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メッセンジャー10

政直が覚醒したとき、ベッドの上に寝かされていた。

昨晩のことは悪い夢だったのかと思った。イルカのような声で鳴く少女なんて、あまりに現実味がなかった。本当は政直は部屋に帰って寝ていたに違いないと思った。


しかし目の前の事実は政直の妄想とは関係なかった。政直が覚醒したのは鉄格子のかけられた留置場の寝床だった。コンクリートに囲まれた八畳ほどの空間に、鉄パイプで作られた黴臭い寝床が二つ置かれていた。

隣のベッドには昨晩に見かけた研究員らしき男がキツい目をして座っていた。


「えらいことをしてくれたじゃないか」

机に突っ伏して寝ていたところしか見ていなかったので、顔を合わせたのは初めてだった。

禿げ上がった前頭部に部厚い眼鏡をかけた中年男だった。

「どこかのスパイか?何が目的だ?」


政直が留置場送りにされた理由はすぐわかった。おそらく、あの少女は国家機密レベルの存在なのだろう。国からすれば、それを拉致しようとしたのだから犯罪者扱いされるのは当然だろう。

だがこの男まで留置場送りにされた理由を理解するのには、一拍の間を要した。


「……子供が監禁されて拷問を受けていたら、助けようとするのは当たり前だろう」

政直はごくごく常識的な答えを口にしたつもりだった。

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