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メッセンジャー15
「ハッ…知らない馬鹿ってのは幸せだな。ヤツはお前を殺そうとしてたってのにな」
男がニヤリと笑った。
「……それは、どういう意味だい?」
また面白い話を聞けそうだと、政直は期待した。
「お前、おかしいと思わなかったのか?いきなり気を失ったってのに、どうしてだか疑問にも思わなかったのか?…馬鹿だから仕方ないのか。
ヤツの声は人間の脳に有害な周波数なんだよ。長く聞き続けると眩暈がして昏倒しちまう。放っておけば死に至るかどうかは人体実験でもしないとわからないが、いっそのことお前みたいな害あって一利ないヤツが披検体になってくれたら良かったのに」
(なるほど)
この男からしてみれば、今の状況は政直を一方的にやりこめていることになっているのだろう。だが、政直からしてみれば一方的にわからないことを教わっているのと同じだった。
「ありがとう。それで、あの子とのコンタクトはどれくらい進んでいるんだ?」
政直はここで二つのミスを犯した。一つは、礼を口にしてしまったこと。もう一つは、質問を複数するのを怠ったことだ。




