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ひと狩り終わり……

 4つも投稿していると首が回らなくなりますね!Σ( ̄□ ̄;)




 あ~……終わった終わった。みんなのお陰だけども終わった。


 狩りは私の領分じゃないのね。今回の事を含めて確信したわ。性に合ってないわぁ。


 終わった私たちは早々にギルドに帰り、特に要らないものは買い取ってもらう。これだけでも弁償分のはある。


「ん~。もうちょっと売って全額払っちゃおうかな。その方が後々楽だし」


「どれを売るのですか?」



 受付双子の妹ライトは主に道具の販売、買取りをしている。受付兼店員なんです。姉のレフトは依頼受付しかしない。てか、複数の事をこなすなんて無理と妹に丸投げしているのだ。が、強さで言えば姉の方が強い。力関係は真逆だけどね。



「じゃぁ、コレとコレ。で、弁償分の支払いは終わりだよね?」


「………はい。確かに確認しました。お手数お掛けしました。」


「今回の事は自分の未熟練さが起こしたことだからね。仕方ないよ。全額じゃないだけ有り難いし……二人はあの額大丈夫なの?」


 二人は受付だ。傭兵のように依頼をこなして稼ぐことはできない。大丈夫だろうか?


 そんな疑問は彼女の言葉で杞憂に終わった。



「あ、大丈夫です。お給料は弾んでますから♪」


「受付嬢って儲かるの?」



 不躾かもしれないけどこの二人は約6年もの付き合いだ。結構気さくに喋れる。ギルド立ち上げて当初からいたメンバー。メンバーはギルドマスターの父さん、副マスターの母さん、私と藍苺ランメイ、ルルト、受付嬢子、掃除屋花梨カリンさん、他に数名(その時は忙しくて中々帰らなくて記憶が曖昧なメンバー)。



「皆さんのように不定期な仕事ではないので。定期的にお給料を貰っていると貯まるものですよ♪」


「あぁ……確かにね。」



 なるほど。こんな荒くれ共が集まるような場所で働いてくれる人は貴重だからね。給料も弾むよね。



「さて、換金も済みましたし、姉の所で依頼達成の報告をお願いします。」


「こっちこっち♪」



 ニコニコ顔でこちらに手招きしていた。



 依頼達成の確認はその魔物と確定できる一部を見せればOKだ。岩窟鳥の場合は頭に1本だけ生えている飾り羽だ。勿論取ってきている。しかも狩った頭数キッチリと。



「うわぁ………スッゴい数だね。え~と……ひぃ…ふぅ…みぃ…よ…の……はい、25匹分ね。」



 後ろにある酒場から悲鳴じみた叫び声が挙がる。多分不人気な岩窟鳥をかなりの数狩ったから驚いたのだろう。そんなに気になってたなら自分達で狩ってくれないかね?



「よう!姉ちゃん。強いねアンタ。どうだい俺達と……」

「バッカ!オメェ……ありゃ男だぞ!」

「しかもギルドマスターのご子息様だぜ。無闇に話し掛けると……」



 話しかけても無視するけどね。相手が絡んでこなければ……ね。



「散々な言われようねぇ。良いの?あんなに言われて…」


「ほっときな。今日はもう疲れてるからもう一度爆発するかも。」

「洒落になんないッスよ。折角全部今日の分で払えたんスから」

「耳が痛いね……と、そうだ。」



 私は弁償代を払って残った金貨5枚を八雲に渡した。スゴいね……あんなに払ったのに金貨5枚も残ったよ。まあね、誰も受けなかったから依頼料も跳ね上がってた所為でもあるよね。実は換金し過ぎた……何て…無いからね?無いよ。


 そんな余った金貨5枚を今日の功労者の八雲に渡すことにした。あ、もちろんポチと夜夢にもご褒美をあげますよ?


 ただ、八雲以外の眷属達は金貨の使い道がないとか現物が良いと言って断って受け取らない。受け取っても使い道が本当にないからあげても……喜ばれないのよ。だから上等な肉なり、お菓子なりあげるのだけど。


 渡された八雲は困ったように突き返そうとしたが……ここぞとばかりに私はこの言葉を使った。



「八雲……命令されたい?」

「……はい、有り難く貰います。」



 うんうん、素直でよろしい。ちゃんと気持ちを汲み取ってくれる八雲は偉いと思う。


 顔もイケメンの部類(ミケ談)で、物腰も柔らかい。気遣いも出来る。………なのにどうしてかモテない……何故だ?


