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選ばれし者15
(仮にそうだとしても、罪を犯しておいて償うこともなく人を買収するような奴だぞ)
政直は自ら起こした疑念を、自ら論破した。
まるで、その疑念が正しいことを恐れるかのように。
「私は協力しませんよ」
ナオミが自分の両肩を抱きながらそう宣言した。
「佐渡さんも、そうでしょう?」
政直は首を横に振った。
「相手が相手だからな。信用できないと判断したら、すぐにでも辞めさせて貰う。
けど、人類の復活を望む男として、可能性があることに挑まないわけにはいかないんだ」
ナオミの瞳を見つめながら、言葉を発した。これが政直のことを見直す切っ掛けになることを願いつつ。
「だって…メッセンジャーとか、怪し過ぎじゃない。本当にいるの?そんなの?」
ナオミの疑念は晴れない。あの子供を自分の目で見たのでなければ、荒唐無稽な話に聞こえるのも無理はない。
「メッセンジャーは存在する。この目で見たからね。
大丈夫、怪しいと感じたらすぐ帰ってくるさ。安心して待っていてくれ」
政直はナオミの肩を両手でしっかり掴んだ。男らしく微笑み、前歯をキラリと光らせた(というイメージを勝手に浮かべた)




