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炎上6
「花が増えるのは、人間と地面を苗床にしてではなかったのですか?」
政直としては、これまでの常識を覆すようなことだった。
「公式発表を鵜呑みにするな、マニュアル人間め。だいたい、奴らが初めて地上に出たときの記録を思い出してみろ」
世界樹が生まれたとき、蔓が地面から出てアスファルトを破壊しながら生えてきた。有働の言い分も、一面的には正しい。
政直は納得がいかない。
「オレはいやしくも調査隊員だから、その事実を知っています。でも、一般人には極秘案件として、情報公開されていません。
つまり、花が地下から来る危険性を考えることが出来ないじゃないですか」
これは不公平過ぎると政直は感じた。だがこの不公平が生まれた理由について、恐ろしい想像が思い浮かんだ。
「もしかして…意図的に隠蔽されているんですか?居住区が花を防げない欠陥があることが判明したら、人々がパニックに陥る危険があるから……」
「それを“もしかして”なんて表現するお前の脳味噌が、オレには不思議でならないね」
有働は開き直ったように言った。
政直は怒りに震えた。この狂人は大勢の命に関わる秘密を、平然と隠蔽し続けてきたのだ。
「どうして誰にも言わなかったんですか?大量殺人に加担するのも同じではないですか?」
政直が思うよりずっと前から、有働は狂っていたのだ。




