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厄介な奴が一人以上居ると怒りが天元突破します

 短気ですが我慢しています。



 厄介は誰なのか……えぇ前作を見た方ならお馴染み?かもしれません。



 それと、分身にはある程度自我があります。ですが、自我は共有している部分が多いので個別とはいえませんが。





 どうも、嫁さんの月のものが予想以上に重くて心配になって母さんに見てもらうため急遽帰郷した紅蓮コウレンです。


 只今自室のベットに寝そべりながら天井を見て後悔しております。



 ………なにがって? はい、店に残している分身と視覚を同調させてみたのですが……少々厄介な事になっとりまして……ハハハ……ゴメンね残してきた分身よ。君には苦労をかけるね。



(大丈夫そうじゃないね)

(……不知火ツカッテイイデスカ?)

(おい、不知火シラヌイって上級でしょ……店にに被害が出るからダメ)

(…デスヨネ……コイツらを塵に変えたかったのに……)



 分身さんは心の底からお怒りのようです。言葉か片言になるほどの……大丈夫か?これ



 因みに不知火って術は敵全体に攻撃出来る、攻撃力もスゴいからよく使う……けど、その分制御が難しくてね……たまに味方にも……ね。だから一人の時専用にしてます。




 原因は、来客者の所為です。それも二人も……私が嫌いな奴らです。ほら、昨日の一件で私に説教かましてた……説教魔ッスィーンだよ。最後は愚痴になってる奴ね。



 そんな奴がうちの下町のしがない雑貨屋に何の用だろう? ギルドの方なら本部に行くだろうし、買い物なら市民街で済ませるだろうし……本当になにしに来たんだよ。



(昨日の詫びらしい)

(詫びって……詫び状の詫びだよね?)

(……デスネ)

(何で説教になってるの?)

(知るか)

(……迷惑な)

(あぁ)




 店に入ってきて直ぐに、やれ「店が遠い」とか、「接客業がなってない」とか「ランさんは何処だ」とか……なにしに来たんだよ。嫁さん目的か?え?ホントに詫び入れに来たのかよ。


 我が分身さんは「今は実家に帰郷中」と言ったらしい。本当は伝えたくもなかったのだが、ギルド本部にも届けてあったし、調べれば分かることなので教えた。うん、別に此方に説教されるところは無いよね?あったか?ねえ?



 そしてもう一人………本当に厄介な奴が何年ぶりかに来なくても良いのに会いに来ていた。不思議なことに私の居場所は教えていないにも関わらず…何だよホントに……



「コウr【ベシャ】……兄上ぇぇ……(涙)」



 そう、大雅タイガこと、イガグリだ。知らない人は前作を読んでください。こいつのことが分かります。私がこいつを嫌い理由もね。



《メタイですよマスター…》

(ゴメンね)

(全く悪気なんて無いがな)

《(マスターが二人だと……黒くなるのでしょうか?)》



 




 今更だが私と藍苺ランメイは名前を一応隠している。だから呼び名もレンとランで統一している。外ではね。家では普通に読んでるけどさ。


 一応藍苺はこの国の姫だからね……たとえ王族を除籍したとは言えどこぞのバカな輩に狙われたら大変だからと隠してはみたが……今のところ誰も白の国に二の姫・藍苺とは気付かない。まぁ、雲の上の階級の人なんて下町の人間からしたら「別に気づいても……何があるんだ?」状態なのでソコまで徹底していない。たまにギルドの方で「アレ?お前って…」ってな事もあるようだけど、その都度父さんが握りつぶしている。


 でもさ、不用意に名前を暴露されるなら止めるのが普通でしょ?特に嫌いな奴が目の前に居たらさ……ね?




「何のようでしょうか?」


「……な、なんだその……やけにプルプルしている物体は……」


「防犯用の水魔の破片です」


「あぁ…水魔の………!?!?魔物?!?」



 はい、イガグリの顔面に投げつけた物体は水魔スライムの破片です。プルプルの粘着質なやつです。色々と用途があるので湿布やら給水ポリマーの代わり等々……うちでは重宝しています。保存する時はカラカラの水気を飛ばした状態にしておきますが、今日は湿布でも作っておこうと思っていたので水につけて置いた状態でカウンターの中にあったのです。何とも投げやすい位置に……これは投げない方がおかしい。



(やるな分身さん)

(何の本体さんこそ……)

((フフフ……お主も悪よのぉ))



 っと、私が思ったことが分身さんに伝わり行動してくれたのだ実は。何とも頼もしい……が、その場の空気でキレたりした時は誰も止める者が居ないので暴走注意だ。気を付けないと。



「酷いです……兄上ぇ……」


「いやすまんな、手紙も寄越さずいきなり来たので驚いたのだストーカーよ」


「ス、ストーカーァ!?」


「違います!?」



 いや、お前のところの奴に言っていないこの場所を探り当てるあたりストーカー要素はあると思うぞ。冗談抜きで。一体何処から情報が漏れたのか…。



 そしてお説教魔ッスィーン……名前なんだっけ?本気で忘れたわ……歳かなぁ……年はとりたかないわなぁ……


 あ、違う違う。話が脱線した。あのお説教魔ッスィーンも一々反応しなくても良いから。何?アンタはどこぞの芸人か? 要らないよそんなオーバーリアクション。もう帰ってよ、昨日のことは水に流すから……存在自体をスッキリ忘れるから……



