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字が読めるって素晴らしい

 日本の活字普及率はスゴいなと改めて思う紅蓮。



 勢いだけで書いているので誤字脱字等ありましたらすいません。内容もあまり考え混んでませんのでどうぞ気軽い気持ちで読んでくださると幸いです。



 どうも下町のしがない雑貨屋店主の紅蓮です。


 下町の活字率向上のために王家から支援してもらえる手筈が整いました。まぁ、教材と時間の工面諸々はこちらの采配に掛かっているのですが、王妃様の行っていた慈善事業と提携を結び下町にも小塾(小学校の様なもの)を拓くことになりました。


 とはいえ、それだけでは下町の皆さんも大切な働き手の子供たちを通わせてはくれないだろうことは察しています。

 そこで、小塾ではお昼ご飯の配布、普通の授業は3分の1程に留めて生活の足しになる技術を学ぶ――農業や工業等々――授業、料理のレシピや作り方、工芸品の製作、野外での活動を学び何処でも生きていける程の技術を学ぶ……そんな生活の為になる、且つお小遣い稼ぎにもなる。

 それと小さいまだ小塾にも入れない 子供の面倒を見なければいけない子供たちのために保育所を設立を提案した。子供たちの大半は両親が居ない間に家の家事をしながら弟妹の面倒をみている子達だ。


 この問題をどうにかしないと小塾なんて通ってくれない。

 ちなみに給食配布は王家持ちだか他は私持ちだ。貯めといて良かった……。お菓子や料理のレシピ、その他の印税はバカになら無かった。主にカモは貴族たち。新しい物好きだから王家の方々が食べたと知ると面白いくらいお金を落としていく……勿論法の許す限りのね。





 あと、下町の親御さんたちにアンケートを実施している。とはいえ、文字は読めるが書けない人が多いため用紙を配って……という方法はとれない。

 地道に暇な時間お喋りしている奥様方に聞いて回っている……中々の収穫もあった。


 やれ、朝は仕事で忙しくて朝御飯を作るのも面倒等々。主婦が抱えるお悩みは世界共通だと実感した。


 これは朝食にパンをすすめる機会か?この間丁度共同製作で母さんと開発した全自動パン製造マシーンが完成したし……いや、米が余ってんだから米を食おう。いや、米粉を使ったパンを推し進めようか?古米とか古古米は捨てるだけだし、機械さえあれば……お米消費に繋がるよね?



 っと、話がパンにずれた。




 他にも色々と改善点は出てくるだろうけど、時には妥協と下町の皆の協力も必要だ。

 まあ、活字率向上は下町の皆の要望だから多少の協力はしてくれるだろう。



 でもあれだね、貧しさを理由に子供を同じ目に合わせたくないって親心……分かるよ、私もその気持ちは。



 だからこんな時こそ私が力にならないと。何のためにこの下町のまとめ役になったんだ。爵位をこんな時に使わずして何時使う……今でしょ。



 そして保育所では子育ても一段落して力仕事もキツい(勿論子供の面倒をみるのも重労働)お年を召したお爺ちゃんお婆ちゃんたちにも本腰とはいかないにしろ手伝ってもらえることになっている。歳をとると仕事の幅も狭まり見つけるのが大変で、息子夫婦の重荷になりたくないと愚痴を溢していたお婆ちゃんが居たので提案してみると……意外なことにみんな乗り気だった。元気だなぁ。



 そして下町ではあまり医者が居ないのでその辺の福祉関係の改善点を殿下に報告しておいた。

 殿下ってのは私の直属の上司。嫁さんの兄で王太子殿下の事ね。一応お義兄様だ。そんな風に呼んだことは一度もないけど。何かガラじゃない。



 それにしても、福祉関係の恩恵が下町ではちっとも無い。誰かがちょろまかしているんじゃないか?