 本人はあまり気にしてない様だが……八雲ももう二十歳を過ぎた。そろそろ気にし出しても良いのでは?ま、本人が気にしてないなら首を突っ込む気はないけれど……それに、



「気になるあの子に贈り物でもすればいいよ。コレはお前の働きに見あった分だからさ。日頃私等に気を使ってばかりでしょ?たまには自分のために使いなよ。」



 言ってなかったけど八雲は気遣いがスゴい。何か買おうとすれば私や嫁さんの代金を自腹で…自腹で!払うのだ…八雲が。知らぬ間に支払われているとか……八雲よ、お前は何なんだよ。紳士の国イギリス出身か?


 と、まぁ。話せば色々有りすぎて語り尽くすことができないのだが、そんな八雲に私から些細なご褒美と言うことで渡したのです。返却不能で。



「えっと……何で知ってるんスか?」

「ふっ、私を誰だと思っている。下町の元締めは伊達じゃねぇよ。」

「何キャラっスか?」



 細けぇこたぁいいんだよ。


 少しざわめく外野とちょっと驚きぎみの八雲とニヤニヤして見てくる受付嬢姉とオドオドしている受付嬢妹。それを全てスルーして(存在を)忘れていた父さんのところにコレから向かうことにする。



 正直嫌な予感しかしない。私を呼ぶなんてよっぽどの事だ。またしても巻き込まれるのか……ヤダなぁ……。





――ギルド本部・ギルドマスター私室――




「うぅぅぅぅ……今日はもう来ないかと思っていたぞ……(涙目)」


「……あぁ……っと、忘れてた、ゴメンね。あ、コレお詫びのクッキーだけど……食べる?」


「食べる」


「…………」



 所変わりここはギルドマスターの私室。つまりは私の父の部屋だ。さっきまで涙目で髪の艶を無くしてイジケていたがクッキーを目の前に出すと花が咲いたかのようにキラッキラした顔に……父よ、お前もか。


 どうも我が家の男(精神的な男含む)は甘いものに目がないのだ。私や母さんよりも……ね。


 なので二人の血糖値が心配な日々だ。嫁さんは私が日頃管理しているが、実家にいる父さんの血糖値は果たしてどうなっているのだろう。母さんも目を光らせているが、こうしてギルド本部にて何コッソリ食べているか……父よ、糖尿病予備軍なのだ、砂糖は控えめだぞ?特にデスクワークしかしてない最近の父さんは食べ過ぎると身になるよ。



「食べ過ぎないでね?」


「ああ、分かっている。だが、この頃無償に甘いものが食べたいんだ……モグモグ」


「(ギルドマスターの仕事でストレス溜まってんだなぁ……)」

「(いや八雲、父さんは育児からくる疲れと仕事のストレスのダブルパンチだよ)」

「(………絶対近いうちに剥げるッスよそれ)」

「(言ってやるな……三十路近くなると色々多感なお年頃なんだから……)」


「なあ二人とも……俺をそんなに哀れまないでくれ、頼むから」



 珍しく結っていない髪が項垂れて所為でバサバサと机に垂れかかった。ちなみに父さんは社長が座る様な椅子に座り、頭を抱えて机(豪華な)に項垂れている。悲壮感が増してとても哀れだ。ドンマイ



「オホッン……実はな」


「あ、何事もなかったかのように話に入るのね」

「ボス、そこはそっとしときましょう?」


「聞こえてるからな(泣)」



 とうとう泣き出すかとも思ったが父は堪えた。あれから8年……父よ、成長したな。母さんの尻に敷かれ少しはタフになったのか?



