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メッセンジャー8

政直は学生の頃に読んだ生物の本の内容を思い出した。

人間の聞くことの出来る音というのは、自然界に飛び交っている音波のごく一部に過ぎない。動物の中には、人間の可聴範囲外の音を介してコミュニケーションをとるものもいるという。

この少女も、そういった生き物ではないかと政直は思った。人間の耳にはただの鳴き声にしか聞こえないが、少女にとっては意味のある言語なのかもしれない。

むしろ少女からしてみれば、政直の問いかけの方こそ判別不能な鳴き声に聞こえているのかもしれない。政直がいくら声をかけても反応すら示さないところを見ると、鳴き声どころか可聴範囲が違い過ぎて音としてさえ聞こえていない可能性すらあった。


政直は頭が痛くなってきた。

そもそも、彼の目的は花と戦うことだった。花を滅ぼす術を調査して導き出し、人類を脅かすものから人々を救うことだった。

ところが、花と戦う前に人間と戦わなければならない事情が生まれた。花が生まれるよりとうの昔に、この国の政府は腐敗しきっていたのだ。

彼らは人々の救済など、二次的な目的にしか考えていない。自らの保身こそ最優先であり、国民を守ることは手の空いたときの片手間の仕事なのだ。

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