 その証拠に下町のお年寄りの大半が医者に行くこともできないなんて。風邪をひいて肺炎を患ってなくなる人のなんと多いことか。市民街では肺炎になっても医者に行けば治る……のに。まぁ、お金を医者に行くために使うくらいなら貯めておこうと思うのもあるのかもしれない……ドケチというなかれ。



 この問題は私だけではどうにもできないので報告したら後は殿下任せだ。ひとつのことで手一杯なのにあれもこれもなんて器用なことは私無理だから。

 小塾の事にキリがついたら殿下たちを脅し……説得してみよう。






 問題は教科書とかを何人分用意するかと何歳から入学資格があるかを決めることだね……。どうしても初年度は年齢に差がある事になるだろうし……



 もういっそのこと同じ授業内容で年別に組分けしようか。どうせ6歳程から入学資格を与えるだろうし。6~15歳を同じ組にしても差がありすぎて……どうだろ。案外面倒みてくれたりして年上の同級生たち。


 日本では同じ年のクラスメイトが当たり前だったし、居ても一歳くらいの違いだった。大丈夫かな?


 試しに一回ごちゃ混ぜで授業してみようか?




 あぁ、そうそう。授業を教える先生だけど……私もその先生に入ってます。読み書き計算は他の人だけど、料理と民芸品つ作り方を教えるのは私になってます。サバイバル的な授業はギルドの傭兵さんたちに協力してもらうつもりだ。キチンと子供にも辛抱強く教えられる人をただいま吟味中。


 そうそう……読み書きの先生だけど、これは王妃様の協力でちゃんとした人を雇えました。けど子供の数を考えると組も多くなるので一人ほど足りなかった。

 私はもう手一杯なので助っ人に今年大学院を卒業予定の学生さんに打診してみた。ほら、ちょっと人見知りの女学生さん。ウチの常連でいたでしょ。

 彼女シャオシャオさんって言うんだけど、卒業予定だけど中々就職先が決まらなくて悩んでたからどうかって聞いたら泣きながら喜ばれた……最近元気無いなぁ…と思ってたら就職難だったのね。



 思わずその日のおかず一品おまけしたよ……頬も痩けちゃって……。




 とまあ、割りと順調に進んでます。






 さて、そんな順調な小塾だが……問題がひとつ。



 教科書を用意するの私なんだよね。





 いやね、お金は貯めてたから問題ないんだけど……いや問題ありだね。教科書のお金は王家持ちだから無駄には使えない。それに教科書の中身が問題なんだよ。


 1ページ目から―――ズラズラ~っと書いてあるかと思ったら、スッカスカの内容で……目が点になったよ。なにこの不良品…印刷ミスか?なんて思ってたらこれが一般的な庶民の教科書だと聞いて愕然としたわ。


 何で教科書を買うのよ?勉強するためでしょ。すっからかんの内容で何を学ぶの?


 いや、読んだのは計算の教科書ね。1+1=?って問題から入るんだけど……ただ計算式が数問書いてあるだけ。これじゃ計算ドリルでしょ。何?教える気あるの?教科書ってのは説明を書いてあるもんじゃないの?


 これじゃ先生が内部分を補足しないと……あ、だから授業で……って。頭いたくなってきた。





 これは分かりやすい教科書探すの面倒だぁ……作るか?もういっそのこと作るか?


 いや、その方が手っ取り早い……でも何冊も作れ……る。




 母さんが遊び心で作ったタイプライターを使えば……分身も使ってやれば……間に合う!


 そうと決まれば先生方と教科書の内容を考えないと。幸い読み書きと計算だけで後は教科書は使わない。小塾も建物を1から造っている最中で完成は来年になるだろうし……試しに一冊作ってみてもまだなんとかなりそう。かなり無謀だけど。







