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狩りには忍耐・早さ・ずる賢さが必要である

 そんなにタイトルと合ってない内容です。バトルとか書けません……ごめんなさい。




 楽しくもないけど狩り場到着。


 狩り場と言っても洞窟だけど。




「薄暗いと何が居るかわかんないッスよね」

「え?私は見えるけど?」

「チートじゃないんスよ、俺は」

「いや、狐になれば……暗闇くらい見えるでしょ? 夜行性だもの……」

「あ、その手があったッスね……」



 日頃意識しないから忘れてたッスよ、なんて言う八雲。彼は九尾一族ではないにしろ純粋な狐妖怪だ。狐の姿になることも出来る。しかし、長年人の姿でいたせいかその事を忘れがちであった。


 狐なれる、つまりは私のように耳や尻尾を人の姿でも出せるのだが……何でもこの姿……妖怪達には“半化け”と言って何らかの要因(感情の起伏、怒り等)や未熟さでなってしまう姿らしく……見せたくない、或いは恥ずかしい姿だそうだ。


 それを聞いたミケ改めマオ嬢は「日本のケモナーはそれでも良いのよ。てか、見せなさいよ」と見当違いの事を宣っていた。先ずソコから離れなさいよ。BL好きでケモ耳尻尾付きなら尚を良し!とも言っていたな……人の趣味を兎や角言う趣味は無いけどさ……ちょっと私は理解できない領域だ。男がケモ耳に尻尾付けてるの見て楽しいの?


 藍苺ジンみたいな「え?女性?」な所謂男の娘に付けるのは……分かる……かな? ま、私にとってはどっちでも良いのだよ。



「耳を出すと……五感が敏感になり過ぎて辛いんスよね……慣れてないせいッスか?」

「だろうね。私も初めの内は苦労したから……主に嗅覚と聴覚でね」

「はははは……キツいッスよね……」



 お互いの苦労話に花を咲かせ薄暗い洞窟を延々と歩く姿はどこらか見ても不審者だったことだろう。


 討伐対象の岩窟鳥もこの五月蝿さに痺れを切らし襲ってくる。


 ま、それが狙いでもあったのだけど。


「静かな寝床を騒がしくされたら怒るよね」

「夜行性なら尚更ッスよね」

『その前に巣に入ってきたら怒るものだろう…』

『特に繁殖期真っ只中ならな』



 この岩窟鳥は殖えやすい。何故か? 狩り場は暗いし狭いし、逃げ場無くて逆にコイツらのディナーになるから誰も好き好んで受けたがらないのよ。


 肉は美味しいけど、それなら誰かが狩ってきた物を書いとれば良いしね。それにこの肉を今食べるならもっと安くて低ランクで受けられる魔物の肉を食べた方が懐には良いだろうし。余程の物好き以外は受けないだろうね。気の立ってる繁殖期なら尚のこと……。



「さて、栄養満点の肉と卵、それからついでに素材集めと行きますか」

「了解ッス」

『我らは獲物の様子を見ています。採取の邪魔などさせません』

『どうぞ存分に』

「いつもありがとね。さて、鉱石でも採ろうかな。薬草類も採っていこう。だーれも来ないから取り放題だよ。生態系を崩さない程度にだけど。」



 お利口さんなみんなの協力で30分もしない内に採取は終わっていた。


 採取した薬草や鉱石の中には結構なレアな物もあったので私の懐はホクホクだ。


 暗闇にひっそりと淡く光る月光草、暗闇でしか生きられない闇草やみそう(別名病み草)、多量の宝石を地下茎に溜め込む宝花生たからっかせい、上質で強固な糸を実らせる糸巻き花、肉と同じで栄養満点な岩窟鳥の卵、その他諸々の鉱石を手入れた。


 中でも岩窟鳥の巣(お食事の為か留守)に潜入したときに見付けた蝶舞石ちょうぶせきを手に入れたのはラッキーだった。この蝶舞石、なんと言っても模様が凄い。まるで七色の蝶が舞っているかのような模様、そして、光の加減で色が変わり羽ばたいて見えるのだ。そりゃもうお高いですよ。貴族の奥様方に大人気……売る気はないけど。


