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調査隊5
痩せこけた犬は、花を食べていた。雑食性である犬にとって、人類には驚異となるこの植物は、それ以外の生き物にとっては何ら変哲もないただの草なのだ。
草食生活が続いたせいなのか、可哀想なほど痩せこけている。食べるのに困ることはないのだろうが、ここ数年もの間、草しか食べていないのだとしたら可哀想なことである。
ナオミが犬のそばに寄った。
「ごめんね。おまえのこと、連れて行ってやりたいけど…」
彼女の言うとおり、それは許されないことだった。理由は先ほどと同じく、汚染されているとわかっているものを人の居住空間には入れられないからだ。
「連れてったら、あんた非常食にされちゃうし…」
ナオミが見当違いのことしか言わないのには慣れていたつもりだったが、このときばかりは言葉を失うこととなった。
装甲車の中で留守番をしていた鮎貝が、狂ったように歌うのをやめて
「野郎ども、時間だ。肺に花が咲いてハイになるぞ!」
と、センスの欠片も感じない冗談を言った。
……一応、そろそろ防護服の空気清浄機のバッテリーが上がる時間であったことは確かであった。




