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悪の華3
(なんて身勝手な言い分だ)
政直は呆れるのを通り越して、一種の感動すら覚えた。一種の潔癖症とも言える若者には、罪を犯しておきながら平然としていられる有働のことが信じられない。
「いいですか?オレがどう証言しようと、貴方は無罪になり得ない。貴方が早稲田の居住区に火を放ったとき、あそこには確実に百人以上の逃げ遅れた人々が残っていた。惑星直列級の奇跡でもない限り、大勢の犠牲が出ています。この事実をなかったことにする方法は、オレには思いつきません」
政直は厳然たる事実を突きつけた。罪を犯してしまった以上は償うしかないし、それを逃れる手立てはないと思っている。
「佐渡くん、君は若いな……」
有働が薄ら笑いを浮かべながら、そう言った。政直は憎悪のあまり吐き気すら覚えた。
「世の中が、事実をもとに動いていると思っているんだな。でも、残念ながら違う。
例えばの話、あの花が人工物か天然ものか、科学的には結論が完全に出ている。だが、政府はその見解をいまだ未解決のままにしている。何故だかわかるか?その方が政府にとって都合が悪くないからだ。




