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メッセンジャー7
ようやく朧げながら目が見えるようになった政直は、とうとう音の正体を突き止めた。
音源が近く感じたのも当然だった。
音の発生源は、少女だった。少女は虚ろな表情で音を出していた。まるで動物のように鳴いていた。
信じがたいことだが、まるで人間ではない生き物のようだった。
キュウッキュウッ
それはまるでイルカのような声だった。少なくとも人のものではなかった。
夜闇の中で青白い月明かりに照らされて、少女は無表情に鳴き続けた。政直は恐怖してしまった。可哀想な少女は一方的な被害者だとばかり考えていて、まさか少女に拘束され拷問される理由があろうなどとは、夢にもおもわなかった。
「君は何者なんだ?」
政直は少女に訊いてみた。
が、言葉が通じていないのか
「キュウッキュウッ」
と鳴くばかりだ。そもそも政直の顔とはアサッテの方向ばかり見続けている。言葉が通じていないどころか、話しかけていることを認識できているかすら怪しい。
「君は…人間じゃないのかい?」
答えは返って来ないと予想できているのに、つい聞いてしまった。やはり答えは無く、ただ鳴き声だけが返ってくるばかりだ。
そして、これは
「はい、人間じゃありません」
と回答されているのと同じことではないかとさえ思われた。




