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天使の歌12

「佐渡くん、近くにお姫様はいるか?」

無線から届く遺言に、政直は「聞いている」と答えた。

「お姫様よ、そいつは甘ちゃんだが、実に使える甘ちゃんだ。上手いこと利用すれば、きっとおまえさんを幸せにしてくれるぞ」

最後の最後のこの言い種に、政直は腹が立つやら情けないやら叫びたくなった。

「そういうわけだから、意地を張っていないでそいつをモノにしろ。そいつは曲がりなりにも世界を救ったヒーローだ。たいがいの男よりかはマシな人生を送れるはずだ」

有働は最後の最後まで非常識な男だった。全く、誉められているのか貶されているのかわからない。


「なるほど。ナオミに追っかけられてみるのも、たまには悪くないな。

ハニー、今度ぜひやってみよう」

半ばヤケを起こした政直は、有働の戯れに乗った。

「すみません。あたし話についていけてないんですけど、どうしてあたしが佐渡さんを追いかける話になってるんですか?」

ナオミは呆れていたが、その後の溜め息を吐いた口元には一瞬だが笑みが混じったのを政直は見逃さなかった。

暫くはこの路線で攻めてみようと政直は密かに心に決めた。



やがて無線からは

歌が聞こえてきた

下手くそで調子外れな

天使の歌だった



ほどなくして

世界樹が真っ赤に膨張し

大爆発とともに

花と散った


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