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東京ドーム居住区6
「だいたいね、政府が無能なんです。国が潰れるって時に、外国から金と資材を貰うこともできなかったんです。
そりゃどこの居住区にも分厚い鉄板を埋めるのが正解なくらい、小学生にだってわかります。だけど、鉄板さえ用意できないまま突貫工事の手抜き工事の連発じゃ、国民を守るのだって限界があるってことなんですよ」
(こいつら、マジで人間の命を何だと思ってやがる)
政直はヘラヘラ笑いながら話している生き物をぶん殴りたくなる衝動を抑えながら、平静を装って話を続けた。
「流石は上原さん、凄い話ですねそれ。
ついでに上原さんに聞きたいんですけど、『メッセンジャー』って何のことか御存知ですか?」
この男なら、知っていることは全て吐き出してくれるだろうと政直は読んでいた。多少は渋っても、ちょっと持ち上げてやればすぐにペラペラ喋りだす筈だ。
「……それ、誰から聞いたんですか?」
上原の表情がやにわに神妙になった。
「有働主任がまだマトモだった頃に、酒の席でね。あの人はよく知らないらしくて、詳しいことはイマイチよくわからなかったんだ。それ以来、事情に通じてる人と話す機会がなくてね。
どうだい上原さん?あなたほどの人なら、何か知ってるかと思ったんだけど」




