炎上2
「わーっ。やべえやべえ」
後ろからの声に振り向くと、そこにはナオミがいた。髪を下ろしたパジャマ姿に、政直は心ならずも胸が高鳴るのを感じた。
(そんな場合か!この助平!)
心の中で自らを叱咤して、ナオミの手をつかんだ。そして、全力で走り始めた。
「ちょっ!どこ行くんだよ?」
腕を強く引っ張られたナオミは、つっかかりそうになりながらも走るしかなかった。
「装甲車で脱出する!」
政直が生き延びるには、それしかない。ここでナオミと偶然にも逢えたのは、何かの天命かもしれないと思った。
「わかった!了解したから、手ぇ離して!走りにくいから!」
政直は冷静さを失っていて気付かなかった。ナオミは顔を真っ赤にしていた。
政直が手を離すと、ナオミが先に走り出した。思いの他足が速く、ついていくのが大変だ。女の子に負けてなるものかと、政直も脚に力を入れた。
「いったいどうなっているんだ?今までこんなことなかったのに」
ナオミにはまだ若干の余裕があるらしく、走りながら喋り始めた。
「さあ?オレにもわからない。昨日の動物園から逃げた象か何かが、突き破ったのかな?」
余裕なく腿に力が入っている政直は、適当な受け答えをした。
「マジかよ?象の野郎め!探してでもぶっ殺しときゃ良かったか?」
ナオミも見た目ほど余裕があるわけでもないのかもしれない。まさか本気で返されるとはおもわなかった。実際どうなのかはナオミが少し先を走っているため、顔を見ることが出来ないのでわからない。




