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ふと思い出す。この世界はゲームの世界だと

 連日投稿中



 そういえばこの世界ゲームが元になってたねって思い出した!

 呑気に馬車の窓から長閑な田園風景を見ていたら思い出した。



“この世界ゲームだったわ”



 ―――と。



 この頃それどころでもなく、最近割りと忘れがちだけどこの世界ゲームだったわ。アブね、忘れてた。


 ま、だからと言って今すぐどうこういう話でもないけど。原作開始は私が18歳になってから。今は16歳だから後2年は猶予がある。舞台は黄の国だし、ゲームキャラとしての“紅蓮”は消滅しかけてる。一応のゲーム上の目的の国の立て直しも完了しているし、後は主人公たる大雅が周りに唆されずに入ればゲームの話事態無くなる。


 それによって登場人物達の人生がどうなるかまでは私たちもどうこうする気はない。他人の人生だ、本人達に頑張ってもらうしかない。


 非情だが現実に生きている人間なのだから自分達の足で歩いてもらいたい。



 ハッキリ言ってそこまで面倒見るほど私はお人好しになるつもりはない。




 物語の話をしよう。



 大筋の流れは乙女ゲーでよくある?世直し&魔王退治だ。が、これが少々癖のある設定で……。



 主人公は黄の国の王子大雅。デフォルトの名前なのでゲームでは変更可能。そう、このゲームでは主人公は男1択なのだ。それでいて攻略キャラは男女各々十数名。同人作品なのにすごいボリュームである。

 キャラ考案とシナリオ、キャラ絵担当のミケ(現在のマオ)曰く「純粋にギャルゲーを楽しみたい男でも、腐心満載の腐女子でも楽しめるゲームを目指した」らしい。変なところに力を入れたな。


 で、私の立ち位置は“血の繋がらない兄王子”でゲームでよくあるサポートキャラ的な立ち位置で、絶対に攻略出来ないキャラその1だ。その2は藍苺です。このゲーム略奪愛も出来るのだけどこの二人だけは切り離すことは出来ないのだ。ま、選択肢によっては死別させられるけど、どちらにしても攻略不可なのには変わりない。


 さて、始めにも言った少々癖のある設定というのは……退治する魔王が主人公の選択肢によって変わるって所かな。


 この世界での魔王は“有害な魔素(魔力の源)をばら蒔く世界の敵”と認知されている。が、魔素は魔力の源で空気中に多少なりとも存在していて、取り込みすぎると誰でも暴走する可能性があるい所謂中毒性があるだけで世界からは消し去ることも出来ない物質だ。



 ま、魔素が無くなって術が使えなくなるのは人間だけで妖怪はその影響を受けないけどさ。



 魔素=酸素と思ってくれていいよ。火を燃やすのに必要な酸素的な。



 あぁ、説明は面倒だわ。難しいし。慣れないことはするもんじゃないね。



 で、その魔素を主人公は知らず知らずのうちに仲間の誰かに託してしまうって話だ。大体が魔物と闘った後に始めに話しかけたりするとそのキャラに魔素が溜まって最終的には魔素が一番溜まったキャラが魔王になる。


 この場合高確率で私が魔王になって討たれます。勿論攻略キャラにも魔王フラグが立つこともあるので攻略不可な私や藍苺が魔王になることが高い。それでなくても私は死亡フラグが立ちやすくて……不憫キャラの称号は私と藍苺しかないとユーザーにまで言われてたらしい。



 私自身プレイしてないので知らなかったわ。演じただけだし。


 あ、そうそう。私が紅蓮の声を演じました。個人で作ったゲームだからね、プロには頼めないでしょ? ―――一人だけプロが混じってたって聞いたけどさ。どうした、一体……




 ま、まぁ…いいか。



 でね。私含めて藍苺も死亡フラグが立ちやすくて初めのうちは戦々恐々してたけど、面白いほど原作通りにならなかったので今はあまり心配してないのだ。だって私達黄の国の王宮に住んでるわけでもないし、大雅イガグリに対して協力するかって言われたら―――



 ……鼻で笑うかもしれない






「―――と思うのだが……紅蓮?聞いていたか?」


「―――(クラウドさん、どんな話してたの?)」

《これから行く村の現状の確認を》

「(あぁ、ありがとね)――そうですね……あれから一ヶ月経ちますね」



 村から来た若者は外で道案内の最中。話を聞きたくても多分それどころじゃないだろうし……一ヶ月でどれだけ悪化したのか……村に先んじて派遣した文官達からは報告を貰っている殿下だが、自分の目で見ないと気がすまない守る側からしたら厄介な人・殿下は状況が気になって仕方ない様子だ。


 自分の目で見るのは良いことだが、使用人の一人か二人は連れてきた方がよかったと思う。



 ――どうもあの地方を治める貴族と高官達に舐められそうな気もする。



 貴族は世間体を大事にする……少数精鋭とは言えこんな小規模では彼方がどんな出方をするか……小物なら先ず媚を売るだろうが、下手に大物なら舐められたと憤慨する気もする。



 ま、自分の土地での事に首を突っ込まれた時点で憤慨しているだろう。


 問題はギルドメンバーの我慢強さが持つかってことと、私がキレないかってことが心配な点だよね。ほら、騎士団はそんなこと日常茶飯事だし、今回のギルドメンバーはそこまで沸点低くないし……問題は私の沸点の低さだね。貴族だけど貴族慣れしてないし私。



