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東京ドーム居住区4
ユルいのはこの男の頭だと政直は思った。警察というのはマインドコントロールで保っているような組織だから、若いうちは思考停止するほど働かされることくらいは調べてから仕事を選ぶべきだろうに。
上原巡査が政直にくっつけられた理由は、おそらく他に任せられる仕事がないことにあるとわかった。これは幸運なことだった。つまり政府は政直のことをさほど強く警戒しているわけではない。テンプレ通りの対策を取っていれば、裁判終了までの期間を無難に過ごしてくれると思い込んでいるのだろう。
あまりの拘束にナオミとの親睦を深めることさえままならなかった政直に、光が見え始めた。
「上原さんは頭の良さそうな人だから、さぞかし事情通なんでしょうね」
待機室での談笑を3日ほど続けた後、政直はついに話の核心へと入りこむ一手を打った。
「いやいや。そんなたいしたことは…まあないでもないですけどね」
上原ときたら、自尊心だけは1人前のようだ。