 幸運の御守りとしても人気で、小さな粒なら庶民にも買える――とは言え質は遥かに悪いし、高めな値段――恋人にプレゼントすれば大変喜ばれる物だ。



 ま、私は違うことに使うけど。




「大量ッスね~。誰も来ないからこんなにも採れるんスよね」

「まぁ、岩窟鳥、巷では頑固鳥は厄介だからね、数が多くて」

「そうっすね。パーティー組んでてもこんなにのんびり採取なんて出来ないから採算も取れなさそうだし」



 狩りには予め準備が必要だ。武器、防具の整備費・維持費、道具の出費、諸々考えるとただ魔物を狩るだけでは直ぐに赤字になって破産する。



 ゲームのように道具は安くない。一式揃えるなら金貨が二枚ほど飛んでいく……。初心者にはギルドから新人育成プログラムとして負担してくれるが、位…もうランクでいいや。


 ランクがある程度上がるとそれも無くなる。中堅になって始めて傭兵の辛さにぶち当たるのだ。恐や恐や……


 ギルドで換金してくれるアイテムもそこらかしこに落ちているのでそれを取り忘れると結構な痛手になるのではないだろうか?財布的に。


 私も駆け出し時代は両親に頼らず、しかもギルドなんてまだ無い頃だから……苦労したよ。ギルドもこれには頭を痛めてる。どうにかなるにはまだまだ時間が掛かることだろう。新しいモノはそういうものだ。何度もアップデートを重ねてより良い物を作っていくしかないのだから。


 それにしても、今日は大漁だ。


「これ換金するだけで弁償代を差し引いてもお釣りが来るよ」

「うわ~。それだけこの場所人気ないッスね」

「そうだね…。それだけ危険な所なんだよ。(確か狂暴な魔物が岩窟鳥を餌にするために来るとか聞いたけど……)それにしても、ポチや夜夢ヨルムが警戒してるからか……襲い掛かって来ないね。何れだけ慎重なんだ。」

「ここ以外の頑固鳥は結構好戦的ッスよね……やっぱり、性格も属性に左右されやすいんスかね?」



 確かにね。血液型占いみたいに属性占いとか案外あってるかもね。


 火属性は熱し易く冷め易い短気(爆発的な意味で)。水属性は冷静で穏やかで怒ると怖い(水害的な意味で)。風属性は賑やか担当なお祭り好きで飽きやすいが怒ると手がつけられない(嵐的な意味で)。地属性は無口で物静か、しかし怒ると怖い(災害的な意味で)が懐は深い。樹は穏やかで懐が広く大らか。闇と光は個性的だと一般的には言われている。なんだよ最後の個性的ってのは……


 そえっと、その他にも複合属性と言って雷(風と光の複合属性)は火と相性が良くて二つの性格を足した感じ、氷(水と闇)もその属性を足した感じらしい。他にも複合属性はあると思う。ま、解明されてないからね。色々と。


 それらの解明されてない属性は纏めて無属性として扱われている。稀な属性を一々付け足すのが面倒だから……なんて理由かららしい。良いのか宮廷魔導士よ、それでも国一番の手練れか?後ろに(笑)が付くぞ?



 それと、この属性占いを考えた人よ。なら闇以外の属性を網羅している私はどんな性格だ? このままいくと兎に角危険人物かつ、個性的な変人(HENZIN☆)になるぞ……


《マスター、落ち着いてください。所詮は占いですよ。真に受けなくとも宜しいのでは?》

(うん、そうだな。私もちょっと混乱してた。怖いな、夜中のテンション引きずってると)



 クラウドの指摘により混乱から少し立ち直った。多分。あまり寝てないとこんなテンションになるのね人って。


 まさか真夜中のテンションを引きずるとは……不覚。




『囲まれたな』

『ウム、待ちくたびれたな』

「漸くご出勤ッスか?重役出勤ご苦労様ッスね」

「魔物に重役って無いよね…」

「言葉のアヤッスよボス。」

「どちらかと言えば揶揄かな?」

『どちらでも良いのでは?』

『戦闘態勢に入らねば腕の一本は取られる……ム、自分には手足は無かったな。』


「ハイハイ、蛇足蛇足…。さて、いっちょ行きますかね。」

『「合点!」』

「ウム、丸呑み……は駄目だな、締め付けか?」




 蛇足的な夜夢のボケで緊張も程よく?解れたので、さあさあ、御待ちかね。みんな大好き格闘戦の時間だよ!!