 さて、教科書作成に取り掛かろうかと思った矢先、問題発生。



「その様な事せずとも皆これで学んできました。それに何の不満がおありですか?子爵閣下」



 王妃様の推薦で来てもらった教師とただいまバトル中……早くも難航している。


 ついでに子爵ってのは私の事ね。あまり知られてないけど王妃様から聞いたんじゃないかな。



「この内容の薄さに対して値段が高すぎる。これじゃ詐欺もいいとこだ。教えるならもっと中身がつまってる方がいい」


「お言葉を返すようですが……」


「返すのは結構だけど、教えるならキチンと教えないと……だいたい、ひらがなもマトモに読めない子供たちにいきなり画数の多い漢字から入るのは無謀だ。ひらがな・カタカナ・漢数字……ここから入らないと……」


「しかし、私も含め国民はこの教科書で学んできました。だいたい絵本など読み聞かせでだいたい覚えているでしょう」


「・・・成る程、そこからが間違っているのか」


「何がです?」




 ただいま交戦している教師は何でも庶民の出ながら大学院を首席で卒業した猛者らしく、教師たちの覚えも良かった……が、王宮仕官から下町の教師くんだりまで派遣されたのには訳がある。

 ・・この人恐ろしく頑固で保守的なんだ。


 保守的なことは何も悪いことではない。けれども度を越えれば毒にしかならない。

 そんな理由からか同僚や上司ともうまくいかず、この都度王妃様からの推薦という形で左遷されたというわけだ。

 仕事はで来ても問題事を起こす者は王宮には要らない……しかし、彼の頑固さは正義感にも繋がり、多くの不正を暴いてきたのも事実……王妃様も彼を高く評価しているので手放すのは惜しい…そんな理由でこっちに回されたのだ。


 ま、下町の状況をその目で見て、考えを柔らかくしてほしいとのご意向なのだ…本人は気づいていないけど……



 庶民の出に有りがちな貴族嫌いのお陰で私も嫌われている。現に睨まれっぱなしだ。私だって貴族らしい暮らしなんてしたこと無いのに……。


 年の頃は27歳。始終不機嫌な色を隠さない暗い紫の目に焦げ茶の髪をキツく結わえている。

 ……子供たちに怖がられること掛相。しかし下町の子供は強面にはなれているので多分大丈夫かと思う。



「この例文だって漢字が多すぎる。入れるにしてもふりがなはふるべきだ。そもそもあの子達は絵本なんて読んだことなど無いに等しい……弟妹の面倒を見ながら家事をして、面倒を見ながら野で山菜や薬草を摘んでいるんだ……親だって読み書きできないものもいる。どうやって絵本を読み聞かせするんだ?」


「…………」


「下町と市民街の暮らしが全く同じだとは思わないでくれ。貴方がどうやって育って来たにしろ、貴方の常識が下町の常識だと決めつけないでくれ。何のために今私たちがこうして活字率向上を図っているのか……字が大人でも読めない、それが下町の現状だ」


「・・成る程……本当に1から教える必要があると?」


「そうだ。さて、教科書作成の話に戻ろうか。何か質問が有るかな?」


「いえ、ああ…ひとつだけ」


「何か?」


「膨大な数を作れるのですか?」



 尤もな質問だ。まぁ、無理は承知でやりますとも。



「多少の無理は……な。」


「貴族の貴方に何のメリットが?」


「子供たちの知識向上は延いては国のためになる」



 子供は国の宝とはよくいったものだ。どんな地位の人たちにも秀でた子供は産まれてくるもの……そんな優秀な子供を貧困を理由に潰してしまうのは国の損害。そして優秀な仕官が増えれば私の仕事も減る。これ大事。



「金は王家持ちだ。国税を下手な教科書で無駄にはしたくないだろ……そこで君たちに意見を聞きたい……だから呼んだ」



 あ、言ってなかったけどこの頑固頭――名は賢錬ケンレン―の他にも教師たちに集まってもらってます。


 あの常連の女学生(女苦学生)のシャオシャオさん。おっとりしたおばちゃん先生の優々(ユウユウ)さん。緊張しっぱなしの先生1年生丸出しの小夢シャオムさん。威厳があるお爺ちゃん先生の厳夢ゲンムさん。