紅蓮コウレン……その生暖かい眼差しは辛い……止めてくれ」


「ゴメンね」


「(心……心が籠ってない……)(T^T)」



 気のせいか父さんの心が折れそうなのでこの辺にしておこう。



「……ゴホン……えぇ……白の王から通達があった。昨今騒がせている事件の捜査の件だ。どうだ?何か分かったか?」



 ………ハキッリ言えば拍子抜けした。なんだ、何か厄介事でも依頼されるのかと思ったよ。



「それが全然……下町には手懸かりがないよ。多分犯人の根城は市民街か貴族街……それか花街辺りじゃない? 生憎とその辺りは管轄外だからね。嫌われ者にどれ程協力してくれるかなんて……分かりきってるよね~」



 全く進んでいないと報告をすると椅子にもたれて腕組みしながら物思いに耽った顔になった。父さんは顔は良い。そんな姿が様になっている…だが、いかせんヘタレなので半減するが……。あ、私の顔はこの頃父さんに似なくなってきた。


 私って目を細めたりしてるから似てるように見えなくなったと母さんは言う。それに前髪で目を隠してるから他人には似ているとは言われないだ毛かもしれない。



「……どの区画も中が悪いからな。心配せずともその辺は俺や白の王が調べるさ。……しかし、下町に居ないことは解り切っていると言うに……。皆、下町に潜伏していると言い切る。貴族街は叩けば埃がたんまり落ちるからな、用意に手の内を見せるわけにもいかないのだろう。市民街は頑固だしな。花街は独自のルールがある。何処も足並み揃える気はないだろう。厄介なことに」



 どの区画も仲が悪いのは周知の事実。下町がどんなに協力してもコレじゃ意味がないよね。



「コレはもう父さんや母さんが市民街をどうにかするしかないよ。貴族街は王自らがどうにかしてほしいね……花街は……」



 人身売買、違法で体に害のある薬の流通、病気の温床、蔓延……色々言いたいこともあるけれど、彼らを邪険にすると後が怖い。何が怖いかって……嫌がらせが陰険で執拗で執念深いのだ。関わりたくない。


 特にあの区画は歩こうとも思わないので直接的な関わりはない。が、薬を下ろしているので多少の変化は予想できる。


 言っておくが、媚薬的な物は取り扱ってない……訳じゃない。取り扱って入る。だけど花街には下ろさないようにしている。どんなに懇願されても断っている。誰から花街の方に流れるか分からないので名簿に名前と住職を記載しないと売らないことにしている。勿論嘘発見機ならぬ嘘発見術で嘘なんてバッチリ見抜きます。其処んところはバッチリよ。誰かが無断で薬を流したら……一発で解る。そして報復する……



 売ってる私が言うのもなんだけどさ。ここまでしてこの手の薬が欲しいのか? いくら体に害がなくても、無断で女性に使ったりしてないだろうな?


 と、まぁ、そんなこと出来ないように調合してるけどね。舐めんなよ、女性に乱暴するために使ったら……一ヶ月不能にするぞ。いや、一生不能にしてやろうか……


 悪用防止のために私の作る薬はさっきも言ったが、悪用しないと契約書にサインする事になっている。母さんもこうしていた。


 で、悪用したらどんなことになるかクドイほど言い聞かせて渡している。客のトラウマになるほどに。どうなっても……知りませんよ……



 主な効能は弱い興奮状態を引き起こすだけ。そして少しの素直さを引き出す成分と、怪しいものは何も入ってない。みんな市場で売ってる素材だ。あ、甘味もつけてるかも。ん?効能? 単なる雰囲気の為だよ。




 さて、こんな薬を下ろしてはいるけど、利用するのは日々悩んでいる男性達だ。下心で使う客にはけっして売りたくないし売ってない。たまに素直になれない女性が多少大胆になりたいとか……そんな悩んでいる人に売っています。


 契約書にサインするのは客にも利点がある。何かあっても自分が犯人ではないと証拠になるからだ。この契約書に掛かっている術は白の王から調達している物なので実質白の国からのお墨付きである。証拠にコレほど強力なものはないだろう。



 おっと、脱線した。戻そうね話。



「俺は花街は好かん。煩い、鼻は曲がる、鬱陶しい。何より麗春にキレられる……」


「最後以外は共感できるよ。彼処は頭が痛くなるからなるべくは行きたくない……てか、行きたくない」

「鼻が良いとあの町は辛いっスからね。俺もあの空気は苦手っスね」



 花街の入り口付近を通過したことはある。その時は八雲や他の眷属達も辟易していた。臭いと騒音も酷かった。


 町全体に広がる何かの香――多分何か興奮作用があるお香だと思う。私が扱っている物よりも強力な――と女性達が付ける香水と町が出す排水やらの臭いが混ざってエライ臭いがする。私は花街に近付いただけで入りたいとは思えなかった。鼻が麻痺したよ…。