         ~30分後~






 私たちを侵入者として殺し、あわよくばご飯にでもしようかと思って襲い掛かってきた岩窟鳥、別名頑固鳥は雄牛程もある巨体をものともせずアグレッシブかつ、仲間との連携で私たちを追い詰めようとした。細い足なのによくもまぁアグレッシブに動くよ……骨が丈夫なんだな。


 しかし、私の眷属になってから本人無自覚チート化した八雲と元から強かったポチ(本名璃瑠リル)と夜夢の敵ではなかった。


 実は本来の姿はとても巨大なポチと夜夢は広めの洞窟内でも動ける大きさで敵を凪ぎ払っている。夜夢は岩窟鳥の弱点とも言える巨体に似合わない細い足に巻き付き転ばし、ポチは強靭な前足と鋭い爪で頭を潰し確実に敵の数を減らしていった。


 八雲は大きめのビー玉サイズの火薬玉(八雲特製の威力大で+異常状態にする恐怖な品)を岩窟鳥の口に放り込み敵を混乱と異常状態にしている。容赦無いな。ちなみに、そんな異常状態にする攻撃でその肉食えるの?って疑問は火を通せば大丈夫。いったいどんな薬を使ってるのか……。



 それにしても……



「ぶっちゃけ私の出番無いよね」

「何言ってるッスか。得意の弓矢で撃ち抜いてくださいよ!」

「いや、この状態からは私でも無理」

『大蛇よ、隙を作るぞ!』

『ああ。承知した天狼よ』



 術をぶっ放すにしても詠唱の隙がない。いや、無詠唱も出来なくはない。てか、出来るけど、何時何処で誰に見られているか分からないので容易にするわけにはいかない。そして、禁術と上位術は母さん(マミィ)によって禁じられた。暴発はしたことは無いが、狩り場を壊滅しかけた事が前にあった。あれは反省している。



 耳を劈く二匹の獣の咆哮が洞窟内に響く。ギャイのギャイのと騒いでいた岩窟鳥は一瞬怯えを見せたが直ぐ様体勢を立て直し仲間同士固まり始めた。



「最後は頼むッス!」

「ハイハイ、術をぶっ放せば良いのね。」

「程々にお願いするッスよ。落盤なんて洒落になんないッスから!」

「ここまで暴れた後に言われても……ここの岩質堅いから心配ないよ」

「……ボスの術は初級でも洒落になんないッスから」




『なあ、大蛇よ。』

『なんだ天狼』

『敵味方識別がある為我らに被害は無いが、』

『ウム……』

『……我らは敵でなくて良かったと心底思うな』

『……そうだな』




 働き者な眷属達のリクエストに答えるため、一応詠唱をし始めた。のと洞窟に住む岩窟鳥は明確な弱点属性がない。なので本来は力で圧倒する。それか岩の鎧と化した羽の隙間に的確に矢を射抜けば……致命傷を敵に与えることも出来るだろう。


 しかしだ、私は一流のスナイパーではない。アグレッシブに動き回る敵の弱点を射抜くなんて、出来ないぞ?


 私の眷属達は私を買い被りすぎている。私はそこまで優秀じゃないの!両親は本当に優秀だけどさ。



「出来れば下位にしてくださいよ!」

「ハイハイ……下位の広範囲ねぇ……」


 こんな暗闇に居たら目も退化するだろう……しかし、コイツらの目は光は感知できる。つまりは……



「作戦名『目がぁー!!!』だね。」

「素直に閃光って言えば良いのに…」

「それじゃあ面白味がない」

「面白味って……」



 激戦を繰り広げる中こんなに暢気で良いのだろうか……いや、駄目なんだろうけど。



「『光よ!』」



 ピカッーっと眩しい光を八雲は腕でガード、ポチや夜夢は光源から背を向けて防御した。


 私はポイントを指定するのでちょっと眩しい。この術……単に眩しいな光を出すだけなのでとても簡単です。初級なので誰でも使うことのできる術だ。しかしこの術……使いどころがとても限られるのだ。某狩猟ゲームの閃光玉の様に普通の敵には効きません。それほど強くもない光だからね。こんな暗い場所に住む光を認識できる岩窟鳥位だよ。


