気になる診察結果
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さて、皆さん。只今嫁さんもとい、藍苺の診察結果を恐々と椅子に座りながら待っている夫(前は妻でした)紅蓮です。
今なら難病の宣告をされる患者さんの気持ちが少し分かった様な……それとも立場的には患者さんの家族かな。
ま、どっちでも良いとして……母さんの沈黙が痛い。
「藍ちゃん……紅ちゃん……あのね……ランちゃんの月経の痛みの原因が判明したの……」
「………」
「………(;・ω・)」
嫁さんもまだ聞いてはいないようだ。私を待ったいたのかな。
「早い話がね………漸く来た月経に体が悲鳴をあげたのよ。」
「え?」
「あぁ、やっぱり?14までに来なかったしね……嫁さん」
「え?へ?」
何となく納得した私と「全然思いもしなかったわ……ランも女の子だったものね……迂闊だったわ」と自分の落ち度と少しばかし落ち込む母さんに置いて行かれた嫁さんがハテナマークを頭に生やしている。うん。説明するからね?だから落ち着こうね?
医学的に14歳辺りで月経ってのは来るものなんです。確かに人それぞれ個人差は有れど。もしも16歳まで来ないのなら婦人科に行ってみようね。何かの病気かも知れないからね。染色体の異常とか、分泌系に異常があるかもしれないよ。脳に異常があっても来ないらしいよ?
母さんの細かな診察で嫁さんはかなり…か・な・り、事細かに調べられた結果、どこも異常は見られずいたって健康と太鼓判を押された。でも食べ物の制限(塩分と糖分の制限)もされて悄気ていた。色々聞かれた中で特に事細かに聞かれてたらしい……
ま、私もそのところは制限してたけどね。あれだよ、この頃おやつとか食べ過ぎていたからね……私も止めるほどだったのよ。特に月経が来てから……お腹痛いって泣き言言ってる割には食欲増したよね。よくあるのよ……食欲増すとか吐き気とか……ホルモンバランスが崩れると色々と起こるのよ。本当女性は大変だわ。
「へ~。」
「他人事みたいだけど、嫁さんのが今は当事者だよ」
「……うん」
「心配しなくても健康なんだから……あ、鎮痛剤出しとくわね、半分は私の優しさでて来てるから♡」
突っ込まないよ。私はボケだから。ツッコミなら他に期待してね。
「それにしても……胸が育ったわね♪」
「えっ……あ…う」
「この人昔から純情だからあんまりそう言うこと言わないであげてね母さん」
「初わね♪ うふふふふ」
年を重ねるほどに母さんがエロ親父……失礼。オッサン化してきた気がする。特に女性に対しての接し方が……まさにエロ親g……
「紅ちゃん?」
「何でもないです」
「ん?…ん??」
母さんは今日もお腹真っ黒です。
「鎮痛剤で多少の痛みは抑えられるから適度な運動を心掛けてね。でも、具合が悪くなったら休むこと……分かった?藍ちゃん」
「はい。」
「若い頃は月経不順になることはよくあるのよ……でも、一週間経ってもまだ止まらなかったらもう一度来てね?」
「了解。引きずってでも来るよ」
「ばっ、お、俺は別に来たくないなんて……言ってないし……」
「でも痛くても薬で無視して仕事に行くんでしょ?」
「ぐっ!……そそそ、んなことは……」
昔、前世のころ。当時、ジンの頃の藍苺は盲腸炎を薬で誤魔化して仕事に行こうとして仕事場で倒れて……病院に運び込まれました。あの時は肝が冷えて寿命が縮んだわ。運び込まれた当所は盲腸炎なんて知らず、いきなり「ご主人が倒れました!」って同僚の人に電話貰ったんだもの。
あの時は……治ったと思っていた喘息をぶり返したのかと思うほどゼイゼイ息を切らして病院に行きましたよ。ハァ……本当に。逆に私が子供の時以来の喘息で入院しそうになりましたよ。医者に看護師に心配されたよ。それも今はいい思い出だ。
ま、何が言いたいかと言うとね。嫁さんは昔っから変なところで意地張って我慢するのです。一度病院に行って薬もらったらもう行かない。インフルエンザとかになっても「もう治った」とか言って薬を飲まないとか、治ったか確かめに病院にも行こうとしないんだもの……あぁ言うウイルスとかは病院で完治したって言われない限りは薬は貰った分ちゃんと飲まないと体に残っているウイルスが変異して強力になるのよ?そんなことはみんなしないでね! もっと強力で質の悪いウイルスに変異しちゃうからね!!