「やはりあの花街を取り仕切る初夏(ショカ)と同じ性別の麗春に頼むしかないか……」



 初夏(ショカ)とは、花街を仕切る娼館の女主人の名だ。どうも私と父さんは目の敵にしているようで……全く協力しない。裏の世界では有名な人らしく、花街と言う特殊で情報が集まりやすいのを利用して情報屋をしてるとかなんとか。


 余談だけど、白の王が若い頃情報だけを買いに来て王に迫っても突っぱねられ女のプライドを傷付けられた腹いせに「白の王子(当時は王子だった)は私にのめり込んでいる」と噂を流して王妃(当時は王太子妃)に手酷い報復を受けたとか。自業自得だろうに。そして何もしていない王は一週間ほど口を利いてもらえなかったとか。ドンマイ白の王。



「白の王とも仲が悪いからなぁ……」


「自業自得だよ。何も言わずに花街に行ったら誰だって疑うよ。しかも一人で。誰か共を連れてけばまだ良かったろうけど。花街に行くってことはコレだけ危ないんだよ」


「行きたいとは思わないがな。白龍は伴侶以外興味がないからな」


「それでも麗春様には疑われるッスか?」



 その八雲の一言に父さんは苦笑い。八雲よ、女ってのはね、疑わしいことは疑ってしまうのよ。それと、疑うようなことをするくらいなら自分に何で話してくれなかったのかって思うわけよ。女は……少なくとも私や母さんは結果よりもその過程を気にするのさ。


 仕方なく女性を口説いたら……そりゃ怒るってもんだ。父さんはそれにイマイチ気がついてない。鈍感なんだから。あえてバカとは言わないでおこう。



「二年前のあの件は父さんが悪いよ。何も言わずに一週間行方を眩ませたんだから。どれ程母さんが心配したか……」


「いやな、あれは仕方なかったんだ。あの女は麗春の命を狙っていたから……」


「その為にって言われても口説いたら……そりゃ母さんも愛想尽かすよ。妊娠中なら情緒不安定なんだ。何時ものように考えられなくてもおかしくなかったよ? それに妊娠中は男は浮気しやすいんだからね。不安になるなって方が酷だよ。」


「………」


「で?探し当てたら目の前で熱い口付けなんか見せられたら……ねえ?」

「あれは……ねえ?」


「………(´・ω・`)」



 あれは私もキレたよ……だけど母さんのキレ具合が恐ろしくて……怒りを通り越して父さんに同情した。助けはしなかったけど。


 今から二年前、末の妹が生まれる少し前。あ、兄弟達の事は後で紹介するよ。


 先ずは二年前のとある騒動のことを話そうか。




 今から二年前のある日、私はお産を控えた母さんが体調を珍しく崩したと聞いたので嫁さんと一緒に里帰りしていた。


 八年間で7人も産んで経験豊富ではあるものの、どうも体調が悪いのが気にかかったのだ。もし何かあっても父さんや弟妹達には対処できるか不安だったのもある。


 そしたら父さんは一週間ほど行方知れず……私達に心配をかけない為って母さんは家に訪ねるまで黙っていたのだ。そんなことは言ってられないと私はあらゆる手を使い(人様には言えないようなエグいのとか)何とか探し当てて………



 でも、まさかあんな場面を見ることになるなんてね……。


 包み隠さず言ってしまえば、知らない女性と父親のキスシーンを目撃してしまったのだ。やぁ……久し振りにキレるかと思ったよ、さっきも言ったけど。


 嫁さんとポチ達の話では「場の空気がヒンヤリ下がったかと思えば、灼熱の炎で一気に気温が上がった」らしい。


 多分不審者(女)が居たから狐火で嫁さんとポチ達をガードしたんだと思う。無意識でやってしまったのだ。


 で、その不審者兼不法侵入者は私達に気が付くと何か耳障りな声で喚いて騒ぎ立てた。最悪なことに母さんもその場面を目撃……


 父さんは星になったかと思ったよ…母さんの対処は……見るも無惨に……うん。



 お陰で父さんは生まれた末娘と一週間も面会出来なかった。母さんの眷属達の非難もスゴかったな。


 ま、自業自得だよね。あの女とは何もなかったとしても……無かったよね?男って私は信用してないから。特にその手のものは。だって私、男嫌いだし。現にキスされてたんだし……いくら不意打ちでもチートな父さんなら避けられたよね?


