筍は採りたてが旨い
竹の子の旬は過ぎましたが……彼らの世界ではまだ春頃です。
どうも、紅蓮です。ただ今実家の広大な裏山の竹林に来ております。ちなみに藍苺もいっしょです。
「なあ、これ良くないか?」
「長く育ちすぎ……緑になっててエグいし硬いし食べても美味しくないから」
「そっか……」
「まあでも、増えすぎないように抜いといて」
「よっしゃ任せろ!」
力仕事で頼れる男を見せたいのか嫁さんは張り切っている……嫁さんと言っての通り今は女だけどね藍苺。
竹林ってのはキチンと管理しないと直ぐに荒れて周りに無造作に広がってしまうので食べなくても手入れとして竹の間引きをしましょう。
ってなことで今日は筍を取りに来ました。店番は分身の参に任せておきました。お土産要求されたけど……。
さて、狙い目は地面に少しだけ頭を出している小さな筍。コレは長年の勘でしか見つけられないと言われてる……が、まぁクラウドが居ればそんな長年の勘は要らず見つけられる。
何でもスキャンしちゃうんだから……原理がいまだに不明なのはこの際突っ込まない。クラウドも大概チートだよね。転生しても前世の機能が使えるなんてさ……白神の配慮か?
ま、それは良いとして……
《前方二メートルに食べ頃と思われる筍を発見!マスター取ってください!》
(ハイハイ……クラウド筍好きだからね……)
誰よりも張り切っているのはもしかするとクラウドなのかもしれない。
「なあレン……竹と言えば竹取物語……この竹太いから中に居たりして……」
「かぐや姫は居ないけど管狐は居るかもよ?ねえ奏?」
『きゅ!そうでしゅね?』
「奏だけに?」
「そうなのか?」
「………突っ込み求む」
「誰か!読者様の中に突っ込みの方は居られませんか?」
「どこをどう突っ込めばいいんすか?」
「居た!居たよツッコミ!?」
「この頃影が薄かった八雲が居たね」
「やめてくれないっスか?結構気にしてたんっスよ……それに俺はツッコミじゃないって……疲れるんで勘弁してくださいよ…」
とかなんとか言いつつもツッコミをいれるのが八雲の人の良さとお人好しと多少あるツッコミの血が騒いでいるんじゃないかと思うのだが……どうだろうか?
「ま、それは別にいいとして……」
「え?いいんスか…?」
「おお、ツッコミだ」
「いや、藍苺様……ツッコミと違います」
「ま、いいんだよ……それよりも……管狐居ないかなぁ……可愛いし」
「全く、嫁さんは可愛いもの好きだよね~。」
「――何だろう、意味もなく疲れてきたっス」
「「ドンマイ」」
「帰っていいっスか?」
「「ダメでしょ」」
「………ハァ~」
からかい甲斐があるから疲れるんだよ八雲くんよ。こう言うときはそれとなく受け流さないと。
イチイチ相手してたら疲れるぞ。
採った竹の子は直ぐに茹でないとエグ味が出てくるから取ったら直ぐにポーチに収納する。時間が経過しないから楽だね。ポーチ様々だよ。
「あ、これもあった……」
「え?なになに?」
「何スか?」
私が見つけたのは竹の子……何だけど、いつも食べてるのは孟宗竹とか竹の子の代名詞の種類何だけど、今見つけたのは一回りも細い竹の子……名前知らないんだけど、この細い種類の竹の子はホイル焼きにすると美味しい。
あ、アルミホイルは無いけど、焼けない紙(熱伝導銅並み何度も使える高性能♪Byマミィ)で包んで焼いて味噌をつけると美味しいのよ……私的には皮を剥かないで縦に切れ目入れて味噌を付けて焼くのがおすすめ。まぁ、多少のエグ味はあるかもしれないけど、それも含めて春の醍醐味だよね。
山菜しかり、苦い山菜を食べて体を起こさないとね。
まあ、季節関係なくモノが揃う実家の環境の所為でいつも季節感ゼロな食事何だけどね……。店で出してるテイクアウトの料理(朝昼晩の料理の手間をかけさせない。毎日違うお食事をお届けします。By紅蓮)は毎日違うから毎日の献立に困るし……リアルタイムの旬な食材を使った料理のレパートリーなんて直ぐに尽きるわ。ほんと大変。