「言わないと自分から行かないでしょ……」
「う……」
私の一言に反論できず言葉に詰まる嫁さん。うん。前世から思う節がいっぱいあるもんね。
「まぁ、妖怪の血を色濃く引く藍ちゃんなら大抵の病なら軽い風邪程度に済むでしょうね。そんなに心配しなくても大丈夫よ」
「それでも私達よりは掛かりやすいでしょ?私から移ったりしたら……悲惨だし」
「妖怪から移された病って強力なんだ?」
確か前にも(前作)でも話したかな?
私達純粋な妖怪も病気にはなります。風邪とかね。凄く重い病気はあんまりならないかな。癌とか生活習慣病とかは無縁だね。何でかは解明されてないけど。まあ、この世界の医療では癌はまだ発見もされてないけど。結核とか疱瘡など昔の日本でも猛威を振るった病気は解明されてはいるけど……治療法は未だ確立されてない。
基本的に貴族は妖怪の血が濃いからよほどの事がない限りは病気には強いし寿命も長い(近親婚で血が濃くなって先天的な病は多いらしいし、寿命も短くなってはきているけど)。
庶民は血が薄くて寿命も人並みだけど……白の国ではそんなに、それこそパンデミック?ってやつみたいに大規模感染とかは無いかな。基本的にこの世界の人たちは頑丈だよね。
我が家の―――あ、実家のね―――今の食を支えているチビッ子達の子守り兼家政婦、月下美人の妖怪の明々(メイメイ)さん。彼女のご主人とお子さんが奇病にかかっていたね。特殊な前世の世界では考えられないような病気もあるしで……私は若干頭が痛いです。
そう言えば、家から出れなかった子供の頃は本の知識だけで、いざ外に出てみれば違っていた事が結構多かったなぁ。やっぱり百聞は一見に如かずだね。例えば魔物にも区別があって公式じゃないけど乗り物になりえる人の言葉を話さない魔物は騎獣と読んだり。なんの変鉄もない動物から大妖怪になる事もあるなんて本には詳しく書かれてなかったもん。
今思えばそこのところ母さん達に情報操作されてたのかも知れないけどね。余計な知識付けられて暴走したらもとも子もないしね。
そんなことを母さんと嫁さんの「こんなことがあったら見てもらおう」5ヶ条を聞きながら物思いに耽っていると……近いような遠いようなバタバタと走る足音が段々と近付いてくる……コレは……!
「あ~っと、嫁さん、こっち来て」
「!な?」
嫁さんの腕をグイッと引き私達の後ろ側にある扉から離れる。すると間髪入れずに大きな音を経てて小さな影が飛び出してきた……訂正、大勢の小さなチビッ子達が津波の如く押し寄せてきた。
「にーちゃーん!!!」
「あそぼー!!!!!」
「ちょ、踏むなよー!」
「お帰り!!」
「お帰り兄さん」
「うぐっ!!」
一番上の弟が多分最初に部屋に入ってきたのだろう。後続のチビッ子達の勢いを消せずに今は下敷きになっている。少々不憫だ。きっと将来ヘタレと呼ばれてしまうかもしれない……どうしてくれる父さんよ、あなたの血だぞコレは。
そんな次男を潰しながら……しかし他の下の弟妹に潰れそうになっているのは三男。しかしそれほど重くないのか……楽しそうにお帰りと笑いかける。子供ながら次男よりも肝が座っている……のか?
