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天使の歌3
政直が個人的に最も懸念したののは、所有権が微妙な場所を片っ端から国有地にすべく官僚たちが動くことだった。彼らの脳内では国民の生活は“国益”と無関係であることをよく知っていたため、政府の不正こそが復興の足枷になることを心配していた。
ところが官僚たちが専念したのは隣国からの移民対策だった。国外の企業や団体が混乱に乗じて日本の土地を占有する工作を防ぐことに、彼らは全ての労力を注ぎ込んだのだ。せっかく開拓した土地を法の名の下に奪うどころか、そのような被害者が出ないことに尽力したのだ。
(あいつらも人の子だったか)
天使の歌は彼らにも効いたのだと政直は解釈した。
今現在、人類の敵はたった一つに絞られていた。
東京を占拠した最初にして最後の敵
“世界樹”
無数の蔓によって構成される群体には、天使の歌が効かなかった。表面を覆う蔓だけ枯らしても、その奥にある多量の蔦が生き残り種を蒔く。花の再生力は前述した通りで、破壊と再生のいたちごっこで戦況は停滞したまま進まなかった。




