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調査隊8

政直は固まった。

鮎貝は、もともと某有名製薬会社の研究員だった。誠実で勤勉な努力家で、晩婚ながらも妻と子をもうけ、ささやかな幸せを手にしたときに


世界樹に全てを奪われた。


今、鮎貝が調査隊に属しているのには理由がある。真っ先に樹と戦うための研究員に志願した鮎貝だったが、それはあまりに過酷な日々だった。

研究を続ければ続けるほど、世界樹が生まれた理由を強烈に思い知らされるのだ。人間だけに害をなし、他の生き物には無害なただの草花である樹。世界を砂漠化させてきた人類を間引き、新たな生態系を再構築するための布石であるという妄想に駆り立てられてしまうのだ。

やがて鮎貝は精神に変調をきたした。彼の最も大切なものが奪われた理由が地球の生態系のためだと、深く思い込んでしまったからだ。

精神を病んだ鮎貝は、研究室にあった機材を手当たり次第に破壊してしまった。しかし、責める者は少なかった。このようなことは度々あることで、特別な事件というほどのことではなかった。



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