東京ドーム居住区3
「ここが安全と言い切れる根拠って、何なんでしょうね」
業を煮やした政直は、奇策に出た。待機中に見張っている警官から、聞けることだけでも聞き出すことを考えた。
「さあ?私は何も知らされていないので、わかりません」
警官からはマニュアル通りの答えしか返って来なかった。
(人形め)
政直は腹が煮えくり返る思いだったが、根気よく警官に話しかけ続けた。
幸いにも、政直を見張る警官はたった一人に限られていた。時間をかければ落とせる可能性はある。
政府としては致命的なミスといえるが、人口の減った今は仕方のないことだったともいえる。
とにかく政直は警官とのコミュニケーションに努めた。初めはたわいのない世間話から始めた。政府に繋がる情報を、初めから聞き出そうとしたのが間違いだった。それより先に、こいつならちょっとくらい突っ込んだ話をしてもいい、と思わせることに専念した。なにせ1日の大半を待機時間に費やされるので、時間は充分にあった。
警官は上原という小男だったが、話しているうちにあまり頭がよくない男だということがわかった。
「なんでオレが警官になったかっていうと…安定求めて公務員やりたかったんですけど、区役所とか全部受からなくて、入れたのが警察だけだったんですよね。
そしたら仕事の拘束時間がハンパなくて…っかしいなあ。故郷の駐在さんとか、凄いユルそうに見えたんですけどね」




