紅蓮さん本気(それでも半分以下)出します!
長くなりますので分割します。
晩御飯も食べた。嫁さんに残さず野菜も食べさせた。風呂上がり嫁さんの髪をブローして――本人にやらせると爆発ヘアーになる。何年も上達しないので諦めた――明日の食事の仕込みも終わった。
リビングのテーブルでお茶を飲んで一息ついた。
「はぁ、何か地味にイガグリの疲れが……」
「大変だったなぁ……ふあぁ~……(-_-).。oO」
船を漕ぎ始めた嫁さんに少しほんわりした気持ちでほっぺを人差し指でぷスッと突つく。アレ、何だか前より肉がついたか柔らかい?
これは……炭水化物減らしてタンパク質増やそうかな?おからとか……豆腐とか。あと糖質も控えさせないと……糖質依存症の気があるからなぁ……
糖尿病の心配が無いからって(ほら、妖怪のクォーターだからね。丈夫なのよ)甘いもの食べ過ぎたら妖力過多で妖怪特有の病気になるし……。
※妖怪は食べたものを妖力に変えるので太りません。食べ物の種類で妖力の増える量も違うので好き嫌いは人間と同じ万病のもとです。特に甘いものはより多くの妖力に変換されます。
悩みどころだよねぇ。好き嫌いも激しいから献立の工夫も大変だし……それでも夫婦やってるのは惚れた弱味か……
「ムニャムニャ……まだ寝ない……(ー_ー;)」
「寝ろ」
「(ー_ー;)」
「……………(^_^)σぷすりっ」
「…………( ̄□ ̄;)!!」
眠いのに我が儘ぬかす嫁さんに瞬時に妖狐の姿に変化して爪を刺す……指すじゃない刺す。
血は出てない。でも出なくても痛い程度には刺している。それなりに痛いだろう。痛みに弱い嫁さんなら尚の事……悪魔?鬼?
九尾の妖狐ですが何か?
「ほっぺに穴が開くよ?」
「はい!寝ます!……レンはまた調べに行くのか?」
「そうなんだよ…逝かないと生けないんだよ」
冗談じゃ無くて割りと本気に
「へ? おい、何か字が……不吉だぞ」
わざとです。
「……う…ん、まぁ、気を付けて…な」
「うん。でもそろそろどうにかしないとしないから……あ、朝は一人で起きてね。私は多分帰ってこないから…」
「( ・ε・)」
「浮気は無いからね。顔が言ってるよ……」
顔がうるさいっての?多分こう言う顔を言うんだよ。そんな顔で不機嫌ですって顔がいってましたよ藍苺さんや。
「浮気は……ダメだゾ」
「どうしろっての? 精神的な百合?身体的なBL? 勘弁なんだけど」
「あ……、確かに。いや、でも、お前モテるし……気ぃつけろよ?」
「分かってるよ……そんなバカいたら再起不能に成る程ボッコボコにしてるから」
「(´・ω・`)」
そんな輩なんて大勢いましたからね。その辺の対処は嫁さんよりもなれてます。
嫁さんは男限定だろうけど私は性別関係無く寄ってくるから……ハハハ……滅んでしまえフフフ。
少しぐずる嫁さんをベットに強制的に寝かしつけ私は多分居るであろう犯人の住みかとなっているギルド本部に闇に隠れつつ、侵入したのだった。
「(夜に来ると……酒臭いなぁ……)」
ギルド本部は某狩猟ゲームの影響をモロに受けた父さんが作っただけの事はある。そっくりだ。例えるなら3rdの作りかな。温泉はないけど。
ここで私の数ある中の全く日頃役に立たない特技を披露しようと思う。
なんと……闇に隠れていると私は誰にも認識されない……と何だか盗みゲーにありそうなスキルを持っています……。
とはいえ、異世界で手に入れたスキルは任意でしか発動しないようにしてます。何故かって?
