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悪の華9
「存分に思うよ。君の愚直な性格を考慮に入れてのことだ。
わかっていないのか?佐渡、これは君にとっても極めて重要なチャンスなんだよ」
有働の言うことはハッタリとも思えない。口調がはっきりし過ぎている。
「わからないなら教えてやろう。今の君の立場は、国の超重要機密であるメッセンジャーを拉致しようとした容疑がかかっている。このまま行けば、君は国家の反乱分子として扱われる。
はっきり言おう。オレは確かに一時的な激情にまかせて、早稲田を燃やした。目の前に娘の仇がいたんだ。冷静な判断なんてできなかった。残された人々に、犠牲が出たのはほぼ間違いないだろう。オレは大量殺人を犯した。それは確かな動かしがたい事実だ。
だけど、君も国家反逆罪に問われている罪人だ。たとえ事実を言ったとしても、あまり信用されないだろう。いずれにせよオレを裁判でヘコますことのできる可能性は、極めて低い。
この腐れた政府にとって、脳味噌イカレて推定何十人もの死傷者を出したオレより、どうせ君のことだから子供を助けようとしただけのつもりだったんだろう君の着せられた罪のほうが、重いと判断されたっておかしくない」