 シャオシャオさんは初対面の面々に少々小さくなっているし、同じくらい居づらそうな小夢さんと実は厳夢さんと夫婦の優々さん。ちなみに小夢さんは二人のお孫さんだったりする。



 この中で私が一番年下(精神的には上だと思う)なのに立場的には上という何ともやり辛い事になってしまった。



「まぁ……確かに昔から変わらないわねぇ…この教科書」

「ウム…確かにな。そろそろ変わってもよい頃…」

「けど……勝手に教科書を作成していいのですか?」



 老夫婦教師の意見からかなり昔から手抜きだった教科書に愕然とした。よくこれで学べたね……ある意味でこれはこれで良かったのかもしれない。おんぶにだっこは駄目だろうし……が、基礎はキチンと学ばないと後で大変なんだ。


 そして教科書作成に関してだけど、これはキチンと許可はとった。王妃様曰く「悪習はこびりつくとどうしても容易には取れないもの……1から学ぶのならそれらは排除しても宜しい」だそうだ。



 つまりは気にせず作ってもいい。ただし、教科書作成はそちらに任せる(丸投げ)。出来たら一冊くれとも言っていた。言ったのは殿下だ。




「―――では国語の教科書は更に例文等を増やし次の学年に習う漢字もふりがなをふって文に入れる……」いうことでいいですね?」


「習う漢字はあえてふりがなはふらないというのはどうですか?」


「ほう、それに何のメリットが?」


「……私なら必死で覚えますね。皆に負けたくないなら尚更。」


「皆と大差をつけたくないとも思いますね……」


「算数はどうします?」


「まあ、待ちなさい……一つずつ考えていきましょう」

「うむ、考えるのが楽しいのも分かるがのぅ。次々題を変えるのはいかんのう。」


「あ、はい。楽しくってつい」




 楽しい……か。それはよかった。シャオシャオさんは仕事には楽しさを見いだすタイプなのかな。まぁ、それはいいけど、嫌なことがあるとやる気をなくすタイプじゃないことを祈ろう。

 基本的に楽しむのはいいことだし。



 この国では学ぶ教科は日本とほとんど同じだ。国語は国語だし、算数は算数。上の学年になれば数学になるのまで一緒。他も同じ感じ。



 これも今更だけど今話し合っている場所は雑貨屋の二階にある広めの部屋に集まっている。

 先生方の話もヒートアップしてきた。いい案も出てきてので今日はこの辺にしよう。



 みんな今日のところはかえってもらった。宿題として教科書の内容を考えてもらう。正直私は内容の薄さは判別できるけど、教科書の中身を考えるほど頭は良くない。

 こんな無謀なことをしようとしてる時点でバカの部類に入るだろう。賢ければこんなことはしない。




 自分の首を締める材料を貴族たちにばら蒔いてるようなものだから。失敗すれば攻撃される。今も現にバカだの無謀だの言いたい放題だ。

 今回の事は私も無謀だと思うよ。



 教科書の事だって自分で言い出したくせに先生方に丸投げした。

 でもね、私は国語の成績は普通によかったんどけど……数学は悪かったんだよね。




 実はここだけの話、私は計算が苦手なのだ。暗算なんて一桁が精一杯な有り様……記憶力はいい方なんどけど、どうしても二桁になると出来なくなる。

 慣れとかそんなものでどうにかなるものじゃないのだ。暗算しようとすると頭の中で数字が乱舞して混乱するのだ。式を書いて計算すれば出来るのに、どうしても出来ないのだ。


 お陰で店の会計は暗記してたり、クラウドに計算してもらったりしてます。単位が円ではなく銅貨や銀貨だから数字が小さいけど……それでもダメでした。



 暗算のトレーニングしたり改善しようとしても無駄で、この頃は少し諦めている。



 チート能力は要らないから計算能力を普通にしてほしいわ……切実に。






 色々と考えるけれど上手くいかない。チートでも使う人がスゴくないと生かしきれないよって話?でした。


 多分成功させてしまうと思います。根性で。



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