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研究室4
「そこまで言われて、聞かないって選択肢はないですよ」
政直は絶望には慣れていた。もしも樹に対する対策が簡単に見つかるようなものならば、現在の壊滅的な状況は有り得ない。樹と戦うには、どんなに恐ろしい話でも情報と割り切り冷静に分析する精神が必要であることを確信していた。
「それもそうだな」
有働は微笑んでみせた。目を臥したまま、口だけが弛んでいた。
「鮎貝が挑んでいたアプローチは、やつらが天然モノか人口的に作られたものかを見極めることだった。
人間に対する悪意の塊みたいな生き物が自然発生したものだなんて有り得ないと鮎貝は考えていた。あの樹は隣のC国の開発した生物兵器に間違いないとか、ひょっとしたらバイオハザードってやつかもしれないとか、そんなことを言っていたよ。
そして研究を続けた結果が、アレが単なるツツジの変種で、自然の変化によって生まれた新種だってことをどうやっても否定出来ないとわかった時に…鮎貝は激高して暴れ出したんだ」
政直にはよくわからない。人によって作られたものだとしたら、制作者さえ突き止めれば弱点もわかる可能性が高い。
「それは、死に至る絶望に繋がることでしょうか?」




