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メッセンジャー16
男は貧乏揺すりを止めた。何か、雰囲気が違う。
「もしかして、お前…オレから何か聞き出そうとしてないか?」
バレた。
男は怒りにまかせて罵倒するうちに、政直にかなりの新情報を与えていた。だが、狙いがわかっていてその通りにし続けるほど、相手もお人好しではない。
「てっ…てめえ!馬鹿の振りしてやがったんだな!
頭悪いふりして、話を聞き出すなんて…なんちう悪どい卑怯モンだよてめえは!」
男はベッドを破壊せんばかりの勢いで貧乏揺すりを再開した。
「勝手に馬鹿呼ばわりしといて、そりゃないぜ」
政直は苦笑するしかない。
男は政直の胸元を掴んで、今にも殴りかからんばかりになった。
(痛いのは嫌だぞ)
暢気なことを思案した政直に、助け船が入った。
「佐渡政直、取り調べだ……
……何をやっている?」
実に幸運なことに、看守が政直を呼びつけに来たところだった。
「うわあ。助けてください看守さん。いじめられてしまいます」
政直の救助要請は認められ、男は仲間を呼んだ看守二人がかりで取り押さえられた。
「汚いぞ!正々堂々と勝負しろっ!」
わけのわからないことを喚き散らす男に、政直は手振りでサヨナラをした。