百を超えるスキルを全て随時発動なんてスキル同士が喧嘩して面倒になるからです。変なスキルも混ざってるし。
技とか術はいつでも使えるけど、スキルはそんな理由から「知識と記憶の本」で記録しておいて使うときには切り替える。そんなゲームのMODを切り替えるみたいにその時々に切り替えてます。これが結構面倒なんだよね。管理はクラウドに任せっきりだし。
さて、お仕事に集中しなくちゃね。
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どうも皆さま、私はクラウドと申します。
これでも立派な成猫です。妖怪ではありますが、その妖怪にも嫌われる部類に属しています。亡くなった母猫から産まれたので……まぁ、死んでいて生きてもいるなんて殆どの人には容認できないのでしょうね。
私は気にしていませんがね
それではそんな私を眷属に迎え入れてくれたマスター……紅蓮様について今の状況を実況しましょう。
マスターはただいまギルド本部の正面から堂々と入りました。これはステルスモードでしょうね。その名の通り誰もマスターを視認出来なくなります。エネルギーが切れたり時間切れは無いので本人がステルスモードを切らない限りは半永久的に保っておくことができます。チートです。
しかし、弱点はあります。
単純に影が消せないのです。それと物音も立ちます。足音で気付かれることもあるでしょう。足跡も消せません。
足音は気を付けさえすればマスターならなんてことないでしょう。足跡も同じです。
問題は影でしょうね。今回は夜ですから影も建物内の明るい場所だけですから……大丈夫だと思います。
おっと、ここでステルスモードを一旦切ったようです。そしてシャドーのスキルを使いましたね。シャドーは影に潜んでいると認識されないスキルです。まぁ、マスターが説明しましたね。
概ねそんな感じです。マスターの得意なシーフで偵察・隠密も得意ですからこのスキルとは相性がいいようですね。
おや? どうやら第一関門の酒場を見事突破しましたね。上手く影になっている場所を選び誰にも気付かれずに上の階に行く階段を駆け上がって行きました。普通ならば走れば足音に気が付かれそうですが、そこは酒場。盛り上がっている酔っぱらい達のお陰で聞こえませんね。
そんなザル警備では侵入など……と言いたいところですが、ここの双子受付嬢は鬼門なのでその辺は大丈夫なのです。あの双子はお強いですからね……素手で身の丈以上もある魔物を笑ながら……いえ、恐ろしいのでここでは止しましょう。
さて、脱線している間にマスターは二階の暗い廊下を足音を立てずに静かに歩いています。これはスキルとかは関係ありませんが、マスターの特技でしょうね。アレほど静かに歩くのは流石です。
さて、二階はギルドに所属する傭兵たちの部屋があります。自宅を持っている者も居ますが、やはり根無し草や田舎から上京してきた人もいるので部屋を貸しているのです。とは言え、最上位の傭兵達には三階のもう少し広い部屋をキープしているようです。二階は初級~中級の傭兵達に振り分けられています。
おや?マスターは一つの部屋に目星を着けたようです。………何だかこの言い方だと泥棒に入るように聞こえてしまいますね……調べに入るだけですよ?
当たり前ですが鍵が掛かっています。ギルドを家族で経営しているからといって無断で部屋に入るのは犯罪です。当たり前ですけど。
ですが、自分の縄張りに巣くった害虫の巣は早めに駆除しなければいけないのでそうもいっていられません。
おっと……マスター解錠に挑戦するようですね。とは言え流石はマスター。手際が良いです。直ぐに開きました。……ギルド本部に付けられた鍵は何れも難解な物なのですが……マスターには然して苦にならなかったようです。
ピッキング用の細い金属の棒で器用に開けました。やはり手際が……マスターは鍵屋になれますね。
「(ちょっ、クラウド?私しがない下町の雑貨屋店主だから)」
《しがない雑貨屋店主がピッキングをものの5秒で解錠出来るものなのですか?》
「(うぐぅっ、それは単なる経験としてであって…抑異世界で生きてくために―――)」
長くなりそうなのでカットします。要はマスターが永い永い異世界での生活で身に付けた事であって、特技になったのは不本意と言うことでしょうね。手先が器用ですから……素養もあったと私は思いますが。
さて、容易くターゲットの部屋へと侵入したマスターは机や箪笥等を証拠を残さず物色してとあるものを見つけました。ターゲットは余程王道に沿ってますね……箪笥の中などに入れておけば見つけてくださいと言っているようなものだとマスターは言ってましたよ。
見つけた物はどうやら文のようです。犯人と目星を着けたターゲットともう一人の犯人の連絡事や犯行の手筈など証拠になりますね。
手紙を簡単にしてみるとこうなります。
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犯人たちの集合場所 四階・第二会議室
犯人たちの目的 人身売買・要人への脅迫
犯人たち 上位に二人(この二人が主犯)、最下位に五人。協力者に(本人不本意)ギルド長・副長。
なお、ギルド長ならびに副ギルド長は子供を人質に取られ仕方無く協力している。協力内容は黙認。
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これらの事を考慮してマスターの判断は ………
「(勿論…デストロイでしょ)」
だそうです。ターゲットになった皆さま、ご覚悟ください。今から猛獣が狩りを始めるので……
祈っていてください。神様もあなた方を助けはしませんけどね。
おや、マスターの殺気が増しましたね。
続きは明日にでも……




