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調査隊9

さすがに研究員として使われ続けることはなく、調査隊に送られたという事の次第である。では調査隊では真っ当に仕事が出来るかというと、そんな筈もない。精神疾患を抱えた者に勤まる仕事はなく、肩書きこそ小隊長ながら今日の政直のようなお目付役がいなければ使われない有り様だ。今日だって実のところ、交通法規が意味を失った草原での運転手という、子供にでもできることしかしていない。


「もう生きていてもやれることがない、そんな判断力を残してたことをむしろ尊敬するとこだと思うけど」

ナオミの目は醒めてはいるが、冷ややかなものとは違っていた。諦念と敬意が混在した、複雑な心境が瞳に浮かんでいた。


「ここはな、オレの家があったとこらへんなんだ。詳しい住所とか、もう全然わかんねえけどな。

遺書も用意してあるから、お前たちが何か疑われるようなことも無いはずだが……」

政直は鮎貝と会って初めて、この人の焦点が合っているのを見た。


「いや、事故ってことのほうが丸く収まるかもしれません。

上も覚悟は出来てるかと思われますよ」

ナオミが役立たずの上司に敬語で話したのも、これが初めてのことだっただろう。

そして、最後のことになるだろう。



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