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選ばれし者6

ナオミは口封じをされることを恐れているのだろう。有働は今や、政府でも指折りの権力者となった。そんな人間に逆らおうというのだから、そのような危険に怯えることはさほどおかしなことではない。

だが有働は政直やナオミのような人間を重宝していることを、政直は知っていた。おそらくこの男にとって、世界は巨大な実験場なのだ。そして奇妙なことに、有働は実験が思い通りにいくことよりも意外な結果が出ることを好む。東京ドーム居住区という実験場において、政直とナオミは不安定要素であるわけだが、そんな二人を有働は愛おしさすら感じているようだった。

まるきり気持ち悪いパラドックスだ。他人を金で釣ってまで言うことをきかせたくせに、そんな人間を軽蔑しているようにさえ見えるのだ。



「さてさて、そんな君たちだが、別にここを追放したりするつもりはない。君たちには別件でお願いしたいことがあるんだ」

有働はあっさり言った。


政直は言葉を失った。いったいこの男は何を考えているのかわからなくなった。


「申し訳ありませんが、貴方のお願いを聞く筋合いはあたしにはありません」

ナオミの発言に、政直は完全に同意した。どう考えても、有働が二人に何か頼める状況ではない。



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