思いがけない遭遇
白熊が……お行儀よくスープを食べているって……かわいいと思う作者です。
ひと騒動解決してただ今晩御飯時……白熊くんは器用に木の器と木のスプーンでウインナーと野菜ゴロゴロポトフを食べています……嫁さんのキラキラした視線が突き刺さって居心地悪そうだ。
「あんまり見ない……居心地悪そうだよ」
「いやぁ……白熊が器用にスプーンを使って食べてるなんて……目の保養…っ」
感極まってる嫁さんに釘を刺しても効果はないと思いながらも一応注意はした。それでも改善できなかったらごめんね白熊くん。
「ほら、見てばっかで全然自分のは食べてないじゃないか……ニンジン残さないでね」
「はっ!(゜ロ゜)!」
「顔芸はいいから食べなさい」
『いつもこんな感じ?』
「いつもこんな感じっスよ」
私の能力も影響してか眷属になってから動物と話せるようになった八雲に色々と聞いては食べてを繰り返している白熊くんは本当に居辛そうにしていて申し訳ない。
明日にはちゃんともとに戻るんで、今日のところは勘弁してね?
ね?嫁さん?
「あの~…レンさん? 何だか寒気がしてきたんだけど?」
「夜になるとまだまだ気温が下がるからね~。そんな時こそ体を温める根野菜を食べないとね…ね?」
「あ、はい」
『いつもこうなのか?』
「いつものやり取りっスよ」
そうなんだよ白熊くん。16になっても嫁さんの好き嫌い治らなくてさ……少し甘やかしすぎたかな? 何か対策を考えないと……
「ニンジン週間…」
「ギクッ…」
「それともニンジン&ピーマン週間の方がいいかな?」
「殺生なっ!?」
「大丈夫……肉も申し訳程度に出すから……ね?」
「俺が悪かったです。」
『平和だな』
「そうっスね」
『白熊よこれも食べるか?』
『美味しいですよ?』
『それとも生肉の方が良いか?』
『木の実もあるでしゅ!』
『俺はどうしたらいいんだろ?』
「悪気はないっスよ。先輩たち構いたくて仕方ないんスよ……俺の時もそうでしたし」
『生肉?』
『薫製?』
『木の実ですか?』
『果物もあるでしゅ!』
『………』
嫁さんに構っていたら白熊君はポチたちに囲まれて構われていた……ほんと好きだね君たち。誰かを構いたくて仕方ないのね。
巨大な狼に大蛇……人より大きな鳥に可愛いけど胴が長い管狐。みんな何処かで人と関わることに難儀しているから構えるならとことん構い倒したい性分なんだよね。人懐っこいのよこれが。
あ、クラウドさんは自重してます。何前年も生きてるようなものだからね……あ、私もか。ま、ちょっと生きてるとは違うんだけど……
家の中に居るときは体のサイズを程よく調節しているけど、本来の大きさは……ここ数年の間に急成長した。特にポチと夜夢は家に入れないサイズに育った……サイズ調節出来てほんとによかった。
そして本来人を乗せて走れる・飛べる兎天は足のサイズが……逞しくなりました。私の頭なんて一捻りできそうなほどに……あれでキックされたら逝くね。
管狐の奏は元々成長しない種族だけど……サイズを自由に調節出来るようになったみたい。この前なんて小指サイズから枕になれるサイズになって嫁さんの枕になってたもん……妖怪を枕にって度胸あるね藍苺……
白熊の周りに狼(犬サイズ)、大蛇(アナコンダサイズ)、巨大鳥(ダチョウサイズ)に今は人の姿の妖狐にひょろ長い管狐……しかも八雲以外は口に諸々食べさせたい食べ物を咥えていることがかわいくて仕方ない。
―――が、ソレでは白熊も可哀想だ。惜しいがここは中断させよう。
「さて、食べ終わったら早速連絡してみるとしますか……その腕輪少し貸してね」
『取れないようになっているんだ』
「勿論外してくれなんて無理に言わないさ…ただ少し触らせてくれれば良いよ。その腕輪には協力な呪いが施されてるからね、外すなんて無理だよ……それに、触るだけであっちに連絡できると思う。ソレ連絡用でもあるんでしょ?」
確かそんな代物だった気がする……何分昔のことで曖昧だが……まぁ、そんな感じだった。
予想は当たっていて白熊の腕輪は複雑な術式でコツを思い出すのに少々時間が掛かったが何とか彼方の世界の私に繋がった。彼方の私もビックリだが私もビックリした。やった本人だがビックリだ。
(えーっと……ハロー?)
(……えーっと……ハロー…?)
(あ、繋がった…?)
(ええまぁ…聞こえてます……どちら様で?)
(私だよ……白熊の腕輪から逆探知して繋げてみた……約束を果たした愚か者だよ。しかも頑固だ)
(―――あぁ…私か)
あ、これで通じたよね? 何でこんな言葉が出てきたのか知らないが始めに言った私恨むぞ?
……だって何か中二病見たいじゃないか~
言ったらキリがないだろうけどさ。卵が先かヒヨコが先か……だもんね。
(白熊くんうちの国のバカ貴族に召喚されちゃって……多分戻るまで時間が掛かるから…って報告をしようと思って……確か……白熊くん連れが居なかった?記憶が確かなら)
(居ましたねぇ……アザラシちゃんが。それとなく様子を見守っておきます)
(なあ…俺の声聞こえてるか?さっきから黙りだけど……)
(あぁ、まだ聞こえてないんですね…彼には)
(まぁ、聞かれたら色々と面倒だからね)
(成る程…)
自分と話して不思議な感じだが――一概に自分自身とは言えないが――自分自身だと話が早くて助かる。
白熊くんは彼方の世界の私と話終えてスープのおかわりと元気よく言いながらポチたちのお裾分けも貰っていた。……夜夢の生肉は丁重にお断りしていた。八雲が弱火で焼いてあげていたけど……
八雲の家事スキルが着実に上がってきた気がするのは気のせいではない。
もしかするとこの頃何かにつけて家事を疎かにしてきた藍苺よりも出来るようになっているかもしれない……確実に初期ステータスは料理・家事全般は八雲の方が圧倒的に……上だよ。
私もかうかうかしてると追い抜かれるかもしれない。
―――それにしても……白熊くん手先器用だね。
自分で施した術の詳細も忘れていた私であった。
藍苺さんの悪い癖「可愛いもの好き」が発動してましたが、一応分別はありますので抱きついたりはしませんでした。
と言うよりもご本人曰く「抱き付くならレンの獣姿!」だそうですよ。
そして紅蓮に頭を強かに(手加減)叩かれるのでしょうね。
この白熊くん……ええ、作者の他の作品から出張してます。でもあまり出番は無いでしょうね。