 まぁ、大人の対応で我慢はするけど、愛想よくなんてのは無理だよね。





「城の外をあまり見たことがない私には予想がつかない」


「私にも予想は出来ませんよ。自分では見てませんからね」


「うむ、そうだったな」




 何ですか殿下、その「お前でも知らないのか?」とちょっと驚いた顔は。私だって全能じゃないです。全能ってのは私の両親に使ってくださいよ。私は数に入ってませんから。



「下調べはしているものと…」


「私も色々と拘束されてましたからね」


「あれは痛ましい話だった」


「えぇ。今後あの様なことは勘弁してもらいたいですね。」


「痛ましい?」


「あぁ、あの事件に巻き込まれたのは支部長と藍苺さんでしたね」



 そうなんだよ。ホントにあれには……うん。



「しかし、だからと言って何も調べていないわけでは……無いだろう?」


「殿下……私一人が貴方の家臣ではありませんよ。私以外にも目をかけてください。これではあまりに彼らが不憫……」



 とか言ってるけど、ぶっちゃけると面倒なだけなんですよねぇ~。



「それもそうか……報告によれば何とか食い繋いでる状況らしい。」


「先遣隊に食料やら物資を持たせておいたのですよね?それも一ヶ月持ったのか……」


「持たせてはいるらしい……が、」



 先遣隊として派遣された部隊の数およそ50人。部隊を維持するだけでも掛かるのに……大丈夫なのか村は。



「卓上の空論では埒が明きません。殿下は今だけの休息を取ってください。村に着けば休息など取る暇はないでしょうからね…」


「あぁ…」



 父上譲りの鋭い目の下には隈がうっすら浮かんでいた……お労しや。



 つかの間の眠りについた殿下を休ませんために馬車の中はなんとも言えない沈黙が……私も目を瞑り神経を研ぎ澄ませておく。

 他の二人と話すのも面倒だったとはあえて言わない。私は結構人見知りだったりする……うん。ダメだとは思ってるよ。




 でも、根掘り葉掘り聞かれるのは勘弁だったし。





「それにしても、こんな小規模で殿下を護衛出来るのか?」


「陛下もどうして承認したのか……」


「俺たち下々の者には分からない先見のなんたらなんだろうさ」


「まぁ、上の思惑はこの際気にしない。殿下の御身を守るのが仕事だ。私情は無視しろ」


「言われなくてもそのつもりだ」




 うん、流石にこの小規模は不安だよね、守る側からしても。でも、ただ大きくても狙われるだけだでゾロゾロ引き連れていくのも効率が悪い。食糧難の場所に働き手として大勢を連れていくにしても、その働き手の食糧はどうするって問題もあるしね。



 手がない訳じゃない。母さんの技術を使えば簡単に大量の食料を運べはするだろう。でも、これが少々……うん。


 人ってのは豊かになると要らんことを思い付くからね。



 大量の食料を確保できる。運用できると知れば、それを戦争面に活かそうとするだろうね。今も私達家族が使っている四次元ポーチを大量生産出来ないか虎視眈々と狙っているバカも居るくらいだからね。


 ホント……人間ってのは……ハァ……





「そこの馬車止まれ!」


「ん?」




 結構なスピードで走行していた馬車と並走していた騎馬隊が止まった。その時の振動で殿下は起きたようだ……もう少し寝ててほしかったのに。


 一体なんだ、ここらはまだ検問所はないはずだ……何処の鼠取りだろ?



「その様な命令は受け取ってはいない。通すわけにはいかないな…」


「お前達は何処の部隊だ?」


「貴様らに話す義理はない。通りたければ……」



 あぁ……失念していた。王都を少しでも離れるだけで“コイツら”が居たのをすっかり忘れてた。コイツらに話し合いは通じない。


 何故なら……



「殿下……今から少々物音を立てますので大人しく頭を低くしてこの場に居てください。お二人もこの場で殿下を守ってくださいね」


「承知した……が、貴方はどうするつもりだ?」




 どうすると聞かれても……することはひとつでしょ。



「説得(物理)です。」




 では後程と言って馬車を下り、まだ言い争っている黒騎士とバカなカモを見つけたと思い込んでいる奴等の方へ歩き出す。


 その間藍苺や他のギルドメンバーが慌てた様子で動こうとしたが目で動かないように訴えてその場に止まらせた。嫁さんはなにか言いたそうに見ていたが一応従ってくれた。




「やれやら……お前らまだこの辺で巣を張ってたか……いい加減懲りたらどうだ?」


「あ゛ぁ? なんだテメェ……は……っ!!?」



 強気で私にガンつけた奴等のリーダー各の一人は私の顔を見た途端、顔を真っ青にして驚いた。


 おや、覚えていても、この辺りで悪さしてたのか……いい度胸だな




「おや、見知った顔ぶれがチラホラと……で? なんでお前らここで検問ごっこしてるのか…なぁ?」


「あ、う、…え、……」


「そそそそそそそ、」


「おい、ハッキリ言えや……あ?」




 まぁ、睨んだら尻尾丸めて逃げて行きました。なにしに来たのやら~。



「では、バカも居なくなったことですし、進みましょうか」


「紅蓮殿……奴らは…」


「あぁ……昔からここらを縄張りにしてた山賊崩れです。帰ってから取っ捕まえてシバいておくのでお気に為さらず…」




 その場の空気が5度程下がったと後に殿下達は言っていたそうな。






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