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天使の歌6

戦況は膠着していた。

実のところ、たかだか大樹の一本。直径百メートル近い超規格外のサイズとはいえ、近代兵器の威力を以てすればどうということはない。停滞の原因は世界樹を倒した後のことを考えた結果だった。

平和憲法を謳ってしまった日本国内に、これほどの規模の怪物を沈められる兵器はなかった。となると、外国の力を借りるより他にない。

これは極秘事項であったが、隣のC国から核ミサイルによる援助の申し出はあった。ただ、これは色々と都合が良くない。


第一に日本とC国は表向きこそ友好国だが、裏では軋轢が大きい。そもそもC国は日本を仮想敵国に認定し国民の不満を逸らし続け発展してきた経緯がある。先に有働の論じた拉致問題を初めとするトラブルも多い。このような国家に借りを作るのは、後になって新たな因縁を生みかねない。


第二に、世界樹が放射能によって生まれた変異種であるという事実。裏では地球の意志とやらが手綱を引いていたようだが、科学的な分析の結果は間違いなく放射能だった。地球の意志とやらがどれほどの力を持っているのか見当もつかないが、もしかしたら放射線の垂れ流しがなかったなら、花を生み出すことはできなかったのかもしれない。再び同じ過ちを犯すことは避けたい。


そして第三。敵とも味方とも言い切れない相手に、ミサイルを撃って良いなどと言えるはずがない。


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