《それはどうかと……》

(心で言うならいっそ奴等に言ってしまえ……アイツら鬱陶しい)

(まぁ、一応ギルドの若手ホープ候補だし?無下にも出来ないのよ……それにイガグリは一応王子だし……あぁ、厄介だわ)



 私達が脳内会議を開いている内に何やら厄介二人の雲行きが怪しくなってきた……あれだ、ただならぬ空気って奴だ。悪い方の……




「兄上?彼には君のように大きな兄弟は居ないはず……」


「兄上は兄上です。貴方こそ誰ですか?ここに何の用で?」



 何やら売り言葉に買い言葉の応酬を始めている……待てやコラ、お前ともだバカ者。だから何でお前が居るんだ。帰れ、黄の国に帰れ。そしてお前もギルドに帰って依頼こなせ。


 私はちゃんと休暇届け出したぞ。その分お前らが頑張ってこいよ。ここには居ないけどお前の所のパーティ中々の精鋭揃いだろ。こんな時こそ藍苺の抜けた穴を塞いでくれよ……ホントに。




「ふん。わたしは彼の同僚だ。先日の事で詫びを入れに来たのだ。キチンとした理由がある」


「ぐっ…」


「あ、昨日のことならもう水に流したからいいよ。はい、さいなら」



 何故かふんぞり返ったお説教魔ッスィーンが鼻高々に宣言したのでなんかイラッとしたのでバッサリ言った。だからもう帰れよオーラも存分に分身さんを通して出しておく……鈍感野郎にどれ程伝わるかは定かではないが。



「ふっ♪」


「くっ……」




 するとお説教魔ッスィーンは(やべぇホントに名前忘れちった…)何がそうさせたのかorzな格好をリアルでし始めた……なぁ、どうしたよ。てか、来た客が不振がるからさっさと帰れって……


 そして優越感たっぷりな顔でふんぞり返っていた。おい、お前もだって。さっさと帰れっ!




「ボクは兄上に会いに来たのです。もうずっと会っていないので……感動の再会なのです!」




 どうだ良いだろぉ~とでも言いたいのだろうか。その姿はとても滑稽だった。こんな時じゃなければ嘲笑ってバカにしてからかったのに……。



 そうだよ。わたしはとっても性格が悪いのです。


 なので、明後日な感動の押し売りは要らんのだ。



「別に会いたくもなかったけどな。会ったんだからもう帰れよ。商売の邪魔だ」




 実際店の出口付近に客が入っても良いのか迷っているのだ。早々にコイツらには退散してもらわねば……下町の皆に迷惑が……



「あ、兄上ぇ~…貴方はボクに会いたくなかったと言うのですか?orz」


「そうだな。ここ8年程会いたいと思ったことは無いな。にしても…ちゃんと行き先言って出てきたんだろうな?」


「あぁ、兄上はボクの心配をしてくれているんですね♪」


「いや、さっさと厄介払いしたいだけだ」


「「………orz」」




 二人揃ってそれかよ……ホントにどうでも良いからさっさと帰ってくれ。切実な願いだ。



「あ…あの~……お店開いてます?」


「あぁ、開いてる開いてる。コイツらは其処らに転がる石ころだと思って良いから。いらっしゃい。今日は珍しい時間帯だな……」



 申し訳なさそうに入ってきたのは一昨日にも来た女学生だ。下町に下宿していて、ここから王宮にある大学院に通っている。本当はとっても優秀で将来有望な女性なのだ。人見知りが激しいのが問題なんどけどね。



 それにしても、彼女にとってこのバカ騒ぎを起こしている二人が居ては入り辛くて大変だっただろう。大学院に通い始めた頃は……本当に影猫の様に直ぐ様物影に隠れてしまっていたのに……成長したねぇ……お母さん嬉しいわ~。


 それにしてもこの時間帯、ただいまの時刻9時ちょっと過ぎ……大学院はどうしたのだろう。そう言えば心なしか顔色が……赤い?風邪でもひいたのかな?




「……あの、熱で早退したので……何か食べやすい物とか…ないですか?」


「熱で?薬は?粥ならあるよ。薬もつけとくかい?」


「あの、兄上…」


「お前は空気読め。どう見てもこの子が先だろ……で?大丈夫なの?」



「……」



 今ごろ気がついたのかバカ二人を凝視して固まった……本当に大丈夫?お母さん心配だわぁ~。



 結局、人見知りと熱のダブルコンボで頭がオーバーヒートしたらしく、後に来た客の青果店のおばさんが家まで彼女を送っていくことになった。ついでに3日分の料理をおばさんが一先ず届けることになった。オーバーヒートした頭でフラフラしている彼女を一刻も早く家に帰らせるため粥と薬の代金はまた今度と言うことで早々に帰るように焚き付けたのだった……インフルエンザでなければ良いのだけど……それに、大学院は王宮内にある。王族や上級貴族から伝染った病でないと良いのだけど。


 妖怪や妖怪の血が濃い人から伝染った病は強力でしつこいからねぇ……後で母さんに言っといた方が良いかな。




 そんなことを考えながら頭の片隅でこのバカ二人を何処に強制退去すれば良いのかを考えているのであった。



(あぁ、嫁さん…大事なければ良いのだけど……)

(それだけが心配だ…)

《今の発言でマスターの優先順位がハッキリ分かりました。》



 未だにこのバカ二人は帰ろうとしない…。






 次回キレそうです。

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