今度から私の負担を減らすために米粉パンとか普通の食パンを朝御飯にするように計画でもたてようかなぁ……朝ご飯の仕込みが辛いから前向きに検討しよう。白の国では小麦より米の方が圧倒的に安いからね。新米は高いけど、古米・古古米はガクッと値が下がるし、精米の過程で砕けた米も安く手に入るし。
何より、実家で大漁に採れる様になってきたし……母さんも暇で作った製粉機があるからやろうと思ったらホントに出来そうだなぁ
あ、でも米粉使ったパンの作り方知らないや。今度白神に聞いてみよ。それか知識の本に記憶があったかもしれないなぁ。
「ねぇ嫁さん、米粉のパンと普通のパンどっちがいい?」
「固めのご飯」
「……ですよね~」
「日本人なら米っすよ」
うん。そうですね。ウチは皆さんお米派だよね。勿論私もお米派だけど……朝の忙しい時間におかずが必要な和食を一々用意するのは……ぶっちゃけ面倒だ。その点パンはサラダとスープがあれば嫁さん達文句言わないし。ジャムがあれば文句なし。目玉焼きやハムやウインナーを日替わりで出してもいいし。
「週一でパンはダメ?」
「……イチゴジャムがあるなら!」
「俺は置いてもらってる身なんで……食べれれば文句ないっス」
そんなことないのに…ねえ? こういうところ徹底してるからね八雲は。それも自主的に…
「それより……教科書の件どうなった?」
「あぁ、アレね……母さんに相談したら……」
“え?教科書の製作にタイプライター(試作品)貸してくれって?別にいいわよ……でも、大量に必要なんでしょ?間に合うの?……そうよね、無理に近いわよね……あ、そうだわ! ―――っとコレコレ。この術なら原本あれば何枚でも写せるわ。その名も“転写”!……え?そんな術知らなかった?そりゃそうよ……今思い付いたもの♪”
―――以上回想終了
「―――うん、どうにかなりそう」
「……麗春さんマジチート…」
「流石っスね……流石親子」
どう言う意味かな? 確かに私も大概だけど……流石に術を咄嗟に産み出せるほどスゴくないからね私は。すでにある物しか使えませ……あ、作れることもあるけど、中々浮かびませんって。
下町の教育改革はどうにかなりそう。教科書の中身はもう大体は決まった……。絵本を読むこともなかったあの子達には少々辛いだろうけど、詰め込み式の教育方針にしようということになった。
教科書は基本、応用の活用法を教えていこうと思っている。計算は使えてこそ意味がある……それよりも高度な勉強がしたい子がいたら正式に大学院の方に推薦する事になった。
知識を出来るだけ詰め込むのは間違ったやり方だと思われているけど、それだけ知識を詰め込んで後は応用力を身に付けさせれば……流石に日本の教育を今すぐにするなんて出来ない……だからこんな方法をとるのだ。
知識さえあれば多少の人生の選択肢も増えるでしょ……後は今後の課題だね。
読み書きを教える教科書は絵もあまり馴染みのない子供達に文章を読む事に慣れてもらうためにかなりの量の短編の物語や詩、自伝などを詰め込んだ内容なので分厚くなったが……まぁ、紙代も実質タダなのでよしとするか。え?何で紙代が実質タダかって?
実家で作ってるからだよ。
幅広く商品を作っている我が実家では紙は王家御用達の品質バッチリ。和紙を超える強度の紙を作れるのは家だけだろう。その色々と作られた商品を売るのが私の仕事。
思ったんだけど……父さんが戦闘系チートだとすると、母さんは生産系チートだよね。もの作りで右に出るものは居ないよね。
そんな両親から生まれた私はどっち付かずの……中途半端チート(一応)なんだと思う。ちなみに嫁さんは戦闘系チートです。ホントに突撃系のね。帰りを待つ身としては心配の種なんだけどね。
一応事件は解決……しました。でも何かまだありそうです。




