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天使の歌5

夫婦喧嘩はそこまでにしろ。隊長どの…実際、手はあるのか?」

隣の装甲車に乗る有働から、無線で茶々が入った。


首尾よく裁判に勝ったこの男が前線に志願したのは、政直には意外なことだった。本来研究職にいたくせに、この期に及んでわざわざ危険を伴う場所への配属を自ら希望したのだ。

天使の歌が配されると同時に、前線へ身を投じることを望む者は激減した。ようやく花を駆逐する手段が出来たというのに、肝心な装甲車の乗り手が深刻に不足したのだ。

考えてみればこれは自然なことだった。明日をも知れない身なら高給を餌に命を危険に晒そうと考える者は多かったが、昔の生活に戻る希望が生まれたなら命が急に惜しくなるのは当たり前だ。命と引き換えでなくても生活出来るなら、誰も危険な真似はしたくない。


奴らが滅びる様をこの目で見たい


有働のような歪んだ思考回路の持ち主でなければ、このご時世に前線に赴く者などいなかっただろう。政直の率いる装甲車隊をわざわざ志願してきたのも、この世界樹に最も近い地域を担当していたことを考慮すれば自然の帰結だった。複雑な因縁を感じつつも、政直は有働を配下に置くことに異論を挟まなかった。これも運命というやつかもしれんという思いがあった。


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