年を取ると頑固で欲も深くなるものなのか……もう本当に隠居してほしい―――いや、私が隠居したいよ。



 そのせいで未だに足の引っ張り合いで中々有能そうなのが出てこないのだ。出る杭は打たれるって言うしね。爺共は鼻は良いからね鼻は。



 武官……と言うのはまぁ、騎士の事だよ。昔は武官と呼ばれていたけど、どうも何代か前の王が「武官よりも騎士の方がカッコ良くね?」とかほざいたせいで変わったんだってさ……軽いだろ何代か前の王サマよ。


 因みに兵士は武官に含まれません。元々兵士は平民職だから官職には含まれてなかったらしい。ま、今では兵士から花形の騎士に上がることも出来るようにはなったけど。それでも狭き門だよ。

 あの何代か前の王サマ良いこともしてるんだね。



 ま、権力とかお金に縁がなかった人が権力持ったら大抵悪い方に進んでいったりするよね。それがあるからあまり私は共感できないって言うか、私もこれ以上権力持ったりしたらどうなることか。





 で、騎士は粗方目星は着いてるみたい。ま、今のあのメンバーが側近候補――問題もなければ晴れて正式な側近になるようだ。本心では文官も欲しいところだ……いや、私は文官が欲しい。私の負担が減る!!



 そう、この視察は彼らにとって試験でもあるのだ。



 で、私が今の姿をしている理由ってのが……




「どう言う事だ!」

「我々も困惑しております閣下」

「何故人望の無い第一王子に騎士が五人も護衛についているのだ!」



 悪巧みしてますって自己主張が激しいオッサン(領主のタヌキ伯爵)とその配下の子悪党が体を縮めてコソコソと話し合いをしておりましたとさ。


 そして取り出しましたるこの珍しき宝珠……母から譲り受けた――いけ好かないハゲ(とは限らないが)オヤジ共をコレでイチ殺よ♪byマミィ――録音&録画型宝珠で今のやり取りを記録……証拠はバッチリ。言い逃れはできないように、逃げ道を一つでも見逃さないように……



「それにしてもやはりあの女狐の息子……白九尾が出てきたな」

「ええ……」



 女狐ってのは母さんの事で白九尾は私の事だな、白いからね私は。



「あの小倅には昔苦汁を舐めさせられましたからね……」

「ふんっ、ならば腹いせをすればよいだろう…何のためにお前らを匿ってやったと思っているんだ」

「このご恩は忘れてはおりませんよ…」



 おーやぁ~……そう言えばあの子悪党何処かで見たことある気がするのだけど……もしかしてあの時の暗殺者(笑)かな?



『説明しよう!


 あの時の暗殺者(笑)とは、前作の後日談で出てきた暗殺者集団の一人だ。とは言え実行部隊ではない。元は八雲も所属していた里ではあったが、紅蓮の逆鱗に触れてしまい……里は壊滅。さ迷いボロボロの所をあのタヌキに拾われていたようだ!―――以上』




 何か説明が入ったが気にしないで欲しい。




「しかし……あの小倅も当時は八つの餓鬼だったろうに。情けない…」

「あの者はバケモノでした。我々ではどうにも出来なかった」



 否定はしないよ。あぁ、私はバケモノさ。



 でもね、バケモノはバケモノでも比較的温厚なのよコレでもさ。


 まだ私に対してウンタラカンタラ喋っているが、私は脳内通信を八雲に繋いだ



(HQ……こちら紅蓮)


『―――あー~…こちら八雲……どちらかと言えばHQはそっちだと思う八雲です、どうぞ』


(まぁそう固いこと言わないで。そっちは今暇?)


『そうっすね……分身置いていくなら暇ですね』


(大至急来てくれない?)


『了解しました…』





 八雲の昔の古巣だし呼んでおいて損はないと思う。特に奴らの手段とか知らないのは不利になるからね。



『呼ばれて飛び出て……』


(じゃじゃじゃじゃーん?)


『そっすね……で、どうしたんすか?ボス』


(いやね……)



 説明しているときの八雲は『あのジジイ共生きてやがったのか…』と物騒なことを言ってました。うん、八雲さん?私はあの里の人たち殺してはないからね?半殺しには仕方も知れないけど。五体だって満足だったよ?


 私に対する八雲の見解が垣間見えた気がする。




(で、だ)

『はい』

(今回バックアップに着いてもらう)

『詳細は?』





 八雲は狙撃が得意だ。コレまでそれが生かせる場が無かった。頭の色も隠密には向いてないが、隠密からの狙撃は見事なもんだよ。身をもって知ってるから



『でも弾が残れば問題に……』

(それなら大丈夫さ……はい、テッテレ~空気弾~)

『透明な姿でやるとホントにシュールっすね』

(だよね)



 本体ではないから影に収納していた弾をクラウドに出してもらい八雲に渡す。


 八雲は説明しなくても読めたらしい。



『つまり、殺傷能力は低いけど不意打ちと証拠隠滅を気にしなくて良いってことっすね?』

(そうなのだ。なんの痕跡も残さない優れもの。因みにそれは私が発明した)



 珍しく私の発明が役に立つときが来た。大半の道具が母さんお手製なので私の発明が日の目を見ることはないのだ。







『不意打ち……ってことはちょっと遊んでいいっすかね?』

(遊ぶって?)

『昔の怨み辛みを……』



 八雲は私と会う前はそれはもう辛かったらしい。笑って話しているが……まぁ、私としてはやりたいならやらせたい。




(ま、方法はそっちに任せるよ。死なない程度にね)

『了解しました』



 そうして黒い笑みを浮かべた八雲は私の命令を実行するために姿を消した。あのタヌキ共をおちょくりに行ったのだろう。



 さて、騒ぎを起こして殿下達が関われる状況を作り出さなければ。それは八雲がやってくれたので後は体に戻り殿下に報告しよう。




 そして村に戻ったのだった。



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