 下心があったんじゃないかと疑ってしまうのよ。


 だからあえて私は何もフォローもしなかった。母さんにも何も言わなかった。言ったら絶対父さんを批難して結果的に母さんが悲しむことになるだろうから。


 一緒に居た年数も、信用も母さんの方が圧倒的に上なんだもん。誰の味方になるかなんて明白でしょ。





「あれに懲りたらもう少しマトモな対処をしなよ?」


「ううぅぅ……」


「すいません……俺もフォロー無理っすわぁ」



 熱々なキッスを見せつけられたら……ねえ?


 避けないあんたが悪いって。




 と、まぁ父さんを弄るのも飽きてきたので、本題に戻ろう。



「イジルって……」


「ま、私は調査を続けるけど期待はしないでよって事。後は王宮術師にでも任せなよ。高い給料貰ってるんだからその分仕事させなよ」


「グズン……」


「母さんには私から言っておくから……謝っておきなよ?」


「!!!?!?」



 驚いて顔が崩壊している父さんはとても笑えた。写メにでも撮っておきたかったほどだ。撮ったら嫁さんと母さん、次いでにマオ(ミケ)にでも添付して送りたかった。


 そんなことしたら父さん涙目になるね……ちょっと楽しいかも♪


 ま、閑話休題



「どうせまた何か余計なことを言ったんでしょ?」


「な、何故解った!?」



 今の父さんを表すなら「ガビーン」だ。何となく伝わっていると思う。そんな感じだ。


 今、父さんに似ていると言われてなくて良かった。親子と思われたくないくらいキャラが崩壊している。



「素直に謝りなよ?少しでも自分が悪いと思っているなら……あ、けど、何が悪かったのか分からないなら謝ると余計に悪化させるからね。そこは空気読んでね」


「……はい」


「それでもダメなら土下座して誠意を見せなよ。でも「土下座して謝ってるんだから許してくれよ」とかは口が裂けても言ったらダメだよ。」



 たまに勘違い野郎がいるよね。俺が謝ってやってる…とか何処までも上から目線の奴が……いや、女にもいるよねそんな人。あれって余計悪化させるだけって気がつかないものかね?



「心得ました」


「うん。じゃ、私は帰るよ。嫁さんの様子も気になるし……」

「(さらっとノロケ入りました~)」



 八雲の生暖かい眼差しはいつも通り無視して出口の扉のノブに手をかける。しかし、後ろから言われた一言に私は止まるしかなかった。



「近々黒の国から大使の一団が来るらしい。紅蓮……覚悟はしといた方が良いぞ」


「知ってるよ……覚悟はとっくにしてるから……」


「………」



 分かってるよ。黒の国が私達に難癖つけてくることなら……。親の代から因縁じみたモノを彼らは未だに非難していることも。



 ――――彼らが藍苺ランメイを排除したがっていることも……分かってる。


 そして奴等の企みも……


 そんなことさせるつもりなんてない。相手を排除しても……させはしない。



「……紅蓮?」


「ボス?どうしたッスか?」



 ドアノブに手をかけたまま額を扉にくっつく様にもたれ掛かった。



(……今、何を考えた? 相手を排除……コレじゃ本当に病んでしまう。いや、もう……病んでいるのか?私は……)



 心配そうな二人の声をなかば無視して力任せに扉を開けて勢いよく部屋から飛び出した。




 何だか自分が本当におかしくなりかけていると……何となく分かってきていた。




 そんな自分が…嫌で…



 唐突に一人になりたくなった。















 紅蓮コウレンさんは男嫌いです。筋金入りの男嫌いです。


 人にもよりますが基本男嫌いです。異世界での永い永い旅で多少変わったかとも思ったのですが直りませんでした。寧ろ嫌な事が多くあったので悪化したかも知れません。((´・ω・`))


 でもホントにかかわり合いたくない相手なら無視するかぶっ飛ばします。そんな変なツンデレ?に進化してました。



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