 つまり使えない。光源として明るくするにも光がちょっと眩しい&直ぐに消える。まるで使えない。



「そんに眩しくないッスね……一面真っ白って感じじゃない」

「もっと強いのは下位の術かな。初級じゃこの程度。暗闇に目が慣れてるならキツいでしょ。」

「あ~……確かに。けど、それなら俺らもキツいって事になッスよね?」



 まぁ、私たち数時間暗闇に馴れた者にとってはキツいけど……人生の大半をこの洞窟から出ることなく住んでいる岩窟鳥に比べれば……眩しさの度合いは違うと思う。………と、一応理由をつけてみるけど、実際は敵味方識別マーキングで味方には効かない仕様になっているだけである。ここら辺はゲーム仕様です。



「持って15秒ッスね。片をつけるッスよ!」

「OK~。」

『主、これではどちらが主従か分かりません』

『主殿は相当お疲れな様だな。……ところで一匹ほど呑み込んでも良いだろうか? 腹が減ってしまった……』



 マイペースな夜夢と心配性なポチに真面目な八雲。よくもまぁ色んな性格が集まったものだよ。そのお陰か狩りも簡単だ。余談なんだけど、傭兵の中には私のように眷属と共に闘うタイプがいるのだけど……それって狡いよね?って意見が多い。


 人間から見たらそりゃ狡いよね。けど、徒党を組まないから良いんじゃないかと私は思うのだよ。特に、ポチや夜夢の様に獣形のままではギルドに登録申請出来ないからね……お供として着いていくしか手がないのよね…今のところは。



 勿論、仲間と狩りをする時は制限がつくよ。反則的だからね。強い妖怪はそれだけ眷属を養えるって事だから……軍隊並みに連れている事もあるよ。スゴいよね。


 ま、それは反則って事で人数制限を眷属10人まで、仲間は5人までって事に一応治まった。



 依頼を受注する時に参加者の名前と人数を定時すれば眷属は異例でお供にできる。あ、これはね父さんが悪乗りしてみたら結構好評だったから実装したのです。勿論、あの某狩猟ゲームからヒント。取ったみたい。



「ボーッとしてないで下級術でも撃ってくださいッス!」

「あ、ゴメンゴメン。急ぎますよ『火球』」


 猛火の球が三つほど私の頭上に表れ敵に向かって飛んでいく。あれだ、ファイアボールとかファイアとかメラとかと似てる。ファンタジー初級の術です。お馴染みです。第四元素の火水風地があります。


「今、火急と火球を掛けませんでした?」

「気のせい、『水球』『切風』『地震』」


『うおっ!……あ、危ない……敵味方識別が無ければ即死だった…』

『むっ!手足があれば吹っ飛んでいた……』



 ゴメンね二人とも。火球は一度に三つも出るからコントロール難しいのよ。地震は広範囲攻撃だから尚の事……今度からは控えます。


 さて、光で混乱していた岩窟鳥をみんなで攻撃して一ヶ所に集めました。じゃぁシメね。



「『呪花ジュカ』」



 説明しよう! 呪花とは九尾狐が最初に覚える樹属性の攻撃術の名前である。効果は属性に関わらず一定のダメージを与える。敵の動きを封じる。じわりじわりと体力を奪う。である。


 最初に覚えるにしても恐ろしい術である。


 見た目は薔薇の棘が痛そうな蔓。しかし、一度敵を絡めとると棘が刺さり抜けずに魔力を吸い取られ最終的には息絶える。しかしそれには長い時間が掛かる。吸い取った魔力の属性によって咲かせる花の色が違うので昔はこの術を使って属性を調べたとか……私はこんなのおかしいと思うよ。


 今は母さんが作り出した宝珠のお陰で楽に調べられるようになりました。天晴れ。これで小さい子でも怖がられずに検査できるね。




「何度見てもえげつないッスよ」

「私もそれには賛成する。夢に出てきそうだよね」

「俺きっと今SAN値チェックしたら大分削られてますよ」

「これで削られるなんて結構柔だね。それじゃぁこの先発狂確定だよ。もっとえげつない術もあるんだから」

「………就職先間違えたかも」

『『ドンマイ』』



 ま、戦闘向きじゃないからね私と同じで。今度からは裏方として店番だけにしておこうかな?



 こうして私たちはいばらに絡まって弱っている岩窟鳥をさっさと絞めて食材と素材を大量に確保してホクホクな気分でギルドに帰ったとさ。



 あ、今ごろになって思い出したけど……父さんに呼ばれてたの忘れてた。


 ………後で寄ろう。














 お父さんの事を漸く思い出した紅蓮さん。よかったな朱李よ。思い出してもらったぞ!



 ちゃんと会いに行くかは未定だけどな!




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