三男の双子の片割れ四男は潰されることなく皆から1歩引いた場所で静かにお帰りと言う。本当にお前ら7歳なのかと疑いたくなる程大人しい……私も人のこと言えなかった節がすっごく有るけど。それでも引っ込み思案な訳ではなく結構ハッキリした性格です。もしかしたら一番母さんに似てるかも。
因みにこの双子、よく間違われる程似ている。落ち着きが無い方が三男って見分けがつきやすいと思うんだけどね。
三つ子の長女と次女はまだ五歳なのにもうおませで、よく兄たちを叱っているみたい。けど、猫を被るのが上手い次女は私の前では良い子にしてる……裏では結構キッツい性格みたい。長女はちょっと抜けてる所があって危なっかしいけどチビッ子達のなかで一番しっかりしてる。
次男よりも頼りになるよ? 主に料理はチビッ子の中で一番才能あるよ。明々さんも絶賛してた。
次女は人一倍お洒落に関心があって猫を被るのが上手い。五歳の幼女がお洒落に関心があるのは割りと普通かな。でも私はお洒落には疎い幼少時代を前世も今も送ってきた。その為、何だか妹のお洒落に対する関心が変に思えて……私が変だと理解はしているよ。
今は明々さんと一緒に居るであろう赤ん坊の三女は今はここにはいない。赤ん坊だから歩けないだろう。明々さんも他の眷属達も目にいれても痛くない程可愛がっているのだ……危ない目になど会わせはしないだろう。
さて、四男よりも控えめでのほほんとしていて一番平凡……と見せかけて私と同じ二種類の妖怪の力と姿を受け継いだ五男。ただいま五歳。窮寄と白龍の姿を受け継いだ……虎と龍だよ?
平凡なんて言えないよね。でも、この子は遠慮してる。確かにこの子の容姿は家族の中でも平凡かもしれない……けど、それって遠慮がちな性格の所為だと私は思うのですよ。影っ子だからね……今も私と嫁さんの周りを騒いでいる兄弟たちから離れて大人しく私たちを見ている……
多分また「遠慮」してるのだろう。
「ただいま」
「ただいま…」
「「「「「お帰り!」」」」」
「お帰り……」
皆は一斉に返すがあの子だけはワンテンポ遅れて掠れそうな声で言うのだ……キャラが濃い兄弟だからね……眷属達も両親も目が届かないのだ。不憫だ……と、私は言うがあの子はちゃんと愛されている。家族にも眷属達にも。
それをあの子が気付くのはきっとずっと後だろう。今は目の前のことしか見えてない。だって子供だもの。
それに気が付くのはあの子自身でないとダメだと思うんだよね。
ま、この子の話は今は置いておこう。またいつか話すことにする。
「お出迎えは嬉しいけど、タックルは戴けないなぁ……緋翼、お前は上のやつらに退いてもらえ死ぬぞ。紫音見て笑ってないで助けてやれ、紫紺、春麗、萌葱、降りてやれ潰れて目も当てられなくなるぞ。」
1度言葉を切る。少ししてから父さん譲りの真っ赤な真紅の虹彩と色が抜けた真っ白の髪……前世の私そっくりな五男・辰砂に向けてただいまと笑う。するといつも目をそらす……おや?今日は目をそらさない。成長したかな?
「辰砂?こっち来なよ?」
「う、うん。」
「お、辰砂♪正月以来……元気してたか?」
「うん……」
何だろうか……本当に。藍苺の問いにどこか自信無さげに頷いている。藍苺改め嫁さんは前世も下に妹も弟も居なかったのでちょっと弟たちに構いたいらしい。そうだよね。今生では独りっ子みたいなもんだし形式上に兄と姉、下に弟が一人居るけど。あれは他人に近いって言ってたしなぁ……前世は末っ子だったしね。自分の下に兄弟がいるってあこがれていたのかな?
弟たちの事に関しては後々……説明しようかな?
長くなるので分けています。次の投稿は……来月始めです。




