表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
109/122

希望の光21

有働は歯噛みしていた。

この男の花に対する憎しみは、純粋な義憤以上も以下もない政直より根深い。

「しかも、オレたちに出来ることって言ったら……」


有働の憎悪など目もくれず、メッセンジャーはうなだれた政直の脇腹に顔を擦り付けていた。

有働など、認識するに値しないとでも言わんばかりだ。


「オレたちにやれるのは、舐められてかけられた情けに、縋ることぐらいなのさ。

オレたちは救済されたわけじゃねえ。ひとまずチャンスを貰えるだけだ。こいつは人類の希望の光なんかじゃねえ。絶望の地獄の真っ只中に、ほんの一筋だけ蜘蛛の糸が垂らされた、それだけのことさ……」


有働はキーボードを操作した


『うたをおしえろ』

ばけものめ、と付け加えることだけは思い止まった。

せっかく政直が開いてくれた光明を、無駄には出来ない。一時の感情に流されて痛い目を見たことがある以上、同じ過ちを易々と繰り返すつもりはない。


有働の精一杯の心意気も虚しく、メッセンジャーは政直の首元に顔を擦り付けることだけに没頭し通していた。

怒りに耐えかねて拳を振り上げようとして、気付いた。


メッセンジャーは小声で歌っていた。

囁くような、微かな声で

今までの鳴き声とはかけ離れた、オペラに似た高音で、咽び続ける政直の耳元で、労るように歌っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