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選ばれし者5

助け船はすぐに現れた。

ほどなく有働が取り調べ室に姿を現した。

「ようこそ。たった二人の反逆者さんたち」

不敵な笑みを浮かべて、政直とナオミの並ぶ席の前で椅子の上に胡座(あぐら)をかいた。


「有働さん、何の用だ?“オレたち”はあんたには買われないって明言したはずなんだがね?」

政直が横目でナオミを見つめながら言った。それみたことかと言わんばかりの眼だが、ナオミは目線を逸らしたままだ。政直は心得ていた。彼女の過ちを後で責めるようなことをしてはならないことを。


「オレはね、裁判に関わって金で動きそうな人間には片っ端からコンタクトをとってみたんだ」

有働は政直とナオミを眺めるように見比べた。不思議と、買収に失敗したいわば敵にあたる人間に送る視線には見えない。

「連絡をつけられたのは合計で32人。素直になってくれたのはうち30人。つまり……」

政直は思い出した。有働が自分のことを“面白い”と表現したことを。この男にとって、思い通りにならない人間がいることはストレスになっていないのだ。むしろ、イレギュラーの発生を楽しんでいるようにさえ映った。

「素直にならなかったのは君たち二人だけだってことだ」


有働が何を考えているのか、政直にはわからなかった。横目でナオミを見ると、肩が小刻みに震えていた。彼女がどんな想像をしているのかは、大方の見当がついた。


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