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悪の華8
有働の話は信じられないことだった。いや、信じたくない話だった。しかしながら、今の政府の在りようを見ていると、悲しいことに嘘八百とはとても言えなかった。
「なるほど。こんな政府でなら、貴方を無罪にすらしかねない。
つまり、政府にとって花の存在はC国の新兵器などでなくちゃならない。早稲田に火をつけたのだって、人のいなくなった研究施設をC国に探られることを防ぐためだったとでも言えば、それはむしろ国が捏造したい事実を裏付けることとなる。貴方のやったことは無意味に犠牲者を増やしただけですが、国のためだったと言い逃れすることが出来るということですね」
有働の考えていることが、ようやく政直にも読めてきた。
有働は高らかに拍手をした。
「その通り!君もわかってきたじゃないか。
だとすれば、君が裁判でやるべきことも自ずとわかってくるはずだ。つまり、何もしなければいい。オレの弁護士は間違いない者を雇った。だいたい、今君が言った内容と同じことを述べる手筈になっている。君はそれに対し、意義さえ唱えなければ……」
「オレがそうすると思いますか?」
政直は有働に最後まで言わせなかった。この男の思うがままにするつもりは、全くなかった。




