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選ばれし者8

「本音をバラすとね。今回の買収は、オレにとって実験の一つに過ぎなかったんだ。今のこの世の中で、金と倫理を天秤にかけて後者を選んでくれる人間がどれほどいるかってね。

実験の結果はご覧の通り、32人という少数のサンプルしかなかったにも関わらず、2名もの『成功者』が出てくれた。こいつは意外だったね。いやはや人間ってのもマンザラ捨てたもんじゃないんだな」


政直の予想は的中したようだ。

「で…人の命を奪っておいて、そんな重大な事実をなかったことにしてまで、そこまでして世界を救うために有働さんがしたいことって何ですか?」

再び皮肉を盛れるだけ盛った政直だったが、先程までよりは悪意は収まっていた。有働は間違いなく人間のクズであるわけだが、ただのクズではなさそうな気がしてきた。


「佐渡くんは知ってると思うが、メッセンジャーに関係することだ」

有働はチラッと政直を見た。


政直は軽く首を縦に振った。

「あの子供のことですね」

昨日の晩の奇妙な体験は、忘れたくても忘れない。なにせ、あの子に関わったせいで政直は罪人として扱われているのだから。

チラッとナオミの顔を見ると、首を傾げている。

(くっそ、ちょっとした仕草もイイゼ抱きしめるぞゴラァ!)

暴走はさておいて、メッセンジャーのことをナオミは何一つ知らない。説明が必要だが、説明出来るほど政直もよくわかっていない。


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