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炎上3
全力疾走したお蔭で、2人はすぐに車庫に辿り着いた。何台かあった車両は既に数を減らしていた。
早くも脱出した人がいるのだろう。自殺遺体よりも先に生きようと抗う人の痕跡に遭遇した政直は、少しだけ前向きな気分になれた。
装甲車に乗りエンジンをかけた政直は、車庫のハッチを開いた。
「佐渡、あそこ!?」
赤ら顔がまだ収まらないナオミが、人影を指差していた。
「何だ?こんなときに?」
10秒以内に車庫を出ないと自動的にハッチが閉まってしまうため、政直は焦って苛立っていた。この非常事態に真っ先に脱出に頭が行かない馬鹿なんて、放っておいて構わないという考えさえ頭を過ぎった。
ハッチから無事に出て一安心した政直は、人影を見て考えを改めた。防護服を着た上からでもわかった。その痩せた体は、間違いなく有働のものだった。
灯油缶を振り回し、一心不乱に中身を花の占領した庭に撒いていた。
「有働さん何やってるんですか!?」
政直は車内拡声器で力いっぱい叫んだ。
気付かないのか無視しているのか、有働は灯油撒きに執心していて反応がない。




