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メッセンジャー
夜の構内は暗く、今どこにいるのかさっぱりわからなかった。
(まいったな)
考え事をしながら歩いていたせいで、完全に脳内地図から自分の座標を失ってしまった。
今居るところは人の住む場所だろうか、それとも会議室等の専用区域なのか。見当もつかなかった。
こういうことは政直にはときどきあることだった。妄想に囚われているうちに、目の前のことを失念してしまうのだ。
前科があるだけに、何をしたらよいのかは割と知っている。自力でどうにかしようとしても、大抵は体力だけ失って事態が悪化するだけだ。他人に頭を下げるに限る。
公的なサービスは当てにならない。定められた就寝時間はとうに過ぎているため、それ以降の事は良くて自己責任。悪ければ規則違反により罰を食う。
上原との遣り取りを知られた今、政府にとって政直は警戒すべき人物となった。もはや、普通ならば罰せられないようなことでも重罪にすり替えられかねない。
政直はナオミの携帯端末にメールを送った。中身を見られる可能性はあるが、道に迷った助けてくれというのはむしろ身の潔白を明らかにするだろう。内容の改竄までやられないことだけを祈った。




