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炎上9
「ドームの回線番号、どこに書いてありますか?」
ナオミは箱形の無線装置の前でスイッチをいじり回していた。
「まだケーブルが生きてるはずだから、備え付けの電話を使ったほうがいい。あと、それはヒーターのスイッチだから回しても無駄だ」
政直がそう言うと、ナオミは無線機の隣のヒーターを恨めしそうに睨んだ後に備え付け電話のある助手席に座った。
顔を赤くしたナオミを横目で見ていると、また心ならずもときめいてしまった。
「もしもし。こちら、早稲田研究施設の結城です。……はい、装甲車に乗って脱出しました。同僚の佐渡と、研究室主任の有働がいますが有働主任が第一級錯乱状態です。……それが、居住区に放火したんです。……了解しました」
おそらく、先に脱出した誰かが報告したのだろう。居住区に花が入った話は既に通っていたらしい。ナオミはすぐに電話を切った。受話器のコードの捻りを直しながら置くと、深い溜め息をついた。
「私たちを受け入れるか審議にかけるそうです……」
政直は耳を疑った。受け入れられないという可能性を考えてもみなかった。




